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今週の一番『空が灰色だから』~その不思議な読感を想う

2011年12月21日 | マンガ
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『空が灰色だから』(作・阿部共実)が良いですね。以前の短期集中連載だった『空が灰色だから手をはなそう』からの本格連載化ですね。この『物語』はオムニバス…というか、一話完結で…主に日常のヒトコマを切り出して描いたもので、僕の一言で言うと「緊張が解けない連載」とでも言いましょうか。

何に「緊張」するのかと言うと、この連載、読感をなかなか決めて読めない所があるんですよ。たとえばギャグマンガなら「笑う」。アクションなら「スカっとする」。あるいはラブコメだったら、なんかちょっと「甘酸っぱい想い」をさせてくれる。萌えマンガなら、「萌える」…とか?そういう、その物語を読むにあたって、何かしら期待する“読感”があると思うんです。また、言ってしまえば読者はある程度、トビラの絵などから、そういう想像と期待をしてマンガを手に取り、ページをめくると思うのですが…。
それが『空が灰色だから』では掴めない。少なくともハッキリあたりはつけられない。頭の部分では、いつも同じような調子ではじまって、最後は、ほのぼのとできるか、嫌~な気持ちになるか分からない。いや、そもそも、そういう好悪のハッキリした感情じゃなくって、もっと、それを綯い交ぜにしたような…なんとも言えない気分にさせられる。だから読む前に、僕は微妙に“緊張”する……そんな感じの連載なんです。



たとえば、この週の第6話「夏がはじまる」。o(…こんなタイトルだよ!)では、右澤さんという、背が高くてバレー部で、男っぽい、むしろ男にしか見えないような女の子がいるんですが、そんな右澤さんと、気の弱わそうな男の子の肥田くんが、日直になって仲良く喋り始める。
女の子だと緊張してしまう肥田くんは、右澤さんとは気安く喋れるものだから、うれしくなってべらべら喋り始める。「右澤さんは、実は男なんじゃないの?男なんでしょ?」って嬉しそうに話しかける。
そしたら、最初は笑って応対していた右澤さんが、ふいに、突然「わたしは、男じゃないよ」と泣いて走り去ってしまった。…後にはしつこく「男みたいだ」と言った事を(おそらく)悔やんでいる肥田くんが残される…。

そこで終り。…で、多分、もう肥田さんも右澤さんも出ないんですよね。この先はもう、ない。だから“読感”はここで止まったまま。読者は…この場合、男の読者は?かな?この肥田くんと共感して、そして肥田くんのように右澤さんに申し訳ない気持ちになって、そこで終り。   …なんです。

いや、連載が進むと、場合によっては、また右澤さんと肥田くんが登場する日もあるかもしれないですけどね。でも、とりあえず、今の『愉楽しさ』はそんな感じなんです。次の回は、またほのぼのとしたりね、そこは一定させないので“緊張”が続きます。
でも、やっぱりこの作家さんは、人の心を「じくっ」とさせるのが上手いとは思いますね。ただ、でも人を「じくっ」とさせる事を目的で描いていないとも思います。もっと何か別の……う~ん(考)これは“反日常系”とでも言えばいいのかな?

もし“日常系”というものが、おだやかで、心地よい時が続いて行く事を描いている『物語』なのだとしたら「いや、日常って、楽しい事ばかりじゃないよね?」と言うか。
ケンカする出来事があっても、しばらくしたら仲直りする事が分かる、それが描かれるのが“日常系”なら、「いや、そこで口きかなくなって、それきりってあるよね?」…とか。「いじめられていても、毎日なら、それって日常だよね?」…とか。そんな感じなのかもしれません。いや、まだ阿部共実という作家さんを掴みかねているんですが(汗)とりあえず。(´・ω・`)つ

大好きが虫はタダシくんの

(↑)ルイさんに教えてもらったものなんですが、阿部先生がpixivなどで公開していた読切です。以前から、かなり評判だったようなんですが、これはちょっと衝撃を受けます。
『空が灰色だから』は、パッケージ化されない部分の良さがかなり出ている作品で、これは週刊ではジャンプは元より、サンデーやマガジンでもパッケージ化してしまって、その良さを半減させてしまう気がするんですよね。チャンピオンだからぎりぎり“これ”が出来ている気がします。(まあ、月刊なら他にも場があるかもしれないけど…)そんなワケで、ちょっと、注目したい連載と作家さんに思っています。


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