エスペラントな日々

エスペラントを学び始めて14年目である。この言葉をめぐる日常些事、学習や読書、海外旅行や国際交流等々について記す。

korekta を「正しい」の意味に使うことは「正しくない」のか?

2012-02-09 | エスペラントあれこれ


 PMEG 学習、Vortfarado(単語構成) の続き。

1.-O 語尾は本来の意味に何も付け加えない。語根が複数の意味を持てば、名刺も複数の意味を持つ。
  konstruo:行動(建設=konstruado)・その結果(建造物=konstruajxo)・方法(構造)

2-1.-A 語尾は関連する事柄に関して、そのように、などの意味を持つ。
  amika:友達のような、友達に関する、など
2-2.性質の意味を持つ(形容詞的な)語根から作られる A-単語は、そのままその性質を表す。
  bona:よい
 まれに特別な意味を持つことがある。
  stulta demando:ばかげた質問(「質問」が馬鹿げているのではなく、質問者の馬鹿さ加減を示している)
  lauxta cxambro:騒がしい部屋(部屋自体が騒がしいのではなく、騒がしさに満ちた部屋)
2-3.形容詞的でない語根から作られる A単語は文脈から様々な意味を持つ。
  regxa konduto:王様のような行動
  regxa persono:王様その人、王様の家族、など
  regxa palaco:王様(所有)の宮殿
2-4.行動の語根から作られる A単語はその行動に関して様々な意味を持ちうる。-anta単語、-inta単語にも似た意味を持つこともある。
  morta besto:死んだ動物
  morta kondamno:死刑宣告
  morta vundo:死に至る傷
 行動の語根から作られる A単語には特殊な意味を持つ場合がある。ときに受動態の分詞形容詞に似た意味を持つ。
  suspekti:sen pruvo pensi ke io estas malbona, ke iu estas kulpa
  suspekta:tia ke gxi vekas suspekton, suspektinda (=suspektata)
(注:これは日本語に訳してしまうとかえって分からなくなるので、あえてそのまま引用しておく)
2-4.korekta を性質の意味(正しい)で使うことは「誤用とされている」(エス日辞典、PIV でも避けるべきとしている)。korektanta, rilata al korekto(訂正の・更正の)の意味のみに使うべきだとする主張であるが、しかし korekta を「正しい」の意味に使うことはエスペラントでは普通のことであり、ザメンホフを初め多くの作家がそのように使っている。PIV の中でさえ複数の箇所で使われており、PAG では多用している。

 PMEG の中では「正しい」の意味で使われている korekta について書きたかったので、少し詳しく書きすぎてしまった。この部分は、例えば「疑う」「疑わしい」などと日本語に訳してしまうとかえって分かりにくくなる。 実のところ、まだ私には完全には理解できていない。

   
写真は恵那市の明治天皇行在所・当時のままに保存されている浴室・便所
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単語の構成

2012-02-05 | エスペラントあれこれ


 PMEG 学習の続きである。今回は Vortfarado(単語構成) から。

・単語の3つの主要構成要素
 1.品詞語尾 o, a, e, i, as, is, os, us, u
 2.小辞 それ自体で独立の単語
 3.語根 最も多い。意味を持つが、品詞語尾を伴う必要がある。

・語根の持つ本来の意味
 (使われていれば)名詞形にしたときの意味に一致する。複数の意味を持つ語根もあり、その場合は名詞形も複数の意味を持つ。

・語根の持つ意味の重要性
 2つの動詞 kombi(髪をとく)と brosi(ブラシをかける)は似た意味を持つが、これらを名詞にすると、kombo(髪をとくこと)broso(ブラシ)と全く異なる意味になる。
 これは、語根 komb は行動の意味を持ち、blos は道具を表しているからである。komb から道具を作るには、komb-il-o を、blos から行動の名詞を作るには、bros-ad-o を作る。
 以上のように、語根の本来の意味を知ることは、様々な合成語を作る場合に非常に重要である。
 上例のような、動詞では似ていても語根の意味が違う組み合わせは他にもいくつかある。
  bati - marteli, servi - sklavi, kudri - tajlori, viziti - gasti などなど。
 形容詞形では似ていても語根の意味が異なる組み合わせの例:
  nobla - nobela, lerta - majstra, kuragxa - heroa, proksima - najbara などなど。

