美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




昨年に続いてのイサム・ノグチ展。イサム・ノグチの展覧会とは縁
があって、これまで行ったのを並べるとこんな感じです。

1992 イサム・ノグチ展(東京国立近代美術館)
1996 イサム・ノグチと北大路魯山人
    (セゾン美術館/神奈川県立近代美術館→両方とも行った)
2002 イサム・ノグチ展(草月美術館)
2003 あかり:イサム・ノグチが作った光の彫刻(東京国立近代美術館)
2005 イサム・ノグチ展
    (札幌芸術の森/東京都現代美術館→両方とも行った)

その他、モエレ沼公園や、牟礼のイサム・ノグチ庭園美術館に行っ
たことがあります。

本当に好きなのだな...ははは。

イサム・ノグチの作品はとても幅が広い。『あかり』のように生活
に身近なものから、モエレ沼公園のようなスケールの大きなものま
で、素材も石だったり、鉄だったり、陶だったり...ある展覧会に行
けばその中のどれかに触れ、そのどれもがイサム・ノグチの作品ら
しい。

昨年、東京都現代美術館で観たエナジー・ヴォイド、あれはね...あ
んな観賞体験はこれまでになかったと思うし、だけどそれが唯一最
高の作品かと言われれば、そうでないように思う。では、何が一番
好きなんだ...?と問われると正直判らない。私にとってイサム・ノ
グチはそんな彫刻家です...

今回の展覧会では『顔』『神話・民族』『コミュニティのために』
『太陽』の四つのコーナーに分けられているけれど、個人的には素
材、あるいは大きさで分けるべきではなかったかと思う。

草月美術館収蔵の小品、陶で作られた『フトッタツボ』『三本足の
花器』『ひまわり』、鋳鉄の『おかめ』『女(リシ・ケシュにて)』、
そのどれもにあたたかみがあって、やわらかい。昨年は八木一夫展
や加守田章二展といった陶芸の展覧会もいくつか観ましたが、それ
ら専門家に比肩する作品だと思います。

イサム・ノグチと言えば空間の彫刻家です。今回の展覧会でも空間
を魅せる工夫が随所にあります。特に広い展示室を斜めに仕切った
ところが面白い。白い二枚の壁が鋭角に結びつくところ。手前から
『通霊の石』『無限の連結』『見えるものと見えざるもの』、そし
て最奥に『雨の山』...ちょっと翠がかった四本の山と、それ貫く方
形の板、見ているうちに、とても深く、静かな緑の山を思い浮かべ
る事ができました...

横浜美術館もノグチの作品を多く収蔵しています。『真夜中の太陽』
もそのひとつ、場所が変われば雰囲気も変わって見えます。普段は
照明を落とした常設の場所に置かれたこの作品、白い壁を背景に順
光で観ても良し、反対側に周って逆光で観るも良しです。特に逆光
の太陽の中に展覧会場全体を覗くのが視覚的にとても楽しい。


会場の絨毯がところどころ剥がされて作品が置かれていましたが、
ちょっと苦言を呈すと『夢窓国師のおしえ』『見えるものと見えざ
るもの』の展示、こいつらこそ白い台の上ではなくて、剥き出しの
床の上で置きたい作品だと思うのだけれど...特に『夢窓国師』はこ
んな窮屈に置いたらダメでしょう。


マーサ・グラハムの舞台装置、『英雄たちの記念碑』『無言の内に
歩いている』、まだまだ書きたい事はあるのですが、会期は二ヶ月
もあるので、またそのうちに...

・『イサム・ノグチ 世界とつながる彫刻展』(横浜美術館)4/15 - 6/25

コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (えみ丸)
2006-04-17 22:54:16
私も今日観て来ました

ガラガラで凄く贅沢に観られました



今回の展示はとてもノグチの作品の魅力を引き出していると感心しました

今まであまり好きでなかった切り絵タイプの金属の彫刻がとても素敵に見えました



あのドキュメンタリーのDVD買ってしまいました(^^;

まだ、 blogに記事はupしていないのですが、簡単な感想、mixiには書きました

 
 
 
Unknown (lysander)
2006-04-18 00:26:14
えみ丸さん

こんばんは



> 切り絵タイプの金属の彫刻

能楽師とかオルフェウスですね。

私もあの作品はいいと思いました。

# いいものだらけです...



> ドキュメンタリーのDVD

札幌テレビの『地球を彫刻した男』ですね。

ベイフロントパークの工事の風景に、芸術家は恐ろしいなぁ...

と思いました。

# 図書館が壊されるって凄いですよね...



そういえば、私が行ったときは、まだ、展示作品のリスト

すらできていませんでした。展覧会のプレス発表も初日に

していたようだし、準備期間が短かったのでしょうか...
 
 
 
イサム・ノグチ (とら)
2006-04-22 23:53:34
lysanderさん



私も何となくいい気分で帰ってきました。ちょうどクラリネットの演奏だあって、展覧会場に響いていたことも幸いでした。
 
 
 
Re: イサム・ノグチ (lysander)
2006-04-23 00:23:15
とらさん

コメントとTBありがとうございます。



イサム・ノグチの作品を観ると、子どものような遊び心を

忘れない人だなぁ...と思います。反面、そのどれもが美

しい形体で、そのバランスが魅力なのだろうと思います。
 
 
 
モエレ沼 (テツ)
2006-04-23 07:25:01
まだベストシーズンには早いですが、GWにモエレ沼に行ってきます。何とか雪解けはしていそうです。やはり自転車を借りるのがいいでしょうか?
 
 
 
Re: モエレ沼 (lysander)
2006-04-24 00:05:03
テツさん

こんばんは



> 雪解けはしていそうです

雪が解けていないのであれば、バスで行って

徒歩で散策するのがいいと思いますよ。
 
 
 
イサムノグチ展 (ナオミ)
2006-04-24 01:16:05
はじめまして。mixiからきました。

私もちょうど見に行ってきたところです。

私も『真夜中の太陽』を普通に見た後、逆光で見ると感じが全然変わって見えて感動しました。
 
 
 
Re: イサムノグチ展 (lysander)
2006-04-24 22:17:25
ナオミさん

こんばんは



遠いところからようこそ...



> 『真夜中の太陽』

あれは面白いですよね。

彫刻の楽しいところは視点が変わると見え方が変わること。

それに初めて気付かせてくれたのがイサム・ノグチの展覧

会でした。

# 十五年くらい前の...
 
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