12月1日、米韓軍事演習が終了したが、12月中にもう一度米韓合同軍事演習が計画されているという。一方韓国軍は6日から12日まで全国29カ所の島や沿岸部で砲撃訓練を行うことが明らかになった。また12月3日から10日まで、空母ジョージ・ワシントンも参加して、日本海全域で過去最大規模の日米共同統合軍事演習がやられる。戦争の脅威を高める危険きわまりない行動だ。
ここで、11月29日の報道ステーションが報じた、米韓軍事演習に対する日本の深い関わりについて簡単に紹介しておきたい。それは「朝鮮半島有事」において、日本が戦争の当事者、日本全土が北朝鮮を襲う出撃基地になってしまうということだ。沖縄・嘉手納基地、神奈川・横須賀基地、青森・三沢基地、長崎・佐世保基地など日本全土が出撃基地になるのである。日本の自衛隊は兵站・後方支援を担わされる
もちろんこれは、有事の場合ということではない。すでに今回の演習ではじまっている。
○極東最大の空軍基地である沖縄の嘉手納基地。
映し出されるのは特殊な偵察機2機。
一つは電子偵察機コブラボール。米本土から飛来し、弾道ミサイルの軌跡を追跡する。
もう一つは電子偵察機リベットジョイント。北朝鮮国内の戦車の動きなどを追跡・分析する。さらに対潜水艦作戦を遂行するP3C対潜哨戒機やEP3電子偵察機もある。
これら兵器には嘉手納のマークであるZZの文字が無く、別の基地から飛来したことかわかる。
偵察機ジョイント・スターズは、遠く250キロ離れた北朝鮮内部まで詳細にとらえることができる。
宮城嘉手納町長は「世界のどこかで何か、動きがあると、連動してこの基地が動き始める」と沖縄基地が世界戦略の中で位置づけられていることを語っている。まさに朝鮮半島が一気に緊迫したことで、これらの兵器が米本国から呼び寄せられ、軍事演習に参加し、「朝鮮半島有事」にそなえているのである。
ここで“沖縄、そして日本全体がすでに部外者ではない”とのナレーションが入る。横須賀基地からは原子力空母ジョージ・ワシントンが出港し、嘉手納からはこれら戦闘機・偵察機が動員されている。北朝鮮攻撃のための激しい軍事演習が24時間態勢で行われる。
○番組では、各国で「朝鮮半島有事」が現実のものとして認識され、それにむけた対応が検討されているという。在韓フィリピン人の退避が問題になっていることを報じたあとで、日本における「朝鮮半島有事」の検証にはいる。
・「朝鮮半島有事」になれば、まず岩国基地の海兵隊と沖縄普天間基地の海兵隊が動員されることになる。
・岩国基地からはおよそ40分で北朝鮮上空に到達する。
・三沢や嘉手納の空軍基地からは、攻撃機、戦闘機が動員される。
・軍事評論家小川和久氏は、「朝鮮半島有事」になると、空軍の作戦戦闘機が400機くらい、海兵隊航空機も普天間基地だけで300機くらいにふくれあがる、と指摘する。
・さらに「周辺事態」になれば、米軍のために物資や燃料補給を日本が担うことが要請される。
○すでに最近、嘉手納基地では、ジェット戦闘機の訓練が増え、騒音の苦情が相次いでいるという。軍事演習と「有事」に備えた戦闘訓練が激増しているのである。
○番組は、嘉手納や横須賀が北朝鮮ミサイルの標的になる懸念を伝えているが、もちろんそれは本末転倒である。日本は“部外者”ではない。
番組で紹介された韓国の世論調査で、「軍事的対抗措置をとるべき」と答えた人が47%なのに対して、「軍事的対抗ではなく対話」「経済制裁や外交」という穏健的対応を支持した人が50%を超えていたのは印象的だった。韓国の人々は事態を冷静に捉え、戦争回避のために真剣に考えているということになるのではないか。
北朝鮮に対する危険な軍事演習を支持し強硬姿勢をとることを主張する人は、それがいかなる結果をもたらすかを考えなければならない。日本では、それがもつ意味を深く考えることもなく、いたずらに排外主義や反北朝鮮、反中国感情があおられているのではないだろうか。
関連記事
※米韓合同軍事演習、年内にも再び行う方向(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101201-OYT1T01360.htm
※米韓合同軍事演習に参加の原子力空母、配備の横須賀には警戒感広がる(カナコロ)