・「語根の持つ本来の意味」を「語根の品詞性」で説明することも出来る。
 この場合、broso、kombi が基本の語である。ふつう、辞書にはこの基本語の形で現れる。しかし、多くの辞書編者が本来の意味に十分な注意を払っていない。
 エスエス辞書 NPIV にも一貫していない例がある。
  demonstaci-o, demonst-i この2つの単語はどちらも行動の意味を持つが、一方は名詞、もう一方は動詞としている。
  konkurenc-o, konkur-i も同様。

・単語の要素はひとつの意味だけを持つわけではない。辞書を引けばすぐに分かることである。他の言語に比べると少ないが同音異義語もある。
  akt(演劇の幕・文書)、artikol(冠詞・記事)、kub(立方体・キューバ)、metr(長さの単位・詩のリズム)

 今回はここまで。 demonstraci-o や konkurenc-o はエス日辞典もPIVと同じ扱いをしている。 demonstraci の場合は、実際には 動詞形で使われることが少ないから名詞形で表してあるのではないかと思う。konkurenc についてはよく分からない。

   
写真は「明治天皇行在所」の天皇の間からお付きの人の部屋を望む。
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iPad

2012-02-01 | エスペラントな今日


 かつてパソコンなどでは先端を行っていた私だが、携帯電話が普及する頃から世の中の進歩について行けなくなってきた。ケータイは未だに持っていない。今回の記事も「何を今頃」と思われそうである。

 ネットでダウンロードした本や読み物を実際に読むにはパソコン画面で読むか、印刷してしまうかである。パソコン画面では読みにくいので、いままでは印刷・製本をしてきた。しかし eLibrejo など印刷不可能な PDF 形式のものも多い。これを印刷する裏技もあるが、結構面倒である。
 名古屋の学習会「Cxambro Cxarma」がアンデルセン童話集を取り上げることになった。この本は800ページを超える大部なもので重い。部分的に印刷することも出来るが、 eLibrejo の PDF データがあるので丸ごと運びたい。そこで、ノートパソコンと比較検討しながら iPad を購入した。
 データを持ち運ぶことが主目的なので、無線環境でネットに接続する本来の機能には用がない。自宅も有線 Lan である。
 使ってみるとなかなか便利である。アンデルセン童話集、PMEG、簡易エス日辞典の Pejvo、ネットで落としたインド建築関係の資料などのテキストや画像データ、Vocxoj el Japanio や Radio Verda、「お台場寄席」といった Podcast、たくさんの写真、などなどいろんなデータを薄いB5くらいの装置に詰め込んで持ち運びが出来る。ポケットに入る大きさではないが、本のように使うためには仕方がない。自宅で本を読むのにもデスクトップパソコンに比べれば余程快適である。
 自分で入れた Pejvo や PMEG は検索機能が使える(少々動作が遅いが)し、別に最初から国語・英和・和英・英々辞書も入っている(こっちは快調に動く。この機能が自作辞書にも使えるといいのだが、どなたか教えて頂けたらありがたい)。本を読むときは指先だけで拡大表示が出来る。縦型・横型どちらにも使える(動かすだけで自動的に変わる)。Radio Cxerizo のように音声とテキストの両方があるデータは、テキストを見ながら音を聞くこともできる。
 You Tube からダウンロードした動画はそれだけでは iPad で使えない。変換ソフトを調べたらフリーソフトが見つかった。えらく単純なソフトだが、サクサクと変換してくれる。便利な世の中ではある。
 余談であるが、少し古いデータをパソコンの中から探し出して開いたらエスペラントの字上符文字が化けてしまう。パソコンを更新したのでフォントが無くなってしまったらしい。大事なデータが呼び出せなくなる危険が常にある。バックアップだけで安心していてはいけない。

   
写真は恵那市内の明治天皇行在所内部。ここが天皇の泊まった部屋。
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固有名詞(最終回)

2012-01-29 | エスペラントあれこれ

(PMEGのまとめ)
 大文字と小文字の使い分けについては義務的な規則はない。大文字で書くとわかりやすくなることもあるが重要なことではない。
 ふつうすべての固有名詞を大文字で始める。複数の語からなる固有名詞はそれぞれの語を大文字で始める。
  Sankta Petro, Nova Zelando (Nov-Zelando)
 固有名詞から派生する語は固有名詞ではないが、大文字で始めることが多い。もちろん小文字にしてもかまわない。
  La Volapukistoj havis por sia agitado grandajn rimedojn kaj agadis per la plej vasta, pure Amerika reklamo, kaj la Esperantistoj agadis la tutan tempon preskaux tute sen iaj materialaj rimedoj.

