マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

竹鶴ハイボール

2010-12-17 11:40:51 | グルメ

忘年会シーズン真っ盛りで、今日がいよいよピークでしょうか。

私も業務繁忙の合間を縫って、あちこちの忘年会にお邪魔させて
いただきながら、さらに合間に(笑)ウィスキーを飲んでいたりし
ます。

連日アルコール漬けになってくると、たまの素面は反って調子が
狂うもので、スモーカーの煙草と同じように口寂しさからコンビ
ニに立ち寄ってしまいます。

そんな気分から普段とは違うものを探してたどり着いたのが、先
日新発売になった「竹鶴ハイボール」でした。

竹鶴ハイボール

昨年あたりから、ウィスキー業界はハイボールブームが再来して
いて、今年は様々なメーカから様々なハイボールが発売されてい
ます。昨今は缶入りの商品も多種多様になりました。

一口飲んでみると、パッケージに表示されたとおり竹鶴12年の
ソーダ割りです。アルコール度以外に大きく変更はしていないの
ではないかと思うくらいです(原価が高い)。

私自身は、ハイボールよりもトゥアイス・アップといってハーフ
に加水した飲み方の方が美味しいと思っていますので、普段ハイ
ボールを飲むことはないのですが、これはイケます(笑)。

イケるのはいいんですけれども、なぜ今ニッカウヰスキーが竹鶴
ハイボールを出したのか考えてみました。

ハイボールという飲み方は、ウィスキーの飲み方としてどちらか
といえば亜流で、カクテルと考えられています。

でも目の前にブームが起こっていて市場が成長しています。当然
メーカとしては原製品を持っているのだから、新商品を開発して
投入したい。選択肢は「ウィスキー」なのか「カクテル」なのか
です。

以前にも書きましたけれども、ハイボールに合う原酒は甘めのも
のがよく、ブームの火付け役となってTV-CMが流れているよ
うな商品は方向性が違います。ですからメーカが「ハイボールに
ウィスキーを」といっても、多くの場合美味しいウィスキーを買
う(売る)というより、美味しいカクテルを買う(売る)ようなこと
が行われています。これが消費の現場ですね。

こういう市場環境のときに、今まで缶入りハイボールを販売して
いなかったニッカの選択肢は、「美味しいウィスキーとしてのハ
イボール」か「美味しいカクテルとしてのハイボール」かでしょ
う。

竹鶴12年という商品は、以前から販売されていまして、ニッカ
ウヰスキーが余市の新樽モルトを看板商品にしたあたりから、エ
ントリーと余市のフォローをするポジションの製品だったように
思います。

以前はスーパーニッカ一本の看板だったのが、余市と竹鶴の二本
になって特徴を強調したということでしょうか。

余市はピーティでヴァニラ香がする個性の強いウィスキー。竹鶴
はリッチでシェリー香がするマイルドなウィスキー。ニッカの製
品でハイボールを作るなら竹鶴が最適です。

しかしながら、ハイボールは上述の通りどちらかといえば亜流で、
もしブームが一過性ですぐに市場が消滅してしまったら、竹鶴の
ブランドが傷つきます。

それでも「美味しいウィスキーとしてのハイボール」のために、
最適な原酒を選び、ブランド名をそのまま新商品の名前に充てる。

市場の成長を見極めた上での、満を持した発売でしょう。既存の
他の製品とは差別化したプレミアムハイボールという位置付けで
す。

満を持した新商品には開発者の魂が篭っています。孤高の志とい
うか頑固な伝統というか、吟味という味がする嬉しいお酒です。

クリスマスシーズンのロマンティックな大人の夜におすすめです。

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余市とタリスカーの相違点

2010-12-16 21:50:24 | グルメ

最近はもっぱらカスク・ストレングスばかり飲んでいて、本来の
オフィシャルボトルはすっかりご無沙汰をしてしまっているニッ
カウヰスキーの余市ですが、そんなことを口に出してみたりす
ると「それなら次回は」という話になるもので、ときどき友人
知人にシングルカスクを試してもらったりする機会があります。


