長門「団長不信任案が可決された」ハルヒ「な、なんですって……」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1279633528/
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/20(火) 23:10:12.22 ID:9TLYefDe0
夏休みも近いある日、アタシはいつものように、勢いよくSOS団の部屋のドアを開けた。
ハルヒ「みんなきてるー!」
キョン「おう」
古泉「ええ、来ていますよ」
みくる「こんにちは、涼宮さん」
長門「…」
何だろう、凄く違和感を感じる…有希だ。有希が本を読まずにじっとアタシの方を見ている。
ハルヒ「有希!暑いけど夏バテしてない?元気」
長門「…元気」
ハルヒ「そう、熱中症には気をつけるのよ」
長門「…今日は話がある。聞いてほしい」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/20(火) 23:30:37.10 ID:9TLYefDe0
ボードゲームを取り出していた古泉君の手が止まる。キョンも不思議な少し不思議な顔をしてこっちを見ている。
有希の抑揚のない話し方はいつも通りだけれど、何故か嫌な予感がした。
ハルヒ「何かしら有希。不思議なことでも見つかったの?」
長門「…これを聞いてほしい」
ずいぶんと年代物のICレコーダーを有希が私に手渡す。
アタシの胸の中が、嫌な予感と好奇心がごちゃ混ぜになる。
ハルヒ「これがどうかしたの?」
長門「再生ボタンを押して」
ハルヒ「いいけど、何なのコレ?」
これからやってくる、二度と来ない楽しい高校2年の夏がボタンひとつで崩れていくなんて、
この時のアタシは微塵も考えていなかった。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/20(火) 23:46:42.73 ID:9TLYefDe0
ICレコーダーのボリュームは最大になっている。ブツブツというノイズの音と、
ガサガサとレコーダーに何かが当たる音がして、アタシは雨の音を連想した。
-いつも申し訳ありません。これ、飲み物と食事のお代です-
-ああ、すまんな。ただこれ少し多すぎないか?-
-僕の分と涼宮さんの分ですよ-
-お前がハルヒの分まで出さんでも-
-まぁまぁ。あなた探索の時に物欲しそうな顔でジーンズを見てたでしょう?-
-気づいてたのか?…正直助かる。最近は服も買えなかったからな‐
‐借りた物を返したまでです。人として当然のことをしたまでですよ‐
‐それ、ハルヒに直接言ってやれよ‐
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:02:37.74 ID:ZjfpUiTb0
背中の毛穴が全て開いたみたいに、アタシの身体から力が抜けていく。
キョンが愚痴を言うのはいつものことだけど。なんだかんだいいながら、どこか包み込んでくれるような
話し方が好きだった。アタシのいない所では、あんな冷たい喋り方をするなんて信じたくなかった。
ハルヒ「キョ~ン。アンタ、団長の陰口をたたくなんて、どういうつもり?」
キョン「まて、ハルヒ。それは…その」
なんだ、気にすることないじゃない。こういう風にキョンを怒れば、またいつものSOS団の
光景に戻るじゃない。そう、これは有希なりのジョークだったのね。
長門「…まだ終わっていない」
まただ、何でそんなことをいうの?これからいつものようにキョンのネクタイをつかんで、
そしたらキョンが「落ちつけハルヒ」って優しい声で言い訳して、賑やかなSOS団が戻ってくるのに。
長門「次は、これ」
有希はまた、違うICレコーダーをとりだしてアタシに差し出した。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:16:01.98 ID:ZjfpUiTb0
ハルヒ「まだ…あるの?」
有希は小さく頷く。
ハルヒ「もういいわ。どうせまたキョンのくだらない愚痴でも入ってるんでしょう?