 月の名前は固有名詞として大文字で始める。現代では小文字で書き始める人も多いが、固有名詞なので無冠詞である。
  Januaro, Marto, Ramadano
 しかし週の名前は普通名詞。
  lundo, mardo, merkredo

 固有名詞として扱われる祭りの名前もある。
  Kristnasko, Pasko, Advento

 国の名前は常に大文字で始める。国民は大文字で始めることも出来るが、実際には固有名詞ではないので小文字で初めてもよい。
  Usono, Usonano, usonano, Hindujo, Hindo, hindo
 言語名も大文字で始めても小文字で始めてもよい。もちろん固有名詞である言語名は大文字で始める。
  la Araba, la araba, paroli Cxine, paroli Cxine, Esperanto

 Fundamento の中では大文字小文字の使い分けは様々で、はっきりしたことは示していない。

 以上で少し詳しく書いたが、PMEG の固有名詞についてのまとめを終わる。大文字と小文字については特別な規則はないというのが大前提のようだ。全く大文字を使わない人もたまに見かける。固有名詞の派生語などは固有名詞ではないから小文字で始めるものだと、私自身は教えられた。
 最も議論になるのは国名における -uj- と -i- だが、MPEG ではこのことに大きな意味はない、大げさに論ずるべきではないという立場である。むしろ私には、日本の固有名詞を Ena Esperanto Societo といった名詞を並べてしまうことや、W に Ux をあてることの方が気になる。
   
写真は恵那市・旧中山道大井宿、明治天皇行在所。天皇が泊まった部屋や使った便所・風呂などがそのまま保存されている。
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国や国民・民族名ついて(最終回)

2012-01-24 | エスペラントあれこれ


 国や国民・民族名には歴史的・地理的条件などによって様々な例外的なものがある。
  belgoj:ベルギーの主要民族(Flandroj と Valonoj:フランドル人・ヴロン人)の総称。ベルギー人。
  Britoj:イギリス人、民族的には Angloj, Kimroj kaj Skotoj である。
  Baltoj:エストニア・リトアニア・ラトビア人の総称。

 例えば Japana は 日本人 Japano を形容詞にしたものだが、「日本人(語)の」だけでなく「日本の」「日本流の」といった意味にも使われる。もちろん Japania も可能だが、あまり使われない。

 上記の形容詞に lingvo をつけてその国の言葉を表す。lingvo はしばしば省略される。この言語名からはいろんな合成語が作られる。
  la Angla (lingvo)=la lingvo de la angla popolo (kaj de multaj aliaj)
  angligi:英訳する
  elarabigi:アラビア語から訳す
  hispanparolanto:スペイン語話者
  Japanlingva:日本語の、日本語を知っている

 対応する国のない民族・言語がたくさんある。
  la Hebrea lingvo:ヘブライ語
  la Persa:ペルシャ語(イランの主要民族 Persoj:ペルシャ人)

 独自の名前を持つ言語
  Esperanto, Sanskrito, Latino, Ido...

 計画言語はすべて独自の名前を持つが、その多くはエスペラント化されない形で使われる。例外的に Ido, Volapuko。
  Solresol, Basic English

(注:PMEG では上記のように民族名を複数で表し、形容詞も大文字で始めている。固有名詞と大文字・小文字については次回に)

   
写真は恵那市内、中山道・大井宿の街並み。
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エスペラント化された固有名詞(2)国と国民

