慶夢庵

さてさて流れ行く雲のように
散る花びらのように
とりとめもなく
おしゃべりなどいたしたくって、v(^0^)v

渚にて

2006-08-15 22:12:57 | お気に入りの本
第3次世界大戦が勃発し、核兵器の夥しい炸裂。
北半球は死滅し徐々に死の影はメルボルンに忍び寄る。

副題「人類最後の日」と題され、ネビル・シュートにものされた。
出版は1957年、もはやといえないまだ戦後が色濃く
米中露、予断を許さない緊張状況下で書かれている。

逃れようのない、ゆく末に人々はどう立ち向かい、過ごしたか、
唯一残された米海軍潜水艦館長タワードが
オーストリア海軍に合流し、メルボルンにたどり着き
ひょんなことから
奔放な娘モイラと出会い物語りは動いていく。

この二人を中心に織り成される感情の機微の数々は
崇高なヒューマンドラマにまで高みを喫しているといっても過言ではない。

きたるべき終末に自分として
愛するものたちのために
すでに逝ってしまったものたちへのために
どう生きるべきか
生きられるものなのか
逃げ場を許さない重い命題を抱突きつけられ揺さぶられる。

そしてのどかに描写が進むその風景に潜む
底知れない恐怖をあなたは受け止められるだろうか。

ぜひ終戦の日にここに書いておきたいと思いました。
決して絵空事ではない未来のために
ぜひ読んでいただきたい一冊です。

「渚にて」(人類最後の日)メビル・シュート
     井上勇訳     東京創元社 刊

最後にこの小説はいかが?とお勧めいただいたPETEさま、
(ようこさんのご主人)誠にありがとうございました~~m(__)m