有希、こういうジョークはあまりしつこいと面白くないの。だからもういいわ」
長門「…私は、本気」
本気?どういうことなの。思わず顔をしかめて有希を見つめる。有希の目はまっすぐアタシを見つめていて、
思わず目を逸らしてしまった。その瞬間また、レコーダーから雨の音が聞こえ始めた。
‐キョン君、いつもすいません。私の用事につき合わせてしまって‐
‐いいんですよ朝比奈さん。もとはと言えばハルヒが原因なんですから‐
今度のは、たったそれだけだった。でもその十数秒の会話は、アタシの胸に深く突き刺さるようだった。
みくるちゃんの用事?アタシが原因?何の事だかわからないけれど、それを聞く勇気すらもう残されていない。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:35:20.99 ID:ZjfpUiTb0
長門「…どう思う」
ハルヒ「どう、思うって…」
長門「この二つの会話の、共通点は何?」
アタシはもう気付いている。だけど言いたくなかった。
ハルヒ「…さぁ」
長門「あなたに迷惑を被っているのは、間接的であれ直接的であれ、いつも彼だということ」
迷惑?どういう意味なんだろう。確かに色々なことをさせたりしたけど、
キョンは迷惑だとは思っていない。そう強く反論したいのに、何故か言葉が口から出ない。
長門「私は、個人的にあなたの行動に文句をつける気はない。
でも、彼があなたから迷惑を被っている姿を見るのは非常に不愉快。
もしもあなた以外の人間が団長なら、きっと彼にここまで苦労をかけさせないはず」
キョン「長門!別に俺は迷惑だなんて…」
やっぱりキョンは優しい。でもその大好きだった声さえも、今のアタシは、疑わずにはいられない。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:36:10.13 ID:SBWHRcrF0
大門「団長不信任案が可決された…」に見えた
疲れてるんだな…
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:56:36.43 ID:ZjfpUiTb0
長門「ここに4枚の紙を用意した。団長以外の4人が、本当は誰が団長になって欲しいのか、
書いて欲しい。口では直接言いづらいから」
ハルヒ「そう、好きにすればいいわ」
有希が、キョンと古泉君とみくるちゃんに紙とペンを渡す。アタシはただその姿を見ている。
一人でもアタシ以外の人間の名前を書いていたら、もうアタシはこの部屋を去ろう。
多分、有希は違う人の名前を書くから、もう決定事項なのかもしれない。
古泉(長門さんにはすみませんが…涼宮ハルヒと書かせてもらいます)
みくる(…涼宮さん、と)
キョン(長門の気持ちはありがたいが、ハルヒ以外考えられん)
長門「…書いた?そうしたら彼女に紙を渡して」
アタシの口から直接結果を言わせる気なのね。
有希以外の3人が、大丈夫だよという目でアタシを見ながら紙を手渡してくれた。
ほんの少しだけ、気持ちが落ち着く。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 00:57:40.52 ID:4OJahyDTO
ハルヒって長門に気を遣ってるけど、長門ってハルヒを気にかけたりしないよね
消失でも適当に他校に投げたし
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:01:03.33 ID:T17ZrCBx0
>>24
恋敵
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:01:38.86 ID:ZkUV6Mvd0
>>24
煩くて静かに本読めんから邪魔なんじゃね?
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:04:51.32 ID:ZjfpUiTb0
長門「じゃあ、結果を教えて」
震えそうな手で、折られた紙を開く。一枚めくるごとに、アタシの目には涙が溜まり始めた。
ハルヒ「…」
長門「…結果は?」
ハルヒ「涼宮ハルヒ、1票…長門有希……3票」
キョン(どういうことだ?ハルヒに入れたのは俺だけってことか)
古泉(これは…そんな)
みくる(キョン君、古泉君…なんで?)
長門「これが、あなた以外の団員の本音」
「団長不信任案が可決された」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:05:45.05 ID:UfgGjtj+0
これは悪い長門だ
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:06:10.35 ID:RYcvL7Rq0
長門クーデター
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:06:11.75 ID:T17ZrCBx0
情報操作か・・・・?