2012-01-18 | エスペラントあれこれ


 PMEG の固有名詞についての私なりのまとめを続ける。

 国とその国民の呼び方はすべてエスペラント化されているが、残念ながらその方法は一様ではない。

1.最も多いのは合成されていなくて、接尾辞を持たない国名である。その国民は -an- をつける。
  Kanado, Kanadano
  Irano, Iranano
 複数の単語からなる場合もある。ano を前につけた方がよい。
  Trinidado kaj Tobago, ano de Trinidado kaj Tobago
 略称を使う場合もある。
  Unuigxintaj Arabaj Emirlandoj, UAE, UAE-ano

2.民族名に接尾辞をつけた国名。公式の接尾辞 -uj-, 非公式の接尾辞 -i- のどちらを使ってもよい。ひとつの国に2つの表し方があるのは dormejo と dormcxambro、policisto と policano などと比べてもとくに奇妙なことではない。
 land を接尾辞的に使う場合もある。その場合はその形が国際的な場合に限る。land の代わりに -uj-, -i- を使ってももちろん間違いではない。
 国民名は -an- をつけるか、接尾辞をとってしまうかである。
  Francujo, Francio ー Francujano, Franciano, Franco
  Finnlando, Finnujo, Finnio - Finnlandano, Finnujano, Finniano, Finno(注:辞書には Finlando という形もある。この場合は合成語ではないと見るべきか?)
 論理的には Franco(フランス人)と Francujano(フランス国民)は同じではないが、普通はこの違いは無視できる。様々な人種について論ずる場合にのみこの区別が必要になる。
  Germanoj kaj francoj, kiuj logxas en rusujo, estas rusujanoj, kvankam ili ne estas rusoj.

3.-io, -lando で終わる国名には合成語でない場合がある。-ujo にはこの問題はない。
  Auxstralio, Cxilio, Nederlando, Islando

4.-istan- が接尾辞のように見える国名があるが、例外もある。
  Afganistano ー Afgano(Afganistanano)
  Pakistano ー Pakistanano(Pako ではない!)
 (注:辞書には Afganio, Afganujo, Afganlando のみで Afganistano の形はない。)

5.大きく分けて接尾辞を持たない国名と持つ国名があるが、これは全く任意的に分けられたもので非科学的である。この分け方は、その国や国民について何も表してはいない。
 接尾辞を持たない国にも Irano, Kambogxo, Nerlando など、ほとんど単一民族の国もある。
 たまたま表し方が異なるというのは、-ist- と -ul- など、他にも例がある。
  broso, auxto, gitaro(接尾辞を持たない)
  kombilo, aviadilo, tajpilo(接尾辞 -il- を持つ)

6.国名や国民名にはいくつかの形があり、しばしば議論を引き起こすが単に言葉の問題である。あまりに多くの形はない方がいいが、問題を大げさにとらえるべきではない。

   写真は雨の曽爾村太郎路近くの風景(2011.11)
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エスペラント化された固有名詞(1)

2012-01-13 | エスペラントあれこれ



<PMEG のまとめ>
 固有名詞のエスペラント化は、品詞語尾を含めて完全にエスペラント化する場合と、オリジナルの発音を出来るだけ残すなど不完全な場合とがある。完全にエスペラント化した方が語尾変化など使い勝手はよいが、あまり知られていない名前では認識されない恐れがある。

