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「バベル九朔」感想 万城目学

2016-04-19 | 小説・漫画他

万城目さんの小説は、ホルモーシリーズからずっと新刊が出るたびに読んで来ていたのですが、ここのところ、「とっぴんぱらりの風太郎」は途中で挫折してしまったし、「悟浄出立」も未読で、久しぶりに読んだのが本作「バベル九朔」でした。
もともとファンタジー小説とかは、好みのジャンルってわけじゃないのですが、ご自分の小説家としてデビューする前の時代(ビルの管理人をしながら小説を書いていて、先が見えなくて悶々としていた)という部分に興味が湧いて読んでみました。

結果、やっぱり、その管理人さんの様子や心理部分は、凄く面白かったし、3階の「ギャラリー蜜」を経営する人が、今まで様々なジャンルのお店を開店しては閉店し、それを何回も繰り返して30年位経っている処など、テナントが入れ替わる事に対しての万城目さんの視点は、とても好ましく読ませてもらいました。

店というのは閉店したら、存在が全て消されて、すっかりそれが忘れ去られてしまうというわけじゃなくて、誰かの心の中に残ったりするし、
同じスペースに、色々なお店があって、その入れ替わり立ち代わりの歴史?みたいのも興味深いというか。

かつてあったが、もう閉店してしまって、無くなってしまった店舗が、次々と連なって高い塔になっている、というアイディアが、凄く良いなあ!素晴らしいな!!と思いました。

肝心のストーリーは、正直、後半は何が何だか、よく解らなくなってしまいました。
祖父と、その娘で主人公の母の姉妹の10歳位の少女、カラス女、などが登場して、時にバトル風になったりもします。

印象に残ったところ
主人公が管理人をやっているというのもあってか、よくある中規模の5,6階のビルの1,2階はカフェだったり洋風の洒落た店舗が入っているのに、最上階を見ると、そこだけ和風で、しかもご老人が住んでいるんだろうな・・・と解るインテリアや古めかしい電気や洗濯物がかかっている・・、そういうのを見つけるのが好き、という処。

将来それで食っていけるかどうかわからず、その道でひとかどの人になれているかもわからないけれど、諦めずにずっと一生懸命続けられる(続ける)ということが才能とも言える。これは、確か誰かの小説・・・伊坂さんだったでしょうか・・・でも、その他、誰だったかな・・・書かれていましたね。(パクったとかそういう意味じゃないですよ!) やっぱりそういう風に思われる人が多いのですね。

主人公が、取り込められそうになった、将来の夢の様子「とある書店で彼のサイン会が行われている」のところとかは、なんだかジーンと来ちゃいました。
万城目さんはじめ、小説家を目指す人ならきっとみんなが無名の時代に、こうなったらいいだろうな・・でもそんなの本当に現実になるのだろうか?と、何度も思ったに違いないシーン・・。そして、本当にかなえられた万城目さん!本当に良かったですね!
ただ、夢がかなってからも、苦しいんだろうなあ・・。

私は彼の小説(ストーリー)が好きというよりは、彼の日常のエッセイが好きなんですよね。長編が得意って思われているみたいだけれど、私は彼の書く短編の文章(以前、ダヴィンチに連載されていた、お家訪問?みたいなのとか。)で、ぽろ、ぽろっと可笑しいことを言ったり、妙な彼のこだわりとか好きなものとか、そういうのが大好きです。
感想は書いていませんが「ぼくらの近代建築デラックス! 門井慶喜 万城目学」等もとても面白く読ませてもらいました。
もっと気楽に、そういうお仕事もどんどんされたら良いんじゃないかなーと思ったりします。

バベル九朔  2016/3/19 万城目 学
作家志望の「夢」を抱き、 雑居ビル「バベル九朔」の管理人を務めている俺の前に、ある日、全身黒ずくめの「カラス女」が現われ問うてきた……「扉は、どこ? バベルは壊れかけている」。巨大ネズミの徘徊、空き巣事件発生、店子の家賃滞納、小説新人賞への挑戦――心が安まる暇もない俺がうっかり触れた一枚の絵。その瞬間、俺はなぜか湖で溺れていた。そこで出会った見知らぬ少女から、「鍵」を受け取った俺の前に出現したのは――雲をも貫く、巨大な塔だった。
万城目学、初の「自伝的?」青春エンタメ!

