茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

紙のサイズ

2007-03-25 21:12:02 | 日本マメ知識
 一時パソコン普及に伴い、会社でペーパーレスが掲げられた。ところが、パソコンが一人に一台与えられ、お客様とメールでやりとりをするようになっても、その内容を印刷することから一日が始まることに変わりはなかった。未だにパソコンのメール画面を見ながら返事をするのは簡単な内容だけであって、ほとんど印刷して読み込んでから返事をするという具合である。ペーパーレスは進まず、簡単に印刷できることから却ってオフィスには紙ゴミが増えた。

 紙のサイズにはAとBの規格がある。社内での一般規格はA判。A4かA3の紙がほとんどで、B4、B5サイズはあるにはあるが使われることは少ない。時々間違ってB判で印刷してしまって、折りたたんでもファイルにぴったり入らず、結局A判で出しなおすなんてこともある。AとB、なんと中途半端な差なのか、しかも何で2種類あるんだと常々疑問だった。
 R25という無料雑誌にその理由が載っているではありませんか!ああ有難や。

 そもそもA規格はドイツから輸入された国際規格で、B規格は江戸時代に将軍家が使用していた美濃紙に由来する日本独自の規格なんだそう。
 面積1平方メートル、幅と長さの比を1:√2になるように求めた寸法を基本にしているのがA判。同様に面積1.5平方メートルからもとめたのがB判。
 この1:√2というタテヨコ比は白銀比(黄金比に近い比率)と呼ばれ、どこまで半分にしても同じ形がとれる。A0の半分がA1,その半分がA2という感じで永遠に相似形で分割でき、A10まである。
 この比率の採用、一般にはドイツの学者オストワルドの提案とされていますが、実はその数十年も前に江戸の戯作者蜀山人が推薦していたのだとか。これは日本の名誉の為もっと国際的に主張すべきことなのだそうです。

 そう知ると、B判をおろそかにしてはいけない!という気持ちになりますが、今や会社ではドイツ規格のA判が定番、ファイルも机も全てA4用の大きさで作られていて、事務作業、効率面からしても致し方ありません。茶道の世界では、茶壷の口を閉じたり、炭台の上に美濃紙を使用しますから、日本独自のB規格が様々なところで使用されていること間違いないでしょう。検証したことはありませんが。。。。
 王子には「紙の博物館」というものがあって、企画展もあるようです。
http://www.papermuseum.jp/
 
 R25に紙の寸法が書かれていたので、書き留めておきます。紙にも色々あること、目から鱗です。

紙の原紙寸法 mm

A列本判  625×880 ドイツ生まれの国際規格。現在の主流派これ。

B列本判  765×1085 日本のオリジナル規格。江戸時代の美濃紙に由来。

四六判  788×1091 美濃紙に由来。かつて美濃紙は将軍家や御三家の専用だった。江戸時代の公用紙だった美濃判の8倍大の大きさのもの。これを32枚に断裁してきれいに端を切り落とすと横4寸×縦6寸の書物ができたため「四六判」とよばれるようになった。

菊判  636×939 明治の新聞に使われた。皇室の語紋章である菊と新「聞」のかけことば。明治時代にはじめて輸入された紙の包装ラベルにダリヤが印刷されていたためそれを菊に見たてて「菊判」と呼ぶようになったと言う説と新聞紙の聞という文字を「キク」と訓読みして呼び習わしたことから、通称として広まった説がある。

ハトロン判  900×1000 ハトロン紙は主に封筒や放送に用いる。薬莢を包む紙が語源。片面に艶出ししたケント紙、ハトロン紙のサイズであるためこのサイズをハトロン判と呼ぶようになった。ハトロン紙の語源はドイツ語のpatpronen papier(銃弾の薬きょうに使用していた紙)から来ていると言われている。

*原紙とはJISが定めた紙の元々の大きさ。以上の5種類について紙の原紙寸法を定めている。裁断余白のため規格サイズよりひとまわり大きく設定されている。

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10 コメント

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目からウロコ! (草君)
2007-03-26 11:08:14
紙のサイズにそんな由来があったとは・・。
どうしてAとBがあるのかなあ・・ひとつでいいよねーと、思ったことはあるのですが。
確かにB判、おろそかにできませんね!
たまごさんのお陰で知ることができてよかったです。
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和紙は白銀比 (SAKURA(弥々))
2007-03-26 16:30:20
今日はSAKURAにコメントをありがとうございました。
京都国立博物館のことはあちらにURLを載せておきますね。

