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今週の一番『てんむす』予選二回戦がこんな濃密でいいのかな?(´・ω・`)

2011年11月18日 | マンガ
【10月第4週:ケルベロス 最終刻 雪房】
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【漫研】
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『てんむす』(作・稲山覚也)の天食祭予選二回戦の相手、長野女子体育大学付属との戦いがよかったです。『てんむす』は天性の“食べ好き”(?)である少女・春風天子が、期せずして食い道部に入部し、女子大食い競技の道を進んで行く『物語』。天食祭というのは…架空の神事を由来とした女子(巫女)の大食い競技大会で、まあ、大食いのインターハイと思えばいいんでしょうね。ここらへん、学生大食い競技がマイナーながらもある程度メジャーに歴史を持って存在するという、かなりディティールに拘った設定が組まれているんですよね。

…で、長野女子体育大学付属高校というのは、スポーツ推薦で入学した女子がほとんどの学校で、食い道部はその中で、怪我によって自分らが目指した競技を続けられなくなった子たちの集まりなんですよね。そして、勝たなければ、部の存続も危うい部でもある。
そんな中で、選手たちは、自分のかつての競技を“食い道”に活かした戦い方で試合に挑んで行く、勝ったり負けたりなんですが、その挫折からのスタートのドラマがかなり濃厚に試合展開に併せて組まれています。…実は、たかだか予選の二回戦の相手としてはもったいないくらいに感じもしました。



笑わない選手・荒川氷華さんとか……こう、直感的な話ですが、天子の物語全体を通してのライバルになり得る“オーラ”を感じるような子だったんですが……いや、「ごはんが楽しいとか分からない」とか天子と真逆の女の子でね?それでも“強い”となると、彼女が持つキャラ格は自然と大きくなるはずなんですよね。
…でも、この戦いで、割りとあっさりある程度の区切りをつけてしまっているんですよ。再登場はあるかもしれないけど、特に伏線も残さずきっちりまとめている。少なくとも「ごはんが楽しいとか分からない」事への変化を得てしまっている。…彼女が出た以上、天子のライバルと成り得る一つの形「ごはんが楽しいとか分からないキャラ」をまた出すのは、ちょっとトリッキー&リスキーですよね。その意味で、ちょっと勿体無くは思ってしまう。(…実は『てんむす』はこういう全体の構成を考えた時の『カード』の切り方に違和感を感じる事はけっこうあります)

…しかし、です。なんかネガティブな事を先に書いてしまいましたが、それ故、この“長野女子戦”は非常に濃厚なエピソードとしての仕上がりを観せていると思います。他の個々の選手のがんばりの描きも、かなり細やかに組まれていますし~要するにそれぞれ他の子にも感情移入し得るんですよ~それを冷ややかに貶す(?)やる気のない顧問・星野先生もいい。
それを考えると、単に「前の競技は挫折したけど、ここでまたがんばる」じゃないキャラとして、荒川氷華さんが入ってくるのもまた、分かるんですよね。勿体無いカードだけど、上手く組んでいる。
僕の感覚では『てんむす』は、そんなに余裕のある連載ではないはずなので、遠い展開への伏線を張るより、目の前の一戦一戦に載せられるものを出来る限り載せようとする姿勢に好感もあります。



そんな中でも、けっこうインパクトあったのは顧問の星野先生じゃないかと思います。(↑)画像二つ並べると吹きそうになりましたが(笑)こう「部室にもほとんど顔を出さない」と言われてて、怪我で挫折してそして今、食い道部にいる選手たちを「ポンコツ、ポンコツ」と繰り返して呼ぶ、嫌な先生なんですよ。反発心から自分のアドバイス~とるべき戦術~を執らなかった子を「肉体的にはポンコツですが、精神的にはアスリート失格ですね」とか言ったり。正論ちゃ、正論なんですけど「そんだけ貶してたら、そら、反発もされるわ!」とも思うわけで(笑)
それが、この先生自身がかつて事故により挫折したアスリートであった過去が明かされたと思ったら画像左(↑)ですよ?(´・ω・`)

ちょwwwwそ、そんな、宗方仁みたいな目をされてもwwwなんか星野先生でいい話でまとめようとしているけど、ちょっと無理があるんじゃ!(笑)
いや、星野先生を『読む』とね、やっぱり基本この先生はやる気のない先生、嫌な先生なんですよ。生徒をポンコツ呼ばわりするのも、激励というか奮起を促す意味が全くないわけでは無いでしょうけど、「部室にもほとんど来ず」他で愛情を注いで無い以上、単なる貶しですし、彼にとって暗い情念も入り混じった言葉なのだと思います。

だから、多くの生徒にとって星野先生は(↑)画像左に“見える”。この二つの画の違いは心象の差なんだと思います。多分、星野先生のセリフや立ち振る舞い自体は、ほとんど変わっていない。…画像右は、主将の原田みつさんから見た星野先生でして…。彼女にはこう見えるって事です(汗)
…自分の人生に後悔しながらも、結局は大してやる気なく~ある意味では飄々と?~先生をやっている星野先生の、その言葉が、原田さんにはスポッとはまる所があったと。やる気が有り余ったポジティブな原田さんとの微妙な配合で、スポッとはまるのかもしれません。
要するに馬が合ったと。そしてその原田は、他の部員ったちを大いに支えている。部員たちの尊敬を一身に集めている。う~ん、それは悪くない関係だなあ…と思ったりもしました。

そんなわけで大変良かった予選二回戦なんですが、ここで大食い競技がどういう競技の形(勝負の形)かも、他のスポーツを通して上手に描かれていたのも良かったです。競技の形が分かるというのは、ここがスタートラインという事でもありますから、この先に期待したいです。


てんむす 3 (少年チャンピオン・コミックス)
稲山 覚也
秋田書店



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