シングルモルト余市12年

すると、そういうものを求める御仁だからといいますか、なら
ではといいますか、「タリスカーに似ているね」なんてご感想を
いただいたりします。


タリスカー

確かに積丹半島付け根の余市と、スコットランドはスカイ島西
端のタリスカーは、ピーティーで焦げ臭く「爆発するような」と
表現される力強さが身上のモルト・ウィスキーです。

また面白いことに、エントリー製品で比べてみると、日本産の
余市よりも輸入品のタリスカーの方が販売価格が安く、通のな
かでは「オイラはもっぱらタリスカー」という方も多くいらっ
しゃるようです。

しかし、よく似てはいるものの、やはり似て非なるものでもあ
り、同じ10t爆弾のような両者でも若干タリスカーの方が甘
い味がして、はて何故だろうと考えてきました。

余市は、現在蒸溜所でのフロアモルティングを行っていないの
で、モルトを輸入しているそうです。タリスカーはディアジオ
系列の蒸溜所ですが、ディアジオはアイラ島ポートエレンに巨
大なモルト製造工場を持ち、連日ものすごい煙と臭いでモルト
製造を行っています。

両者はポットスチルもよく似ています。

余市のポットスチル
▲余市のポットスチル

分かりにくい写真で申し訳ないですが、余市のポットスチルは
ストレートアーム型。

タリスカーのポットスチル
▲タリスカーのポットスチル

タリスカーの再溜釜も、大きさは小さめですがほとんど同じ形
なんです。

それで、出来上がるウィスキーに甘みが強く感じられるかどう
か分かれるのが興味深いところ。何故でしょう?

答えは水ではないかと思います。余市蒸溜所の近くには余市川
という川が流れていますが、川の水は皆さまご想像の通り無色
透明で、あえて言えば雪解けの匂いがするくらい(笑)です。

対して、タリスカー蒸溜所の敷地内にも川が流れていまして、
この川の水がピートに色づけされて茶色いんです。

タリスカー川

タリスカーでは、少し離れた湖の水を引いているそうですが、
やはりピーティな水であることは変わりないでしょう。

蒸留する水がピーティならば、モルト製造の段階でピートを焚
く量はより少なくてよいという判断ができそうです。

つまり、他条件一定ならばタリスカーの方がピート濃度が低く、
麦がもつ甘みを残したまま粉砕と発酵に移れる、ということに
なっているのではないでしょうか。その違いが10年以上熟成
させたウィスキーに顕著な差となって現れる。

こんなところにもモノ作りの神様がいます。
一口飲むのは簡単ですが、奥が深いものですね。

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オールド・プルトニー

2010-12-09 18:03:05 | グルメ

先日出掛けたバーで勧められて試してみたのがOld Pulteney。

ブレンデッド・ウィスキーみたいな名前ですが、立派なシングル
モルトです。


オールド・プルトニー

あろうことか、愚かな私めは一杯めにボウモアなどを飲んでしまっ
ていたので、このウィスキーのテイストは全体の4割くらいしか分
からなかったと思いますので、一口飲んで「スペイサイドだな」な
どと言ってしまいました。

ボウモアを飲んだ後のテイスティングでは(笑)、オイリーでハニー
テイスト、ちょっぴり塩っぽい味だったので、クラガンモアと似て
いると思ってしまったのですけれども、後で調べてみると、以前書
いたハイランドのクライヌリーシュとオークニーのハイランドパー
クの中間あたりに位置するバリバリのハイランドモルトでした。


クラガンモア


クライヌリッシュ1971


ハイランドパーク 40年

これらの90点級ウィスキーのなかで近い少しメロウな個性をも
つウィスキーなのかもしれません。やはり先日書いたグレンフィ
ディックの後あたりに飲んだら大ヒットだったかも。

まあ、また機会はあるでしょう。


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