1.国名、有名な都市・山・歴史上の人物、国際的なもの(海や複数の国にまたがる川など)は完全にエスペラント化されている。

2.多くの名前、とくに場所の名前は様々な言語で様々な形を持つ。これをエスペラント化するときは国際的な形を基にする。
  Kazablanko (国際的には Casablanca、アラビア語の ad-Dar al-Bayda から作った Daralbajdo は勧められない)
  Finnlando(フィンランドやエストニアで使われる語から作られた Suomio は国際的でないから勧められない)
  Japanio(Nipono は避けるべきである)
 しかし絶対的な規則はないので、場合によって都合のよい方法をとればよい。すでにエスペラントの単語として根付いている場合はよほど強い理由がない限り変えるべきではない。
  Varsovio は最も国際的な形とは言えないが、これを Varsxavo などと変えるのは従来のエスペラントを壊してしまうのでよくない。
  Kimrujo は全く国際的ではないが、すでにエスペラントに根付いている。
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 とりあえずここで一息。Kimrujo はイギリスのウェールズである。これはウェールズ語の Cymru(発音は「カムリ」)から来ている。英語では Wales であり、こちらの方が国際的であろう。
 日本に Nipono を好んで使う人もいるが、とくに外国人と話す場合はなぜこれを使うのか理由をはっきりさせておいた方がいいかもしれない。
 インドのエスペランティストたちは Hindio, Hindujo でなく Barato を使う。UEA では Hinda Unio を使っていて Barato を公認はしていない(アカデミーオの仕事かもしれない)。インドでは当初は Bharato だったが、エスペラントでは発音が出来ない(難しい)と批判されて h を外した。
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(まとめの続き)
3.女性の名前は多くの国で -a で終わる。完全にエスペラント化する場合は -o にするべきであるが、-a の形があまりに使われているのでやむを得ない場合もある。
 必要なら女性名に -in- をつける方法もあるが、常に必要というわけではない。
  Anno(オリジナルは Anna)
  Mario, Mariino(オリジナルは Maria。Mario は男性の名前にもある)
  Elizabeto(オリジナルは Elisabeth)エスペラントでは Elizabeta が多く使われている。
  Josxiko(オリジナルが -o で終わっているので、-a に変えることはない)
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 人の名前などはもちろんエスペラント化しないでその国のラテン文字表記法で書いてもよい。Yosiko, Yoshiko 。

   
写真は曽爾高原の近くで見たちょっと色っぽい大根(カブ?)
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エスペラント化されていない固有名詞

2012-01-08 | 日韓合同エスペラント大会



 まず前回の記事についての再考を。

5.固有名詞は、必要ならエスペラント文字に置き換えて元々の形を保持することも出来るし、-o 語尾を持つエスペラントの名詞に変えることも出来る。それぞれに使われる分野が異なり、どちらかを全面的に使うことは出来ない。

 ここで、固有名詞をオリジナルの(民族語の)形のままとするか、エスペラント化するかのどちらかと考えて「Nagoja という形はない」としたのだが、「必要ならエスペラント文字に置き換えて」という文を Nagoja を許容していると考えることも出来ると考え直した。エスペラントは出来るだけフレキシブルな方がいいからこっちが正解かもしれない。先輩諸氏のご教授をお願いしたい。

 さて、今日の本題に入る。PMEG の固有名詞についてのまとめである。

1.エスペラント化されていない固有名詞は文字で判別するのが重要な場合に有用である。多くの場合、何らかの方法で発音を示すのがよい。

2.オリジナルがラテン文字以外の場合はラテン文字に変えねばならない。書かれた形が重要な場合は公式の、又はもっとも良く使われている方法で書き換える(この場合、W, X などだけでなく、ヨーロッパの言葉によくある字上符などがついたエスペラントにはない文字があってもいいということのようだ)。発音が重要な場合はエスペラント文字で、あるいは完全にエスペラント化する。

3.エスペラント化されていない固有名詞は -o 語尾を持たなくても名詞として働くが、必要であっても -n 語尾を省略してもよい。
 もちろん、母音で終わっているときなど -n をつけることが出来ればつけてもよい。直接 -n がつけられない場合は -on または ‘n をつける、固有名詞の前に別の語(称号など)をつける、名前の一部にだけ -n をつける、名前の一部だけエスペラント化する、などいろんな方法があり、とくに規則はない。
  Cxu vi konas Anna?
  Cxu vi konas Annnan?
  Cxu vi konas mian amikinon Anna?
  Rakontas Christen Pedersen.
  Cxu vi konas Christenon Pedersen?
  Li vizitis Molly’n.
 ときに -a, -e などの語尾をつけることもある。Zamenhofa esprimo といった形はよく使われる。
  La malnova Wartburga kastelo...
 これは、La malnova kastero de Wartburg という形で回避することが出来る。(この項続く)

 固有名詞にどうしても -n をつけねばならない場合もある。
  Taro amas Hanako. はまだいいが、
  Taro Hanako amas. ではどちらが主語でどちらが目的語なのか分からない。


    写真は雨の曽爾高原(奈良県・2011.11)
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固有名詞の種類