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:06:36.76 ID:iIMdDJBy0
おれの好きな長門はこんな子とする子じゃない
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:07:08.80 ID:cUvcESqA0
長門好きだったが嫌いになりそうだわ
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:10:05.63 ID:NI0mZ/nr0
ああ、長門がダークサイドに…
ハルヒは市ね
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:10:45.50 ID:akWoclNHO
ちょっと感心した
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:15:42.93 ID:gzcPzUgNO
わるい長門有希
よわきな涼宮ハルヒ
実に素晴らしい組み合わせである
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:18:31.61 ID:PnpLOiHrI
さすが長門
ハルヒと対当に話せる奴はキョンしかいないが、キョンはいつも口論の最中にモノローグになったりして肝心な言葉を言わねぇ
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:19:49.42 ID:ZjfpUiTb0
ハルヒ「そうね…じゃあアタシはもうこの部屋には来ない方がいいわね」
古泉「ちょっと待って下さい!団長は不信任なったかもしれませんが、
SOS団を辞める必要はないんじゃないでしょうか」
ハルヒ「いいのよ、古泉君。さよなら」
目に溜まった涙を、こぼさないようにするのが、アタシの精一杯の有希に対する抵抗だった。
キョン「ちょっと待てよハルヒ!」
キョンがアタシの手を掴む。以前ならそれだけで少し胸がざわついたのに、
今はアタシの心を冷たくさせる、ただのモノのようだった。
ハルヒ「離してよ!」
キョンの手を振り払い、アタシは部屋を出た。そして声を殺しながら走る。
3人が有希に票を入れたことが悲しいわけではなかった。
何よりも悲しかったのは、
少し雑だが温かみのあるキョンの字が、長門の二文字を書いていたことだった。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:39:40.02 ID:ZjfpUiTb0
キョン「とにかく俺はハルヒを追いかける」
古泉「待って下さい。あなたは一体どういうつもりなんですか?」
キョン「何をいってるんだお前は?本当はお前をぶん殴りたいところなんだぞ!」
みくる「…ひどいです。ふたりとも」
古泉「あなたに言われたくないですねぇ。そんなに涼宮さんのことを嫌いでしたか?」
みくる「そんな!ひどいです。わたしは、わたしだけは涼宮さんに投票したのに。
それなのに古泉君とキョン君は、涼宮さんを気遣うふりして長門さんに」
キョン「どういうことですか?ハルヒに投票したのは俺だけ…」
古泉「そんな…まさか」
キョン「長門っ!お前」
長門「私は何もしていない。あなたたちのうち、誰か二人が嘘をついている。
それに、もし情報操作をするなら全ての票を、私の名前にしていた」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:46:08.53 ID:ZjfpUiTb0
古泉「いい加減にしてください。そんな嘘に騙されるとでも思うんですか」
長門「…」
古泉「全ての票を操作してしまったら、その場で僕らが不正に気付いてしまうじゃないですか」
長門「…そう」
キョン「長門、お前一体どういうつもりでこんなマネをしたんだよ!」
長門「先程言った通り。あなたが不憫だったから」
キョン「じゃあ、言っておく。そんな勝手に人に同情するな。俺はハルヒを追いかけてくる」
長門「…待って」
キョン「何だよ?」
長門「…本当の理由を教える」
キョン「まだ嘘をついてたのか…本当の理由ってなんだ?」
長門「涼宮ハルヒの能力が…あなたに移り始めている」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:57:39.45 ID:FmDXE39KO
みくるがお母さん役してるみたいで可笑しい
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:59:37.67 ID:2IkkvIyq0
長門が初期設定の綾波に見えた
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 02:26:27.91 ID:ZjfpUiTb0
キョン「そんな…バカな」
長門「…事実」
古泉「そういえば…」
キョン「どうしたんだ古泉?」
古泉「非常に下世話な話になるのかもしれませんが…最近たまに発生する神人には少し異変があるんです」
キョン「異変って…」
古泉「神人の下半身部分に突起のようなものがあるのですが…いわゆる男性器の形に似ているんです」
長門「そう、まだそれは完全なものではない。しかしそれは、男性である彼に能力が移動している
証拠だと、情報統合思念体は考えている」
古泉「そんな…」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 02:47:06.29 ID:ZjfpUiTb0
みくる「でも、それじゃあ私達の未来はどうなってしまうんですか?
消滅してしまうか、完全に別のものになってしまうことになったら…私は」
長門「その心配はないと思われる。彼は朝比奈みくる、あなたを通して未来人というもののイメージを
明確にもっている。涼宮ハルヒよりも危なげなく、あなたの未来を保持するはず」
みくる「…そうなんですか」
長門「寧ろ今の中途半端な状況の方があなたにとっては危険。
涼宮ハルヒをとるか、彼をとるか、どちらが重要かその内決断を迫られることになる」
古泉「しかし、わざわざこんなことをしなくても。涼宮さんが可哀そうではありませんか」
長門「…その理由は、今は言えない」
古泉「…そんな。一体あなたは何を考えているんですか?」
長門「今日は、もう帰る」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 02:56:29.92 ID:ZjfpUiTb0
~長門のマンション~
長門「たっだいまー!」
喜緑「おかえりなさい。その姿でその喋り方は違和感がありますよ」
長門「だって、もうあの暗い喋り方疲れちゃうんですもん。どう?お人形さんはいい子にしてた」
喜緑「ええ、見事に凍結されて、うんともすんともいいません」
長門「ふふ、せっかく面白いことが起き始めてるのに。上の指令に逆らうからこんなことに
なるんですよ長門さん」
喜緑「もう、いい加減にしなさいよ。気味が悪いから早く変わりなさい」
長門「わかったわかった」
朝倉「はぁ~疲れた。けど、これから楽しくなりそうね」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 20:19:40.55 ID:HBk+ZEghP
頼む! ハルヒだけ不幸になってくれ!
