美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




お天気が良い今日は横浜トリエンナーレ日和、午前中に家事をやっ
つけて、自転車漕いで四十分の山下公園へ...

横浜トリエンナーレの副題は『アートサーカス』、このアートとサ
ーカスを結びつけるイメージだけで、何だかわくわくします。学生
の頃にサーカスにはまった時期があって、新橋は汐留の空き地や後
楽園の特設テントに観に行ったものです。特に空中ブランコが好き
だった...サーカスってある意味もっとも洗練された大道芸だと思う
のです。そんなサーカスにアートを繋げた横浜トリエンナーレをと
ても楽しみにしていました。

会場は広々としているので計画的に周るなんて無理でしょう。私は
いきあたりばったり気になるものがあればそちらに移動して、とい
った感じで楽しんできました。

プロローグ
トリエンナーレの会場は海辺の倉庫、看板代わりのコンテナはマリ
ンブルー、とても美しいのだな。その後に続く紅白の三角旗も目に
まぶしい(06 ダニエル・ビュラン)...埠頭に横付けされただるま船
なども作品になっています(05 ボートピープル・アソシエーション)。
甲板に乗った時には揺れを感じるのですが、屋内に入ってソファに
腰をかけると不思議とゆったりした気分になります。

3A
エントランスからすぐのこの部屋はトリエンナーレの導入部、鉄パ
イプを組み合わせた巨大な回廊(25 池永慶一)や、通行人のシルエッ
トを写した作品(58 高松次郎)を観ることができます。ここから中庭
がすぐに見えて、大道芸のようなパフォーマンスが繰り広げられて
います。

4A
その中庭から隣の倉庫に入ると巨大なサッカーゲーム(32)が鎮座し
ています。この一角は会場内でもっともにぎやかなエリアです。歓
声が聴こえる展覧会なんてそうそうありませんよね。似顔絵のコー
ナー(33 黒田晃弘)は長蛇の列です。新日曜美術館で描いていた山根
基代さんの似顔絵を発見しました。

4B
隣のエリアは光もののコーナー。電飾が美しいブランコ(67)なんか
は人気がありますね。ここには環太平洋という作品(20 インゴ・ギ
ュンター)が会場をぐるりと取り囲んでいます。インクジェットで出
力された、波をイメージしているのであろう曲線がぼんやりと光を
放っています。カラフルな色鉛筆の軌跡が縦長の大きなスクリーン
三枚に写される作品(31 小金沢健人)も印象的です。どこかDNAの螺
旋構造を思い起こさせました。

4C
ニットで作ったキャラクターが立ち並ぶピュ~ぴる(47)の作品には
行列ができていました。今回は観る暇なかったのですが、次回来る
ことがあれば並んでみようと思います。

屋外
屋外に出ると牛乳パックの鮫(65 ナリ・ワード)。鮫のお腹の中には
作品が作られるまでの写真が展示されています。

3C
そして 3 のコンテナに戻ってくると奈良美智とgrafの作品(40)。原
美術館などでもお馴染みの、自分の作品で埋め尽くした空間です。
少女がにらみをきかせている作品はあまり好きではないのですが、
コンテナの中にたれ目の犬が佇んでいる作品は普通にかわいいと思
いました。こんな犬なら一匹くらいフィギュアが欲しいかも。これ
らの作品はトリエンナーレが終わったらなくなってしまうのでしょ
うか...

