忘年会シーズン真っ盛りで、今日がいよいよピークでしょうか。
私も業務繁忙の合間を縫って、あちこちの忘年会にお邪魔させて
いただきながら、さらに合間に(笑)ウィスキーを飲んでいたりし
ます。
連日アルコール漬けになってくると、たまの素面は反って調子が
狂うもので、スモーカーの煙草と同じように口寂しさからコンビ
ニに立ち寄ってしまいます。
そんな気分から普段とは違うものを探してたどり着いたのが、先
日新発売になった「竹鶴ハイボール」でした。
昨年あたりから、ウィスキー業界はハイボールブームが再来して
いて、今年は様々なメーカから様々なハイボールが発売されてい
ます。昨今は缶入りの商品も多種多様になりました。
一口飲んでみると、パッケージに表示されたとおり竹鶴12年の
ソーダ割りです。アルコール度以外に大きく変更はしていないの
ではないかと思うくらいです(原価が高い)。
私自身は、ハイボールよりもトゥアイス・アップといってハーフ
に加水した飲み方の方が美味しいと思っていますので、普段ハイ
ボールを飲むことはないのですが、これはイケます(笑)。
イケるのはいいんですけれども、なぜ今ニッカウヰスキーが竹鶴
ハイボールを出したのか考えてみました。
ハイボールという飲み方は、ウィスキーの飲み方としてどちらか
といえば亜流で、カクテルと考えられています。
でも目の前にブームが起こっていて市場が成長しています。当然
メーカとしては原製品を持っているのだから、新商品を開発して
投入したい。選択肢は「ウィスキー」なのか「カクテル」なのか
です。
以前にも書きましたけれども、ハイボールに合う原酒は甘めのも
のがよく、ブームの火付け役となってTV-CMが流れているよ
うな商品は方向性が違います。ですからメーカが「ハイボールに
ウィスキーを」といっても、多くの場合美味しいウィスキーを買
う(売る)というより、美味しいカクテルを買う(売る)ようなこと
が行われています。これが消費の現場ですね。
こういう市場環境のときに、今まで缶入りハイボールを販売して
いなかったニッカの選択肢は、「美味しいウィスキーとしてのハ
イボール」か「美味しいカクテルとしてのハイボール」かでしょ
う。
竹鶴12年という商品は、以前から販売されていまして、ニッカ
ウヰスキーが余市の新樽モルトを看板商品にしたあたりから、エ
ントリーと余市のフォローをするポジションの製品だったように
思います。
以前はスーパーニッカ一本の看板だったのが、余市と竹鶴の二本
になって特徴を強調したということでしょうか。
余市はピーティでヴァニラ香がする個性の強いウィスキー。竹鶴
はリッチでシェリー香がするマイルドなウィスキー。ニッカの製
品でハイボールを作るなら竹鶴が最適です。
しかしながら、ハイボールは上述の通りどちらかといえば亜流で、
もしブームが一過性ですぐに市場が消滅してしまったら、竹鶴の
ブランドが傷つきます。
それでも「美味しいウィスキーとしてのハイボール」のために、
最適な原酒を選び、ブランド名をそのまま新商品の名前に充てる。
市場の成長を見極めた上での、満を持した発売でしょう。既存の
他の製品とは差別化したプレミアムハイボールという位置付けで
す。
満を持した新商品には開発者の魂が篭っています。孤高の志とい
うか頑固な伝統というか、吟味という味がする嬉しいお酒です。
クリスマスシーズンのロマンティックな大人の夜におすすめです。
感謝!