2012-01-03 | エスペラントあれこれ



 PMEG から固有名詞について少し詳しく見ていく。まず総括的に。
 なお、私のまとめ方に間違いなどがあれば教えて頂ければありがたい。

1.普通の固有名詞は -o 語尾を持つ。冠詞をつけないのが普通。時に形容詞などがついている(Norda Ameriko, La Sankta Biblio など)。

2.普通名詞が固有名詞として使われる場合がある。ふつう冠詞をつける。
  la Suno, la Rugxa Maro など。
 例外的に -a 語尾を持つ場合もある(la Cxiopova:神)

3.固有名詞はときに、-o 語尾を持っていなかったり、文章だったりする。
  Amplifiki(音楽グループ)、Ajn(詩集)、Cxu ci kuiras cxine?(小説)
 これらは引用句的固有名詞と名付けることが出来る。
 エスペラント化されていない固有名詞もこの仲間である。

4.固有名詞はふつう単数形だが、複数形の場合がある。
  Filipinoj(フィリピン、フィリピン諸島)、Andoj(アンデス山脈)

5.固有名詞は、必要ならエスペラント文字に置き換えて元々の形を保持することも出来るし、-o 語尾を持つエスペラントの名詞に変えることも出来る。それぞれに使われる分野が異なり、どちらかを全面的に使うことは出来ない。

 ここで気づくのは、例えば名古屋は Nagoya 又は Nagojo の2つの形があり、どちらか一方でなければならないというわけではない。また、Nagoja という形はない(Nagoya の発音を近似的にエスペラントで示したものにすぎない)。
 ところで、alpo は「高山牧場」という普通名詞である。la Alpoj:アルプスには冠詞をつける。これは上記の2にあたる。Andoj はあっても Ando はない。しかし、ときに la Andoj と冠詞をつけることがある。
 辞書を引くと、Filipinoj はあっても Filipino はない。それなのに、filipina はある。フィリピン人は filipinojano かと思ったら filipinano である。

   
写真は富士見台からの帰りに見た紅葉
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年末にあたって

2011-12-31 | エスペラントな今日


 2011年が終わります。今年もたくさんの方にこのブログを訪れて頂きました。ありがとうございます。来年もボチボチと何か書いていきたいと思います。

 年末に国際青年大会(IJK)の日本開催が取りやめになったという残念なニュースが入ってきました。2004年に犬山で日本エスペラント大会を行ったとき「青年」カテゴリーの参加者は一人だけでした(他に小学生一人)。2007年の横浜の世界大会のあと、若い人たちが増えてきて IJK 開催の力が出来てきたのかなと思っていました。しかし現状では力不足ということのようです。

 さて、このブログは引き続き PMEG シリーズが続きます。次回は「固有名詞について」です。固有名詞はなかなかやっかいです。日本語の文字をそのまま使うわけにはいかないのでアルファベットに変えますが、その段階で様々です。それぞれが好きなようにすればいいとも思いますが、妙にこだわる人もいます。
 次に、日本語や英語の影響で名詞を並べてしまう文法違反もあります。以前ここに書きましたが、Ena Renkontigxo と書いたらある先生から注意されました。恵那を Eno とでもして、その形容詞形だというならいいが、と。しかし、JEI の「運動年間」を見ると、地名のあとにハイフンを入れないで E-societo などを続けているエスペラント会の名前は結構多いのです。
 実は、このような問題については PMEG では書かれていません。固有名詞は民族語の影響をモロに受けるわけで、不規則な面がたくさんあります。というわけで、次回から少し詳しく見ていきたいと思います。

   
写真は富士見台頂上を望む
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どれがいちばんと思いますか?

2011-12-25 | エスペラントあれこれ


 阪さんの週間作文で「 あなたは,ここにある花の中で,どれがいちばん美しいと思いますか。」という問題が出て困ったことがある。この問題は難しいという声が多く、このあと同じような問題がいくつか続けて出題された。
  あなたは,わたしを誰だと思っているのですか。
  あなたは,あれを何だと思いますか。
  あなたはハルオがなぜわたしたちの提案を断ったのだと思いますか。
 などなど。
 この構文は PMEG にも取り上げられている。必ずしもよく分かったとは言えないのだが、まとめておこう。