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1012010018/
(ハンマー)
ここで、11月29日の報道ステーションが報じた、米韓軍事演習に対する日本の深い関わりについて簡単に紹介しておきたい。それは「朝鮮半島有事」において、日本が戦争の当事者、日本全土が北朝鮮を襲う出撃基地になってしまうということだ。沖縄・嘉手納基地、神奈川・横須賀基地、青森・三沢基地、長崎・佐世保基地など日本全土が出撃基地になるのである。日本の自衛隊は兵站・後方支援を担わされる
もちろんこれは、有事の場合ということではない。すでに今回の演習ではじまっている。
○極東最大の空軍基地である沖縄の嘉手納基地。
映し出されるのは特殊な偵察機2機。
一つは電子偵察機コブラボール。米本土から飛来し、弾道ミサイルの軌跡を追跡する。
もう一つは電子偵察機リベットジョイント。北朝鮮国内の戦車の動きなどを追跡・分析する。さらに対潜水艦作戦を遂行するP3C対潜哨戒機やEP3電子偵察機もある。
これら兵器には嘉手納のマークであるZZの文字が無く、別の基地から飛来したことかわかる。
偵察機ジョイント・スターズは、遠く250キロ離れた北朝鮮内部まで詳細にとらえることができる。
宮城嘉手納町長は「世界のどこかで何か、動きがあると、連動してこの基地が動き始める」と沖縄基地が世界戦略の中で位置づけられていることを語っている。まさに朝鮮半島が一気に緊迫したことで、これらの兵器が米本国から呼び寄せられ、軍事演習に参加し、「朝鮮半島有事」にそなえているのである。
ここで“沖縄、そして日本全体がすでに部外者ではない”とのナレーションが入る。横須賀基地からは原子力空母ジョージ・ワシントンが出港し、嘉手納からはこれら戦闘機・偵察機が動員されている。北朝鮮攻撃のための激しい軍事演習が24時間態勢で行われる。
○番組では、各国で「朝鮮半島有事」が現実のものとして認識され、それにむけた対応が検討されているという。在韓フィリピン人の退避が問題になっていることを報じたあとで、日本における「朝鮮半島有事」の検証にはいる。
・「朝鮮半島有事」になれば、まず岩国基地の海兵隊と沖縄普天間基地の海兵隊が動員されることになる。
・岩国基地からはおよそ40分で北朝鮮上空に到達する。
・三沢や嘉手納の空軍基地からは、攻撃機、戦闘機が動員される。
・軍事評論家小川和久氏は、「朝鮮半島有事」になると、空軍の作戦戦闘機が400機くらい、海兵隊航空機も普天間基地だけで300機くらいにふくれあがる、と指摘する。
・さらに「周辺事態」になれば、米軍のために物資や燃料補給を日本が担うことが要請される。
○すでに最近、嘉手納基地では、ジェット戦闘機の訓練が増え、騒音の苦情が相次いでいるという。軍事演習と「有事」に備えた戦闘訓練が激増しているのである。
○番組は、嘉手納や横須賀が北朝鮮ミサイルの標的になる懸念を伝えているが、もちろんそれは本末転倒である。日本は“部外者”ではない。
番組で紹介された韓国の世論調査で、「軍事的対抗措置をとるべき」と答えた人が47%なのに対して、「軍事的対抗ではなく対話」「経済制裁や外交」という穏健的対応を支持した人が50%を超えていたのは印象的だった。韓国の人々は事態を冷静に捉え、戦争回避のために真剣に考えているということになるのではないか。
北朝鮮に対する危険な軍事演習を支持し強硬姿勢をとることを主張する人は、それがいかなる結果をもたらすかを考えなければならない。日本では、それがもつ意味を深く考えることもなく、いたずらに排外主義や反北朝鮮、反中国感情があおられているのではないだろうか。
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※米韓合同軍事演習、年内にも再び行う方向(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101201-OYT1T01360.htm
※米韓合同軍事演習に参加の原子力空母、配備の横須賀には警戒感広がる(カナコロ)
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1012010018/
(ハンマー)