美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




横浜でやってる現代の日本画を切り口にした展覧会です。

新しい日本画をテーマにした展覧会は二月に東京都現代美術館でも
開催されました。その際もいわゆる日本画には見られない、今らし
い表現を感じたのですが、今回の横浜美術館ではさらに、映像もあ
ればマンガもあるし、ほとんどモンドリアンかと思わせるような(き
っと間取りであろう)作品もあって、ほとんどボーダーレス...

その中でもっとも引き込まれたのが松井冬子さんの『この疾患を治
癒させるために破壊する』...私は彼女の臓物系の表現は好きではな
いのですが、この満開の桜の下を静かに流れ行く運河の閑とした美
しさ...

ここ数年、毎年、坂口安吾を読み返しています。日本の風土に根付
いた彼の表現には、美しさと残酷を感じます。そんな坂口の作品で
欠かせないのが運命の女、それは夜長姫として、あるいはただの女
として、繰り返し描かれているのですが、松井さんのこの作品を観
て、運命の女が自ら筆をとっているかのような凄みを感じました...

・夜長姫が描かれる『夜長姫と耳男』の感想...
・ある女が描かれる『桜の森の満開の下』の感想...

また、藤井雷さんの『彼南模様』でも水にまつわる表現が印象に残
りました。南の国の暑い気候、様々に描かれる海の描写は夏らしい。
絵手紙を繋いだ作品にも海のイメージが繰り返しみられます。夏、
海、いかにも横浜らしい展示で良かったのではないかと...

コレクション展ではモーリス・ドニの『ひな菊の冠をつけたニンフ』
の桃色が素敵、ミューズと題された特集展示には様々な女性像が見
られます。

写真のコーナーの木村伊兵衛、これがなかなかのボリューム、私が
大好きな沖縄や東北地方のイメージにまざって若かりしカルティエ・
ブレッソンの姿なども見られます。こういうのは横浜市民としてと
てもうれしい。

また、会場のわき、ちょっと目立たないところで現代の作家が公開
創作しているコーナーもあります。川島秀明さんの特設アトリエ
どもあるので、興味のある人は探してみてください...
# うまく本展とリンクさせればいいのにな...


参考
・東京都現代美術館で開催されたMOTアニュアル2006 No Border の感想


日本×画展(にほんガテン!) (横浜美術館) ~ 9/20

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (テツ)
2006-08-01 11:53:04
日本画の伝統からの逸脱という点では、MOTアニュアル以上でしたね。しりあがり寿、ナンセンスでした。

でも、一番力量を感じたのは松井冬子。その意味ではMOTアニュアルには及ばなかった感がします。
 
 
 
Unknown (lysander)
2006-08-02 23:23:29
テツさん

コメントありがとうございます。



今回の展覧会、日本画でくくるのは無理がありましたね。



でも、MOTアニュアルと並べて一番魅力を感じた作品は

松井冬子さんの『この疾患を治癒させるために破壊する』

だったので、行けてよかったと思ってます。



# それにしても彼女、贓物なんて描かなくてもいいのになぁ...
 
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