紙のサイズを拝見しました。
以前「雪月花の数学」と本を読みました。これには白銀比の話や日本文化を数学で読み解いた面白い本でした。

紙のサイズはSAKURAでも取上げたことあってこちらではお包みの折方や実際の紙など比較しております。「紙のサイズ」の頁内検索で4,5件出てきます。よろしければご覧下さいませ。
http://purple.ap.teacup.com/applet/yaya/msgsearch

SAKURAは『ふるきよき・うつくしきもの』を手作りで載せておりますが長緒の結び、箱の結びなどお茶との関連も深いので、こちらのへは楽しみに寄せて頂いております。

http://purple.ap.teacup.com/yaya/
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白銀比のこと (雪月花)
2007-03-26 16:38:35
m-tamagoさん、こんにちは。
白銀比のこと、お茶室はもちろん、日本の芸術のいたるところに見られる比率です。このことは、桜井進氏の著書『雪月花の数学―日本の美と心に潜む正方形とルート2の秘密』(祥伝社)に詳しいのですが、この比率に日本の美のヒミツがあるようです。もちろん、日本の芸術家はそんな比率など意識していないはずなのですけれども、どうもその比率からなるモノを、日本人は直感で「美しい」と感じるらしいです。まぁ、わたしは科学的な分析よりも直感を信じたいし、その直感を失ったら日本の美は廃る‥と思っているのですけれども、いったいなぜ日本人の感性に白銀比がピッタリくるのか、とても興味深いですね。
それにしましても、身のまわりの紙はいっこうに減りません‥(笑
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美濃紙 (飛翔)
2007-03-27 18:49:57
 面白い事を伺いました。有難うございます。
白銀比なるものは余り知りませんでしたが、黄金比は、ミロのビーナスが、全て1:1.6で統一されている完璧なバランスという話を聞きました。西洋の建築や絵画に多く見られるけれど、日本の能面を始め、寺院などにも、この黄金比があてはまるとか。
 >この1:√2というタテヨコ比は白銀比(黄金比に近い比率)と呼ばれ・・・
<という文を見て、納得しました。
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ペーパーレス (湯呑み)
2007-03-27 23:57:41
ごめんください
自分の職場もペーパーレスになるかと思ったらちっともなりません、逆になんでもコピーしているような。
自分も家では何度も写真をプリントしなおして資源の無駄遣いしています。もったいない もったいない。
勉強になりました、ありがとうございます。
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目からウロコ (m-tamago)
2007-03-28 20:37:26
草君さん、こんばんは。

そうなんですよ、紙のサイズにはこんな秘密が。
てことはB判って海外では使われてないのかなあ。。。。
コピー機やプリンターでB判設定があるのは日本だけだったりして??
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和紙は白銀比 (m-tamago)
2007-03-28 20:42:52
弥々さん、こんばんは。

>以前「雪月花の数学」と本を読みました。これには白銀比の話や日本文化を数学で読み解いた面白い本でした。
そうですか。この本探してみます。

>「紙のサイズ」の頁内検索で4,5件出てきます。よろしければご覧下さいませ。
ありがとうございます。じっくり拝見させて頂きますね。
そちらの結びやふるきものは美しく、いつも見とれています。これからも宜しくお願い致します。

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白銀比のこと (m-tamago)
2007-03-28 20:48:00
雪月花さん、こんばんは。

白銀比と黄金比については以前テレビでも見たことがありましたが、まさか紙のサイズもとは驚きました。

>桜井進氏の著書『雪月花の数学―日本の美と心に潜む正方形とルート2の秘密』(祥伝社)
いい本をご紹介くださりありがとうございます。探してみます。

>日本人は直感で「美しい」と感じる
なるほど、面白いですね。
美しいと感じるものには一定の法則がある。。。
なぜ日本人の感性に白銀比がピッタリくるのかは本当に興味深いですね。

私も会社でも家でも紙だらけです。。。。先日も溜まった昔のカード明細を捨てたところです。

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美濃紙 (m-tamago)
2007-03-28 20:50:53
飛翔さん、こんばんは。

ミロのビーナスの黄金比はテレビで見たことがあります。
人種は違っても美しいと感じるものには法則があるものなのですねー。面白いですね。
直感的に美しいと感じたら比率に着目してみます。

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ペーパーレス (m-tamago)
2007-03-28 20:53:11
湯呑みさん、こんばんは。

本当に簡単に印刷できるだけに紙ゴミはどんどん増えますね。もっと注意深くすべきなんでしょうけど。
オフィスでも最初は裏紙をメモに使っていたのですが、それでも使い切れないほどです。。。。
ホントもったいない、もったいない。

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