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 20:20:36.96 ID:EUObrK680
○
O __
o ´: : : : : : : ̄ ̄ 、
。 / : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
/ : : : : : : : : : : : : . . .\
、__//. /. . . . . . . . . . . : : ! : : : : ヽ
 ̄/. : /. : : : :/ : : : : : : : : : : : \l: : : : : : :ヽ と
l : : l : / : /. :/ : : ヽ、: : : `ヽ : !: :l: : : : : ヽ、 思
l :/ l : l: : :l :∧: :ト、: lヽ、: : : :ヽ!: :l: :l: : : l  ̄ う
l/!: ! : l: :/l/‐-ヽ! ヽ ! _ヽ-―!‐ !: :l: : : ! 長
ヽ! : l : ! rfチミ、 ヽ´ fr旡ミ! : ト、l : : ′ 門
ヽ !: :l rっソ 匕り !: : !丿/j/ 有
j∧ :ト、 `¨ . l l :l j/ 希
V: :lヽ、 _ /j/!/ で
ヽ: ! > __.. ィ ト、〃 あ
ヽ! //j ト!/\ っ
_/ :/-―――-l : : : :ヽ、__ た
/|::|: : : :! -―――-! : : : : : :/∧
_____ /! !::!: : : :! ̄  ̄ ̄/. : : : : :/://:!
∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧ /. : : : : :/://.:::l
∨ ∧ /. : : : : :/://.::::::l
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1279633528/
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/20(火) 23:10:12.22 ID:9TLYefDe0
夏休みも近いある日、アタシはいつものように、勢いよくSOS団の部屋のドアを開けた。
ハルヒ「みんなきてるー!」
キョン「おう」
古泉「ええ、来ていますよ」
みくる「こんにちは、涼宮さん」
長門「…」
何だろう、凄く違和感を感じる…有希だ。有希が本を読まずにじっとアタシの方を見ている。
ハルヒ「有希!暑いけど夏バテしてない?元気」
長門「…元気」
ハルヒ「そう、熱中症には気をつけるのよ」
長門「…今日は話がある。聞いてほしい」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/20(火) 23:30:37.10 ID:9TLYefDe0
ボードゲームを取り出していた古泉君の手が止まる。キョンも不思議な少し不思議な顔をしてこっちを見ている。
有希の抑揚のない話し方はいつも通りだけれど、何故か嫌な予感がした。
ハルヒ「何かしら有希。不思議なことでも見つかったの?」
長門「…これを聞いてほしい」
ずいぶんと年代物のICレコーダーを有希が私に手渡す。
アタシの胸の中が、嫌な予感と好奇心がごちゃ混ぜになる。
ハルヒ「これがどうかしたの?」
長門「再生ボタンを押して」
ハルヒ「いいけど、何なのコレ?」
これからやってくる、二度と来ない楽しい高校2年の夏がボタンひとつで崩れていくなんて、
この時のアタシは微塵も考えていなかった。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/20(火) 23:46:42.73 ID:9TLYefDe0
ICレコーダーのボリュームは最大になっている。ブツブツというノイズの音と、
ガサガサとレコーダーに何かが当たる音がして、アタシは雨の音を連想した。
-いつも申し訳ありません。これ、飲み物と食事のお代です-
-ああ、すまんな。ただこれ少し多すぎないか?-
-僕の分と涼宮さんの分ですよ-
-お前がハルヒの分まで出さんでも-
-まぁまぁ。あなた探索の時に物欲しそうな顔でジーンズを見てたでしょう?-
-気づいてたのか?…正直助かる。最近は服も買えなかったからな‐
‐借りた物を返したまでです。人として当然のことをしたまでですよ‐
‐それ、ハルヒに直接言ってやれよ‐
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:02:37.74 ID:ZjfpUiTb0
背中の毛穴が全て開いたみたいに、アタシの身体から力が抜けていく。
キョンが愚痴を言うのはいつものことだけど。なんだかんだいいながら、どこか包み込んでくれるような
