美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




日経日本画大賞展に行ってきました。新進気鋭の日本画家を表彰す
るため、2002年に創設されて、二年おきに開かれる今年が三回目。
入選した全十三作品が一堂に会しています。

いまどきの日本画をテーマにした展覧会はちかごろよく見かけるし、
一種のブームのようなものなのでしょうね...

そんな一例...
MOTアニュアル2006 No Border 「日本画」から/「日本画」へ (東京都現代美術館)

さて、初めて観た中では阪本トクロウさんの『デイライト』がツボ
でした。乗用車と横長の原っぱ...そして交差点...大作が多い中、
一点だけぽつんとした佇まいも印象的なのですが、だけど、これが
『日本画大賞』かと言われると???という気がします...

これまで苦手としてきた町田久美さんの作品、だいぶ慣れてきたせ
いか、あらためてみるとキリっとした線がきれいだな、などと思っ
たりします。でも、『東山魁夷』を冠する賞にふさわしいかと言わ
れると???という気がします...

反対に現代美術館の MOTアニュアルで異彩を放っていた三瀬夏之介
さんの作品はお行儀がよくなっていて、ちょっと残念...
# やっぱりUFOは飛ばさないとね...

入選者をみると、三十代の若者からベテランまでバラエティに富ん
でいて、画題は具象抽象あれこれあるし、画材もアクリルを使うも
のなど、旧来の日本画の枠からはみ出た作品が多数なのですが、集
まった作品をあらためてみれば、もう少しテーマをしぼった方がい
いのではないかと思いました。

そういう意味では奥村美佳さんの『かなたVII』は夕暮れ時の海を背
景に、くれなずんだ雰囲気がとても美しく、大賞はとても順当な気
がします。


で、私がもっとも好きだったのは、西嶋豊彦さんの『ハナがフル-
最後に見る太陽-』です。大きな画面に一輪の太陽、輝きを抑えた
橙の光が周囲に放射されています。そのオレンジから白い気泡が点
々と浮かび、光は色彩を失っていきます...『最後に見る』という言
葉からの連想で、白い気泡を火の粉にみたて、燃えさかる炎に囲ま
れた人が見上げた視線...といったイメージが喚起されました。

本当はこうした太陽を道具に使えるイメージがあるといいのでしょ
うに、こんなにタイトルでこんな簡潔にまとめてしまって、この先
この人はどのような作品を作ることができるのだろう...なんて大き
なお世話でしょうか、そうでしょうね、はい...


第三回東山魁夷記念 日経日本画大賞展 (ニューオータニ美術館) - 12/17

ちなみに過去の入賞作はこんな感じです。
第一回
第二回

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