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シリーズ⑨:サンカローク陶器博物館:その7

2016-11-05 15:55:38 | 博物館・タイ
<続き>

●請来陶磁

順不同の紹介で恐縮である。中世のスコータイ王都やシーサッチャナーライさらにはカーンぺンペッ(ト)などの重要都市に、請来された陶磁も併せて展示されていた。それらは中国陶磁と安南、ミャンマー陶磁である。いずれも優品揃いであったので紹介しておく。
(景徳鎮:青花牡丹唐草文双耳壺)
中國陶磁については素人で、知ったかぶりのコメントはできないが、何んと立派な元染であろうか。出光美術館が所謂酒会壺を所蔵するが、写真の類品は日本の美術館、博物館は所蔵していないのでは?・・・と思われる。これに似た双耳壺は、大英博物館で見た覚えがあるが、これが2点目である。
(景徳鎮:青花果実文盤)
当該ブロガーには洪武様式か永楽様式か判断できないが、明初の染付の大盤で、これも見事なものであった。
中国陶磁愛好家なら一発で分かるであろうが、当該ブロガーには?である。このような形の瓶を何と呼ぶのか?人物文の様子から明中期と思うが、自信度ゼロである。
ミャンマーからの朝貢品と記されている。例の錫鉛釉に緑彩を施したものである。最近のバンコク大学発刊のニュースレターによると、ミャンマーのモッタマ近郊で、緑彩陶磁の窯が発掘されたとの速報である。続報がまたれる。
仏陀の頭部であろうか?それとも観音の頭部であろうか? いずれにしても亀有の両さんよろしく、左右の眉が繋がっている。う~ん、モン(MON)族の顔にしか見えないのだが。
(ミャンマー:錫鉛釉緑褐彩人物塼)
5人の女性が描かれている。視線は1点集中ではなく、各人バラバラで、中央の女性のみ、膝に弦楽器を携えている。なぜ5人なのか、思い浮かばない。多分ラーマーヤナかマハーバーラタの一場面と思われる。
(ミャンマー:錫鉛釉緑彩鳥文盤)
鳥は聖鳥ハムサ(ハンサ)と思われる。当該盤の絵付けは1点もので、二つとして同じものはない。よっぽど豊富な知識と絵心がなければ、できた芸当ではない。
(安南:青花牡丹唐草文四耳瓶)
う~ん、これも最高傑作の部類か?獅子耳が4カ所についている。安南陶磁についても素人だが14世紀頃か?
(安南:五彩龍・火焔宝珠文瓶)
盤口のような口縁に梅瓶に似た大きな瓶で、これもうなりたくなるような優品である。龍は四つ爪で、安南陶磁に四つ爪は多い。本家中国に遠慮したのか?
(安南:緑釉魚文盒子)

(安南:青磁印花文鉢)
文様が何であったのか、思いだせない。写真も不鮮明で印花文のみの表記とした。
(青磁印花牡丹唐草文鉢)
蛇の目の釉剥ぎが在るのか無いのか、それとも高台跡なのか判別しにくいが、安南陶磁には重ね焼きのための釉剥ぎが存在する。それらの鉢や盤を見ながら、なぜかスコータイやシーサッチャナーライの陶工は、それを真似ようとしなかった。

スコータイ王国への朝貢品とある。流石にその通りで優品揃いである。それにも増して当該コレクション・オーナーの優れた鑑識眼が伺われる。




                                    <続く>






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