茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

大炉 炭手前

2008-02-27 17:01:22 | 茶の湯エッセイ
 一月下旬頃から二月にかけての厳寒の時期、大炉という裏千家独自のお点前があります。その名の通り、大きい炉を使っての、逆勝手(お客様が亭主の左に座る)のお点前。二月中はお稽古なさっていた方も多いのではないでしょうか。

 普段のお稽古、朝、先生のお宅に行くと、まず、炉中を整えることから始まる。灰をちょうどよい形にかきあげ、中央に埋香をし、湿し灰を撒く。炉壇と炉縁を綺麗に拭き、下火の炭を入れる。炭が置かれた瞬間に湿し灰がふっと渇き、炭が赤く灯る瞬間は何度見ても清々しく心休まるひとときだったりする。
 毎年2月になると先生のお宅では大炉をしつらえて下さる。昨年は先生の具合が悪くお稽古が休みだったので、今年は二年ぶりの大炉だった。
いつものように、大きな炉の中を整え、大炉ならではの雪輪瓦の向こうには湿し灰を盛って、灰匙を立て、下火を入れて、釜をかけました。席中でこの湿し灰を炉中にまくのが大炉の初炭の趣。従って、初炭で灰器は不要になります。さらに、この後、中立ちの時にこの湿し灰の後に後炭に必要な炭を飾り、炉中から炭をつぐのが大炉の後炭手前の特徴です。後炭では炭斗が不要になり、炮烙を使います。大きくて温かいだけでなく、灰や炭を炉中に置くことで通常の炭手前にはない味わいが生じます。

 今年は思いがけず、これまで拝見することしかなかった初炭のお稽古をする機会に恵まれました。実際やってみると勝手が違うので、とてもいい勉強になりました。しかも、あとで考えてみたら逆勝手の炭手前というのも私は今回が初めてだったのです。
 炉縁を羽根で清める際、大炉の清め方は、初掃き10回、中掃き6回、後掃き6回となります。掃き方が全く違うのでとまどいました。(通常の炭手前では、8回、11回、8回)
 大炉は大きいので、炭斗を置く位置、自分の座る位置など、勝手が違いました。
 紙釜敷は、風炉と同じでわさを外にして懐中すること。
 雪輪瓦の向こうから灰匙をとり、灰を撒く。着物だったら灰を掬う為に手を伸ばすのも結構大変と思いました。

 年に一度のこととはいえ、普段、如何にいい加減に人のお点前を拝見しているかを認識しました。やはり何でも実際にやってみるまではだめですね。 後炭は別の方がなさいましたが、雪輪瓦の向こうの炭を火箸でとって落とさずについだり、炮烙を回して灰をまく所作もまた難しそうだと思いました。来年は大炉の後炭も経験できるよう、帰ってきてから、テキストの大炉炭手前の部分を読み返しました。毎年一歩一歩です。
コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 静嘉堂文庫美術館 茶碗の美 | トップ | 茶道具 -大炉 雪輪瓦- »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
逆勝手 (雨点)
2008-02-27 18:11:43
大炉の場合

本来の逆勝手 のように 炭が逆に組んでいません。
また 炭斗を 炉の右手に置くため
三羽根が 普通の炉の時と同じ ちょっと不思議な感じがします
また五徳も爪が一本雪輪瓦に向きます。
逆勝手は 五徳爪一本が向き合う 真の五徳の据え方と同じですから 大炉は 中間みたいな感じになりますね

なんかちょっと 面白い 
 (雨点)
2008-02-28 00:08:12
淡交を年間購読すると 淡交のカレンダー
今年は勅題の「火」をイメージしてか
1月は炭台に組まれた 初炭
2月は大炉に使う 焙烙 後炭
3月は巴半田
4月は香炉盆の香炉の灰
5月は土風炉二文字押切に入った初炭
6月は土風炉に月を切ってる 炭斗が蛍籠
7月は二枚土器 素敵な木地釣瓶
8月は面取と道安 土風炉に灰形二種
9月は莨盆 火入
10月欠風炉 藁灰 炭斗が木通蔓
11月かっかと熾る炉中
12月待合いの大火鉢 藁灰が柔らかみを醸し出す
逆勝手 (m-tamago)
2008-02-29 09:13:04
雨点さん、おはようございます。
そうですね、確かに、逆勝手とはいえ大炉は特殊で、単純に逆勝手と同じとは言えませんね。失礼しました。
大炉では雪輪瓦の向こうに灰匙がたててあったり、炭を飾った姿が好きです。寒い時期に大きい炉には体も心も暖まります。

淡交のカレンダー、確かに、お勅題を意識してでしょうかね。火と一言に言っても色々な味わいを感じますね~。
灰匙 (雨点)
2008-02-29 20:00:09
炭手前で 灰器を持ち出す
その寸前に灰匙を 灰に挿して灰器を持ち出します
灰撒き終え水谷に持ち帰ると直ぐ 灰匙を灰から外す

炉の蒔灰は湿灰ですから金属には酷です

大炉の後炭は残った湿灰を雪輪瓦の向こう側へ、後炭に使う分だけ飾っておいてあった跡に、焙烙に残った湿灰を山盛りにして灰匙を立てて置くわけですが

その為でしょうか白楽の灰匙を使われることがあります。 白楽の白 雪輪瓦の飴 柄に巻かれている竹の皮 山にした湿灰  が乾いてゆく

風情はいいですねぇ
大炉 (Clay)
2008-03-02 16:30:22
みたこともなく、、、一度見てみたいものの一つです!

そう言っている間に如月から弥生へ!(笑)

時の経つのは早いもの~
灰匙 (m-tamago)
2008-03-02 20:54:58
雨点さん、こんばんは。
確かに灰匙の扱いには注意しなければなりませんね。
灰に触れている時間はなるべく少なく、使用後はきれいに灰を落として。
小さなことですが、お道具の扱いもひとつひとつ教えて頂いて覚えていくことが大事ですね。
大炉 (m-tamago)
2008-03-02 20:56:50
Clayさん、こんばんは。
大炉、海外では難しいですよね。
大炉の時は部屋の暖まり具合もいいようです。私は近づいて手をかざしたくなります。
本当にもう弥生、どんどん炉の季節が少なくなって風炉の季節が近づいてきますね。早い~。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

茶の湯エッセイ」カテゴリの最新記事