話し方が好きだった。アタシのいない所では、あんな冷たい喋り方をするなんて信じたくなかった。
ハルヒ「キョ~ン。アンタ、団長の陰口をたたくなんて、どういうつもり?」
キョン「まて、ハルヒ。それは…その」
なんだ、気にすることないじゃない。こういう風にキョンを怒れば、またいつものSOS団の
光景に戻るじゃない。そう、これは有希なりのジョークだったのね。
長門「…まだ終わっていない」
まただ、何でそんなことをいうの?これからいつものようにキョンのネクタイをつかんで、
そしたらキョンが「落ちつけハルヒ」って優しい声で言い訳して、賑やかなSOS団が戻ってくるのに。
長門「次は、これ」
有希はまた、違うICレコーダーをとりだしてアタシに差し出した。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:16:01.98 ID:ZjfpUiTb0
ハルヒ「まだ…あるの?」
有希は小さく頷く。
ハルヒ「もういいわ。どうせまたキョンのくだらない愚痴でも入ってるんでしょう?
有希、こういうジョークはあまりしつこいと面白くないの。だからもういいわ」
長門「…私は、本気」
本気?どういうことなの。思わず顔をしかめて有希を見つめる。有希の目はまっすぐアタシを見つめていて、
思わず目を逸らしてしまった。その瞬間また、レコーダーから雨の音が聞こえ始めた。
‐キョン君、いつもすいません。私の用事につき合わせてしまって‐
‐いいんですよ朝比奈さん。もとはと言えばハルヒが原因なんですから‐
今度のは、たったそれだけだった。でもその十数秒の会話は、アタシの胸に深く突き刺さるようだった。
みくるちゃんの用事?アタシが原因?何の事だかわからないけれど、それを聞く勇気すらもう残されていない。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:35:20.99 ID:ZjfpUiTb0
長門「…どう思う」
ハルヒ「どう、思うって…」
長門「この二つの会話の、共通点は何?」
アタシはもう気付いている。だけど言いたくなかった。
ハルヒ「…さぁ」
長門「あなたに迷惑を被っているのは、間接的であれ直接的であれ、いつも彼だということ」
迷惑?どういう意味なんだろう。確かに色々なことをさせたりしたけど、
キョンは迷惑だとは思っていない。そう強く反論したいのに、何故か言葉が口から出ない。
長門「私は、個人的にあなたの行動に文句をつける気はない。
でも、彼があなたから迷惑を被っている姿を見るのは非常に不愉快。
もしもあなた以外の人間が団長なら、きっと彼にここまで苦労をかけさせないはず」
キョン「長門!別に俺は迷惑だなんて…」
やっぱりキョンは優しい。でもその大好きだった声さえも、今のアタシは、疑わずにはいられない。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:36:10.13 ID:SBWHRcrF0
大門「団長不信任案が可決された…」に見えた
疲れてるんだな…
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 00:56:36.43 ID:ZjfpUiTb0
長門「ここに4枚の紙を用意した。団長以外の4人が、本当は誰が団長になって欲しいのか、
書いて欲しい。口では直接言いづらいから」
ハルヒ「そう、好きにすればいいわ」
有希が、キョンと古泉君とみくるちゃんに紙とペンを渡す。アタシはただその姿を見ている。
一人でもアタシ以外の人間の名前を書いていたら、もうアタシはこの部屋を去ろう。
多分、有希は違う人の名前を書くから、もう決定事項なのかもしれない。
古泉(長門さんにはすみませんが…涼宮ハルヒと書かせてもらいます)
みくる(…涼宮さん、と)
キョン(長門の気持ちはありがたいが、ハルヒ以外考えられん)
長門「…書いた?そうしたら彼女に紙を渡して」
アタシの口から直接結果を言わせる気なのね。
有希以外の3人が、大丈夫だよという目でアタシを見ながら紙を手渡してくれた。
ほんの少しだけ、気持ちが落ち着く。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 00:57:40.52 ID:4OJahyDTO
ハルヒって長門に気を遣ってるけど、長門ってハルヒを気にかけたりしないよね
消失でも適当に他校に投げたし
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:01:03.33 ID:T17ZrCBx0
>>24
恋敵
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:01:38.86 ID:ZkUV6Mvd0
>>24
煩くて静かに本読めんから邪魔なんじゃね?