万城目学
「鹿男あをによし」「鴨川ホルモー」
ザ・万歩計
プリンセス・トヨトミ
かのこちゃんとマドレーヌ夫人
「ザ・万遊記」

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7 コメント

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Unknown (苗坊)
2016-04-29 13:09:58
こんにちは^^
マキメワールドが大好きなのですが今回はちょっと難しかったですね~^^;
それでも私も今までのテナントが次々と連なって塔になっているのはちょっと感動しました。いつの間にか新しいお店が出来ていると前に遭ったのって何だっけ?って思うことが結構あるのですが^^;歴史の中にちゃんと刻まれているんだな…なんて思いました。
にしても最後はよく分からなかったですね^^;残念。
「ぼくらの近代建築デラックス!」私も読みました。なかなかマニアックで面白かったです^^
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苗坊さん☆ (latifa)
2016-04-30 16:59:51
こんにちは、苗坊さん
北海道は、雪が!!ってニュースでビックリしています。札幌は、そこまででは無いのかな・・・。

苗坊さんも、テナント連なっての塔、お好きでしたか!
同じビルのテナントが、新しいお店に、どんどん入れ替わって行くっていうの、思う処があっても、そこに触れた小説って、今まで読んだことがなかったので、さすが万城目さん!って思いました。

まあ、ストーリーは、、、あれですが、
でも、今後も万城目さんの作品が楽しみです。
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Unknown (はまかぜ)
2016-05-11 00:55:09
万城目学さんの作品は鴨川ホルモーシリーズの2冊を読みましたが、どちらも面白かったです
特に鴨川ホルモーが良かったと思います。
このバベル九朔も面白そうですね。
ビルの管理人が主人公の小説は読んだことがないので興味深いです
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はまかぜさん☆ (latifa)
2016-05-13 19:24:54
はまかぜさん、こんにちは!
ホルモーシリーズ、懐かしいですね。
デビュー作だったんですよね?たしか。
面白かったです。
そのインパクトが強くて、奇想天外なお話を書く人って印象がついてます。
それがご本人にとって、ちょっと苦しく感じることもあったりする時もあるのかな・・・。

本作は、ストーリーが難解で、ちょっと微妙というか・・・ 読むのが楽ではなかったです。
はまかぜさんがいつか読まれたら、感想ぜひ読みたいです。
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Unknown (水無月・R)
2016-09-21 09:30:36
latifaさん、こんにちは(^^)。
結局、どうなったのかよくわかりませんでした・・・。
3日ごとにループし続けるってことなんでしょうかねぇ。なんか空しい気もする(^^;)。
ただ、「言葉は最強の武器で盾」というカラス女のセリフに、万城目さんの思いが込められてるのかなとは感じました。
その武器を駆使して、エンタメ前回な作品もまた書いてほしいですね♪
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Unknown (水無月・R)
2016-09-21 09:31:37
すみません、先ほどのコメント〈エンタメ前回〉は〈エンタメ全開〉の間違いです…(^^;)。
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水無月・R さん☆ (latifa)
2016-09-21 13:52:06
水無月・Rさん、こんにちは
カラス女、なかなか怖いけど、個性的な役どころでしたね。

そうですよねー 結局どうなったのか、よく分からなかったし、途中の展開も、解らない部分がところどころありました。
まあ、それでも、まあ、いいかーと、最後まで読みました。

言葉は最強の武器で盾
おおー、そうですね、万城目さんの思いが込められているに違いありません!
今後、どういう方向に万城目さんが進んでいくのか、楽しく見守りたいですね。
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