 疑問文で、問う内容を示す疑問詞が従属節内にある場合、その疑問詞を文全体の先頭に置かねばならない。このような文は難しくなりやすい。

  Vi konsilas, ke ni respondu ion al cxi tiu popolo.
 ここで ion を kion に変えると、
  Kion vi konsilas, ke ni respondu al cxi tiu popolo?
 文法的には kion は respondu の目的語だが、konsili にも関連するのでこの文は自然に感じる。

  Petro diris, ke lia amiko nomigxas Karlo.
  Kiel Petro diris, ke lia amiko nomigxas?
 この文は kiel が diri にかかると考えると奇妙な文になってしまう。
  Kiel laux Petro nomigxas lia amiko?
 と書き変える方法もある。阪さんによれば、Kiel Petro diris, ke... のような文はヨーロッパでは普通なので慣れておいた方がよい。laux に置き換えることもできるがニュアンスが少し違う。

 もう一つだけ例文をあげておこう。
  Vi deziras, ke mi agu iel.
  Kiel vi deziras, ke mi agu?

 従属節自体が疑問文の場合はこのような文は避けるべきである。
  Sxi demandis, cxu mi sxatas muzikon.
  Kion sxi demandis, cxu mi sxatas?
 このような場合は、pri を使えばよい。
  Pri kio sxi demandis, cxu mi sxatas gxin?

 同様な問題は関係詞でもおこる。
  La homo, kiun vi asertis, ke vi vidis, estas jam delonge mortinta.
 この場合も pri が有効である。
  La homo, pri kiu vi asertis, ke vi vidis lin, estas jam delonge mortinta.
  ただし、pri がいつでも有効というわけではないので注意。

   
写真は富士見台(2011.11.14)
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間接話法・時制(2)

2011-12-20 | エスペラントあれこれ



 前述のように PMEG では間接話法の定義が広い。例えば次の例もすべて間接話法である。
  Ke li estas malsana, sxi tuj rimarkis.
  Sxi estis plena de timo, ke la infano mortos.
  En lia animo estis tute klare, ke Kristino devas farigxi lia edzino.

 間接話法が ke-節や疑問節ではない場合もある。
  Jam en Kjoge li volis acxeti por sxi oran ringon, sed post pripenso li tion ne faris, cxar en Kopenhago oni ja certe ricevos multe pli belan.
 ここでは cxar-節が彼の考えを表す間接話法である。

  Li konfesis al sxi, kiel kore li sxin amas.
 kiel-節は間接話法を作ることがある。この例では彼の言葉そのものではなく告白の内容を示している。

  Sxajnis, kvazaux li dormas.:まるで眠っているようだった(実際には死んでいる)。
 kvazaux-節も誰かの考えや印象を反映する間接話法を作る。この用法はザメンホフには多用されたが、今は ke+kvazauxの形で使われることが多い。
  Sxajnis, ke li kvazaux dormas.

  La maljuna ministro atente auxskultis, por povi diri tion saman, kiam li revenos al la regxo.
 動詞不定詞が間接話法を導いている例である。昔の話なのに revenos と未来形になっていることに注意。

 間接話法内の動詞の時制は変化しないが、hodiaux, hieraux, などの時の表現は変えなければならない。
  Pasintan lundon li diris: “Mi ne laboros hodiaux!”
  Pasintan lundon li diris, ke li ne laboros tiun tagon.
  Morgaux li versxajne diros: “Mi estis malsana hieraux!”
  Morgaux li versxajne diros, ke li estis malsana hodiaux.
 これは絶対的な規則ではないらしい。昔話の中などではそのままにすることも多い。要は誤解されないように書けばいいということらしい。

 間接話法では代名詞も変化するし、場所の表現にも気を配る必要があるが、ここでは触れない。

   
写真は「小さい秋みつけた」(2011.11.14 富士見台付近にて)
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間接話法と時制