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:04:51.32 ID:ZjfpUiTb0
長門「じゃあ、結果を教えて」
震えそうな手で、折られた紙を開く。一枚めくるごとに、アタシの目には涙が溜まり始めた。
ハルヒ「…」
長門「…結果は?」
ハルヒ「涼宮ハルヒ、1票…長門有希……3票」
キョン(どういうことだ?ハルヒに入れたのは俺だけってことか)
古泉(これは…そんな)
みくる(キョン君、古泉君…なんで?)
長門「これが、あなた以外の団員の本音」
「団長不信任案が可決された」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:05:45.05 ID:UfgGjtj+0
これは悪い長門だ
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:06:10.35 ID:RYcvL7Rq0
長門クーデター
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:06:11.75 ID:T17ZrCBx0
情報操作か・・・・?
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:06:36.76 ID:iIMdDJBy0
おれの好きな長門はこんな子とする子じゃない
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:07:08.80 ID:cUvcESqA0
長門好きだったが嫌いになりそうだわ
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:10:05.63 ID:NI0mZ/nr0
ああ、長門がダークサイドに…
ハルヒは市ね
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:10:45.50 ID:akWoclNHO
ちょっと感心した
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:15:42.93 ID:gzcPzUgNO
わるい長門有希
よわきな涼宮ハルヒ
実に素晴らしい組み合わせである
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:18:31.61 ID:PnpLOiHrI
さすが長門
ハルヒと対当に話せる奴はキョンしかいないが、キョンはいつも口論の最中にモノローグになったりして肝心な言葉を言わねぇ
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:19:49.42 ID:ZjfpUiTb0
ハルヒ「そうね…じゃあアタシはもうこの部屋には来ない方がいいわね」
古泉「ちょっと待って下さい!団長は不信任なったかもしれませんが、
SOS団を辞める必要はないんじゃないでしょうか」
ハルヒ「いいのよ、古泉君。さよなら」
目に溜まった涙を、こぼさないようにするのが、アタシの精一杯の有希に対する抵抗だった。
キョン「ちょっと待てよハルヒ!」
キョンがアタシの手を掴む。以前ならそれだけで少し胸がざわついたのに、
今はアタシの心を冷たくさせる、ただのモノのようだった。
ハルヒ「離してよ!」
キョンの手を振り払い、アタシは部屋を出た。そして声を殺しながら走る。
3人が有希に票を入れたことが悲しいわけではなかった。
何よりも悲しかったのは、
少し雑だが温かみのあるキョンの字が、長門の二文字を書いていたことだった。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:39:40.02 ID:ZjfpUiTb0
キョン「とにかく俺はハルヒを追いかける」
古泉「待って下さい。あなたは一体どういうつもりなんですか?」
キョン「何をいってるんだお前は?本当はお前をぶん殴りたいところなんだぞ!」
みくる「…ひどいです。ふたりとも」
古泉「あなたに言われたくないですねぇ。そんなに涼宮さんのことを嫌いでしたか?」
みくる「そんな!ひどいです。わたしは、わたしだけは涼宮さんに投票したのに。
それなのに古泉君とキョン君は、涼宮さんを気遣うふりして長門さんに」
キョン「どういうことですか?ハルヒに投票したのは俺だけ…」
古泉「そんな…まさか」
キョン「長門っ!お前」
長門「私は何もしていない。あなたたちのうち、誰か二人が嘘をついている。
それに、もし情報操作をするなら全ての票を、私の名前にしていた」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 01:46:08.53 ID:ZjfpUiTb0
古泉「いい加減にしてください。そんな嘘に騙されるとでも思うんですか」
長門「…」
古泉「全ての票を操作してしまったら、その場で僕らが不正に気付いてしまうじゃないですか」
長門「…そう」
キョン「長門、お前一体どういうつもりでこんなマネをしたんだよ!」
長門「先程言った通り。あなたが不憫だったから」
キョン「じゃあ、言っておく。そんな勝手に人に同情するな。俺はハルヒを追いかけてくる」
長門「…待って」
キョン「何だよ?」
長門「…本当の理由を教える」