3B
会場のあちこちに覗きめがねが置かれています(69 屋代敏博)。めが
ねの中には回転する人物が写っています。他のアーティストの作品
を含めて、会場全体を作品にしてしまう発想はとても面白いと思い
ました。また、地味な映像では街中でブレークダンスを踊ってしま
う映像作品がありました(19 ショーン・グラッドウェル)。夜の伊勢
佐木町やデパートの一角などで、普通にブレークダンスをしていま
す。一般のお客さんは困った様子がなんともいえず。でも、さすが
に東横線の車内は強引じゃないのかな?ダンスというよりは、跳ね
ているようでした...(^^;
また、このフロアでこじんまりと展示されていた照屋勇賢(61)の作
品は、ハンバーガー屋さんの紙袋を切り取って、木々を作り出す不
思議な作品です。袋をのぞき込むというその行為が、作品とひそか
にコミュニケーションを取るような、そんな感覚。その包装紙の色
によっては初夏の緑や冬の雪がふりつもる様子をしのばせるところ
もあって、なかなか味わい深い作品でした。

ハトバ
ハトバにもいくつかの作品が。瓶のケースを円柱状に組み上げた作
品(67)。中に入ることができます。黄色いケースの外から光が入っ
てくる様子は何とも言えません。そしてコンテナの中でみせる映像
作品(66 リチャード・ウィルソン)。深夜の埠頭に一台のトラックが
到着します。トラックのコンテナが開くとそこから...とにかくロケ
ット花火が飛びまくりです。会場内でヒューヒュー音が聴こえてい
たのはこの作品から。暗闇を一直線に進んでいく花火の閃光はとて
も小気味よく感じました。

中庭
暗くなってからは中庭で映像作品の上映がはじまります。私が観た
のは『アートサーカスの音楽』という作品です(43 野村誠・野村幸
弘)。会場設営の準備をしているトリエンナーレの会場を、ピアニカ
の即興をしながら巡って行くという趣向。大工さんなんかもちょっ
とやりにくそうにしながら、のこぎりやかなづちのリズムとピアニ
カの音色がぴたっと合う一瞬に、音楽が生まれた瞬間のようなもの
を感じます。ジャズの即興みたいなものかな。中には公衆電話が並
べられているのですが、これも作品だったようで、耳をあてると何
かが聴こえるらしい...これも次回への積み残しかな...


今回の横浜トリエンナーレには子どもにも楽しめる作品が多くあり
ました。親子連れが多かったのもうなづけます。また、横浜トリエ
ンナーレの会場設営の進行とともにできあがっていく作品、あるい
は横浜に取材した作品が多く観られたように思います。それって、
この横浜トリエンナーレが触媒になって作品が生まれている、とい
うことですよね。以前、テレビ番組の取材で川俣正ディレクターが、
例えば今回の会場に、次回の展示に向けた作品があってもいいので
はないか、というようなことをおっしゃっていました。この横浜ト
リエンナーレとアーティストと鑑賞者とが、そんないろいろなやり
方で、結びついていくといいなと、思いました。幸福な出会いの場
としての横浜トリエンナーレ...

横浜トリエンナーレ 2005 12/18 まで...

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (ROO)
2005-11-20 02:25:33
lysanderさんがそろそろトリエンナーレに

行かれてるかなぁと思って、伺いました!

なんだか目が回るくらい忙しくて、

やばい、時期を逃しそうだ…と毎日毎日、近くて遠い

横浜を思いながら…



でもやっぱり行こう!!

行ってやるぞー!



lysanderさんのブログは美術館巡りにはまりつつある

わたしには欠かせません。ほんとお役に立ちます。

ありがとー!
 
 
 
Unknown (lysander)
2005-11-20 23:50:33
ROOさん

こんばんは



トリエンナーレの会期はもう少しありますから、

時間を見つけて行ってきてください!

感想書いたら教えてくださいね。



> ほんとお役に立ちます。ありがとー!

こちらこそどうもありがとう。
 
 
 
やっと (Tak)
2005-12-13 18:25:25
行ってきました。

やっと記事upしました。



暖かな日でよかったです!

楽しめました。
 
 
 
Re: やっと (lysander)
2005-12-14 01:07:49
Takさん

こんばんは



川俣さんすごいですよね。



変な話、近頃、会社でプラグマティックな仕事ばかり片付け

ている私には、(ひとりだけではないにせよ)淡々とこれだけ

のことを成し遂げた川俣さんに、あるあこがれを感じました。

久々に見習いたいと思った人!
 
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