2011-12-16 | エスペラントあれこれ



 直接話法から間接話法にしても時制は変化しない。このことついては、以前このブログにまとめたことがある(今年の2月)が、PMEGの関連事項を読んだので再度まとめておこう。
 PMEG では「間接話法の時間は直接話法にしたときと同じであり(相対時=主文の時間が基準になる)、それ以外の場合、例えば関係詞節では絶対的な「今」が基準になる(絶対時)」としている。このまとめ方はずいぶんすっきりしている。ただし、ここでは「間接話法」の定義をしっかりしておかねばならない。
 「Nerekta parolo estas subfrazo, kiu rerakontas ies diron, penson, opinion, decidon, demandon, rimarkon k.s.: 間接話法とは誰かの言葉・考え・意見・決定・質問・所見などなどを再録した従属節」である。直接言葉にしたことではない場合もある。
 普通は ke-節または疑問詞節であり、diri, krii, pensi, scii, decidi, skribi, kompreni, rimarki, vidi, demandi, voli, auxdi などの目的語になることが多い。これ以外の場合もあるが、それについてはあとでまとめる。
 間接話法はまた penso, decido, demando, timo などの叙述語になることもあり、また sxajni, esti evidente, esti, dube, esti klare, esti (ne)-eble, esti versxajne などの主語にもなる。
  Li havis la penson, ke li estas felicxa.
  La decido estis, ke Petro estu prezidanto.
  Ili faris la demandon, cxu ili povas partopreni.
  Sxajnis, ke pluvas.
  Estis evidente, ke li ne estas felicxa.

 上の定義は『「間接話法」とは、日本語の「 」にあたる引用符 ” ” を用いずに、会話を文の一部として取り込んだ表現』という「まるごとエスペラント文法」の定義とはかなり隔たりがある、というよりかなり「広い」ように思う。しかし、このようにしておくと、時制について理解しやすい。
 上記の例文では、主文の時間が複文の時間の基準になっている。(この項続く)

   
写真は富士見台下の古道跡(2011.11.14)
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antaux と post

2011-12-13 | エスペラントあれこれ



 文法学習は「従属節」から少し拾ってみる。今回はひとつだけ簡単なことを。

 antaux と post はいわば対になる単語だが、これを従属接続詞として使う場合は antaux ol と post kiam になる。こういう非対称はどうも気分がよくないというわけなのか post ol が提案されたと、エスペラント日本語辞典には書いてある。
 しかし PMEG にはそのような記述はない。単に、post ol, antaux kiam や antaux (tio) ke, post (tio) ke などは論理的であるが、実際には使われていないとだけある。
 使ってはいけないというわけではないが、もっとも理解されやすいから普通に使われている表現を使うのがよいというわけだ。

   
写真は恵那市東野にて。年に1回この石の前で神事が行われるとか。
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関係詞についてのメモ

2011-12-08 | エスペラントあれこれ


1.kiu と kio

 関係代名詞 kio は、先行詞が tio, cxio, io など、-o で終わる相関詞が先行詞であるときや、文章全体を受けるときなどに使われる。

  Mi faros cxion, kion mi povos, ...
 
  Sxi havas sxatokupon, kio estas bona.:彼女に趣味があるのはいいことだ。
  Sxi havas sxatokupon, kiu estas bona. :彼女はいい趣味を持っている。

  ... la pomarbo estas la plej cxarma, kion oni povas vidi ...
  ここでは cxarma のあとに vidajxo など一般的な単語が省略されている。

2.kia と kiu

 むかし沼津の通信講座をやっていたとき、関係詞 kia を使って例文を作るのに苦労した記憶がある。今なら、先行詞に tia や tia+名詞などを使えばよいと分かる。
  Sxi ne estas tia, kia devas esti regxino. これを tiu, kiu ... とすると全く意味が違ってくる。
  Regis tia frosto, kian ni cxe ni ne havas ecx en la plej kruela vintro.
  
  Mi uzis tiun auxton, kiu povas veturi tre rapide.:私はとても速く走る車を使った。特定の車を指している。
  Mi uzis tian auxton, kia povas veturi tre rapide.:私はとても速く走る車を使った。車の種類を指す。たぶんこの場合には実際に速く走ったかどうかは別問題だと思う。
 あえて日本語訳は同じにしてしまったが、この例の場合はどちらも kiu としてよい。先行詞にかかる tiu, tia で特定の車か種類なのかが分かるからである。ふつうには kiu を使うが、kia の方が「種類」を強調している。

   
写真は雨の中の紅葉。2011.11.11 恵那市東野。
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