キョン「まだ嘘をついてたのか…本当の理由ってなんだ?」
長門「涼宮ハルヒの能力が…あなたに移り始めている」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:57:39.45 ID:FmDXE39KO
みくるがお母さん役してるみたいで可笑しい
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/21(水) 01:59:37.67 ID:2IkkvIyq0
長門が初期設定の綾波に見えた
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 02:26:27.91 ID:ZjfpUiTb0
キョン「そんな…バカな」
長門「…事実」
古泉「そういえば…」
キョン「どうしたんだ古泉?」
古泉「非常に下世話な話になるのかもしれませんが…最近たまに発生する神人には少し異変があるんです」
キョン「異変って…」
古泉「神人の下半身部分に突起のようなものがあるのですが…いわゆる男性器の形に似ているんです」
長門「そう、まだそれは完全なものではない。しかしそれは、男性である彼に能力が移動している
証拠だと、情報統合思念体は考えている」
古泉「そんな…」
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 02:47:06.29 ID:ZjfpUiTb0
みくる「でも、それじゃあ私達の未来はどうなってしまうんですか?
消滅してしまうか、完全に別のものになってしまうことになったら…私は」
長門「その心配はないと思われる。彼は朝比奈みくる、あなたを通して未来人というもののイメージを
明確にもっている。涼宮ハルヒよりも危なげなく、あなたの未来を保持するはず」
みくる「…そうなんですか」
長門「寧ろ今の中途半端な状況の方があなたにとっては危険。
涼宮ハルヒをとるか、彼をとるか、どちらが重要かその内決断を迫られることになる」
古泉「しかし、わざわざこんなことをしなくても。涼宮さんが可哀そうではありませんか」
長門「…その理由は、今は言えない」
古泉「…そんな。一体あなたは何を考えているんですか?」
長門「今日は、もう帰る」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 02:56:29.92 ID:ZjfpUiTb0
~長門のマンション~
長門「たっだいまー!」
喜緑「おかえりなさい。その姿でその喋り方は違和感がありますよ」
長門「だって、もうあの暗い喋り方疲れちゃうんですもん。どう?お人形さんはいい子にしてた」
喜緑「ええ、見事に凍結されて、うんともすんともいいません」
長門「ふふ、せっかく面白いことが起き始めてるのに。上の指令に逆らうからこんなことに
なるんですよ長門さん」
喜緑「もう、いい加減にしなさいよ。気味が悪いから早く変わりなさい」
長門「わかったわかった」
朝倉「はぁ~疲れた。けど、これから楽しくなりそうね」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 20:19:40.55 ID:HBk+ZEghP
頼む! ハルヒだけ不幸になってくれ!
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/21(水) 20:20:36.96 ID:EUObrK680
○
O __
o ´: : : : : : : ̄ ̄ 、
。 / : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
/ : : : : : : : : : : : : . . .\
、__//. /. . . . . . . . . . . : : ! : : : : ヽ
 ̄/. : /. : : : :/ : : : : : : : : : : : \l: : : : : : :ヽ と
l : : l : / : /. :/ : : ヽ、: : : `ヽ : !: :l: : : : : ヽ、 思
l :/ l : l: : :l :∧: :ト、: lヽ、: : : :ヽ!: :l: :l: : : l  ̄ う
l/!: ! : l: :/l/‐-ヽ! ヽ ! _ヽ-―!‐ !: :l: : : ! 長
ヽ! : l : ! rfチミ、 ヽ´ fr旡ミ! : ト、l : : ′ 門
ヽ !: :l rっソ 匕り !: : !丿/j/ 有
j∧ :ト、 `¨ . l l :l j/ 希
V: :lヽ、 _ /j/!/ で
ヽ: ! > __.. ィ ト、〃 あ
ヽ! //j ト!/\ っ
_/ :/-―――-l : : : :ヽ、__ た
/|::|: : : :! -―――-! : : : : : :/∧
_____ /! !::!: : : :! ̄  ̄ ̄/. : : : : :/://:!
∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧ /. : : : : :/://.:::l
∨ ∧ /. : : : : :/://.::::::l
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます