美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




八木一夫という人の名前は初めて聴きました。チラシの写真で観た
『ザムザ氏の散歩』という作品。枯れ木に脚が生えたような少しグ
ロテスクな彫刻です。ちょっと怖い気がしていたのですが、一番最
初に目に付いたのが『春の海』です。まんまるなお魚にカラフルな
模様です。ふぐでしょうか。ころころとしています。何だろうこれ
は...花器だと気付くまでにしばらく時間がかかりました...

八木一夫は陶芸家です。そのユニークな造形は茶器や花器を基本と
しています。オブジェという考え方を陶芸の世界に取り入れた八木
の作品に、華道の革命家、勅使河原蒼風を思い起こさせます...

振り向くと『ザムザ氏の散歩』です。小さな丸い円筒は、皆、花器
の破片だったのですね...無数の脚生やしたごつごつの土の色、焦げ
た茶の色、蛍光灯照り返すその肌理は、釉薬によってきらきらして
います。ザムザ氏が散歩していたのは夜でしょうか...街灯の下こそ
こそと歩くかのようなその作品は、思ったよりも小さく、不思議な
魅力を持っていました...

この展覧会では作品を素材ごとにまとめています。土を焼いた柔ら
かい茶色のシリーズ、陶板の黒々とした鈍い光のシリーズ、窓辺に
置かれた白い肌理の花器...こうした多様な作品をいかに魅力的に並
べようか...学芸員冥利につきる仕事だったでしょうね...

昨日は地震のおかげで庭園美術館も中途半端に閉館してしまいまし
た。代わりの無料券がもらえたので、この展覧会にはもう一度、観
に行ってやろうと思っています...

・陶芸の冒険『八木一夫展

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コメント
 
 
 
早いですね! (Tak)
2005-08-17 23:41:49
こんばんは。

コメントありがとうございました。



随分と早い時期に既に行かれていたのですね。

流石です。

「ザムザ氏の散歩」確かに花器と気が付くには

時間を要しますよね。



庭園美術館と作品が調和しているようで

素人ながら楽しめました。
 
 
 
Re: 早いですね! (lysander)
2005-08-17 23:45:37
> 随分と早い時期に既に行かれていたのですね。

いえいえ。

東京都庭園美術館は私の庭なので...

(気持ち的に)...
 
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