京都グリーン購入ネットワーク「買い物でエコ!」キャンペーン取材レポート
その2
「日本の森をもっと有効活用しませんか」
株式会社Hibana取締役 薪く炭くKYOTO代表 成田真澄さん
レポーター:松本裕樹
取材日:2008年11月12日
こんにちは。
こちら京都GPNキャンペーン取材班です。
10月1日から始まった「買い物でエコ!」キャンペーンも、2ヶ月が経ちました。
4ヶ月間にわたって行われるこのキャンペーンは、買い物の際にエコな商品を選ぶ「グリーン購入」をより多くのみなさんに知っていただくことを目的としています。ではこのキャンペーンに参加している団体はどんな活動をしているのでしょうか?そして、どのようなエコの環が広がっているのでしょうか?
そんな疑問に答えるべく、私たちは参加団体に取材をさせていただくことにしました。
今回はその第二弾です。
今回私たちの取材を受けてくださったのは、株式会社Hibanaの成田さんです。事務所に入ったとたんに木のいい香りが広がり、炭やペレットなどたくさんの商品が並んでいました。もちろんキャンペーンのポスターも貼っていただいていました。(写真:成田さん)
Q1(松本):貴社の事業内容について教えてください
成田さん:株式会社Hibanaができる前は、森林バイオマスを広めることを目的とした薪く炭くKYOTOというNPOで活動していました。森林バイオマスというのは、薪や炭などの木を由来とした資源のことです。使われずに余っている日本の森をもっと森林バイオマスとして使っていこうと、京都府の職員と学生、森林関係者、会社員らが集まって半年間研究会をやっていました。これが終了して後を引き継いだのが薪く炭くKYOTOという団体です。
薪く炭くKYOTOでは生活のエネルギーの中にどうやって木のエネルギーを取り入れていけるかを考えたり、そのよさや楽しさを広めたりする活動をしています。しかし、コアメンバーが学生やほかに仕事のある社会人で構成する団体だったため、問い合わせがあっても常時対応できないので、仕事として全力で取り組めたらと思い、会社を作りました。
今の主な事業内容は調査やコンサルティングです。国や自治体が木質バイオマスを拡げようとしているのですが、そのための森林調査やバイオマスがどうやったら利活用できるかを調査したり、企画作り、セミナーやシンポジウムの運営、商品の販売をしたりしています。
販売活動としては、なるべく京都の近くで作られた薪や炭を販売しています。石油やガスの代わりに森林バイオマスエネルギーを使いやすいように、ストーブや七輪、火鉢などの道具を販売しています。
Q2(松本):バイオマスに注目したきっかけは何ですか?
成田さん:この団体には森かエネルギー問題に関心がある人が集まっています。私も弊社代表の松田も、最初の関心は熱帯雨林の開発でした。学生時代にブラジルに行き、森が破壊され、その原因は輸入している側の国にあるという現実を見ました。日本は木材の輸入が非常に多く、世界の森は減っているのに日本の森は使わないので増えています。使わないことで木が歳を取って病気になっています。
植林された森はもともと使うことを想定して木を植えているので間伐とか手入れをしなくてはいけないのですが、日本は人件費が高いので間引くことができず、水災害のときに流されてしまったり、雪で折れてしまったりしています。そこで、もっと日本の森を扱う方法として、例えば薪く炭くではエネルギーとして使う方法を提案しています。
松本:単純に森を残すという発想からすると、森はもっと使われるべきという発想は生まれてこないのですごく斬新ですね。
成田さん:一般の方を対象としたワークショップを行うと、参加者の森のイメージとしては、「守らなきゃいけない」というイメージが強いのですが、身の回りには、鉛筆やノートなど森のもので溢れています。でも、それらの原料はわざわざ遠い国の森を使っているのです。森の話が全部まとめて考えられているので、確かに保護しなければいけない森もあるのですが、日本の森のほとんどは人の手が加わっているのでもっと使うべきだと考えています。
Q3(松本):貴社が販売する商品にはどういうものがありますか?
成田さん:炭雑貨やインテリア用品などもありますが、主に燃料ですね。例えば薪に関しては、京都市の公園とか通りに生えている木を処理しているものもあります。今まで堆肥にはしていたのですが、使い道がなくてチップ化していた幹の部分ももったいないので、地元でエネルギーとして利用しようと考えました。
また、薪に関して「ウッドマイレージ」という制度を京都府がやっています。イタリアのフードマイレージから着想を得て始まったのですが、輸送距離を測ってCO2をどれだけ排出しているかを示し、CO2排出量の少ない地元のものを使ってもらおうというものです。
それで、先程話したような「復活薪」(京都市内で発生する街路樹や公園などで剪定する枝等で作られている商品)を認証機関の京都府地球温暖化防止活動推進センターに試算してもらったら、ウッドマイレージCO2は1.1kg-CO2でした。他に薪をマイレージとして算出している企業がないので比較ができませんが、かなり低い数値なのではないかと考えています。
炭に関しては薪に比べて軽いので、ホームセンターのものも輸入が多いです。弊社では炭を焼いている方を支援して京都の炭を中心に販売しています。炭は燃料以外にも消臭剤とかいろいろな使い道があります。
ペレットに関してはまだ工場があまりないので、国内の工場で作られたものを買って販売しています。ペレットは徐々に広まっているのですが、情報があまりないですし、ストーブが結構高いので、ペレットを使いたい方向けに情報提供をしています。ペレットは1時間に1キロくらい使います。価格は地域によっては灯油より安いくらいになってきています。
松本:個人で買うとまだ高いと思いますが、事業所など組織単位で買ってもらえるといいですよね。ストーブは温まり方が違いますし。火を見ていると落ち着きますよね。
成田さん:ペレットストーブは煙がほとんど出ないので、もっと普及していくと言われています。薪よりも完全に燃えるので灰はほとんど出ませんし、出た灰も肥料などにできます。
松本:他の企業と一緒に取り組んでいることはありますか?
成田さん:先ほどの復活薪や物販などがあります。企業が森というと木を植えたがるのですが、例えば間伐材で作られた箸を食堂で使うなどして一緒に取り組みたいですね。
松本:まずは森林バイオマスについて知ってもらうということで、社員研修をしてもおもしろいですよね。毎日使っているコピー用紙がどういう問題とつながっているかを考える機会になりますし。
Q4(松本):このキャンペーンを通しての貴社の取り組みは何ですか?
成田さん:燃料の量り売りをしています。燃料の量り売りをやっているところはあまりないと思います。近くで取れた木、近くで作られた燃料ですし、バイオマス自体が環境に配慮したエネルギーなのでそれを販売しています。
あと建物自体をエコにできないかということで、建物全体で風の流れを考えて夏場も快適に過ごせるようにしています。
Q5(松本):これからやりたいことはありますか?
成田さん:やりたいことはたくさんあります。イベントや木の火鉢づくりのワークショップ、七輪を使った料理教室などをやりたいです。たまに料理教室はやっています。結構いろいろな料理が作れますよ。ペレットの使えるパン釜とかピザ釜なども提案していきたいです。
バイオマスの情報発信の場にもなりたいです。国が話しているバイオマスエネルギーについては遠い話になってしまっているので、もっと身近にバイオマスを感じられるようにバイオマスについて伝える活動をしていきたいです。
おまけ【お店の方も見せていただきました。】
木や炭でできた装飾品や木炭、籾殻や灰、火鉢などが置いてありました。お話にあった量り売りもされていました。とても癒されるお店でした。このウェブサイトをご覧になったみなさんもぜひ一度Hibanaさんへ行かれてみてはいかがでしょうか?
【取材班の感想】
Hibanaさんのお名前は知っていましたが、実際に伺ってみるととても京都らしいお店の概観で、お店の中も木のいいにおいがしていました。とてもリラックスできました。キャンペーンのビジョンとしては、京都GPNの強みが幅広いネットワークなので、企業と市民活動を組み合わせて、より深い環境活動をしていければいいなと思いました。
お忙しい中取材を受けていただき、ありがとうございました。
その2
「日本の森をもっと有効活用しませんか」
株式会社Hibana取締役 薪く炭くKYOTO代表 成田真澄さん
レポーター:松本裕樹
取材日:2008年11月12日
こんにちは。
こちら京都GPNキャンペーン取材班です。
10月1日から始まった「買い物でエコ!」キャンペーンも、2ヶ月が経ちました。
4ヶ月間にわたって行われるこのキャンペーンは、買い物の際にエコな商品を選ぶ「グリーン購入」をより多くのみなさんに知っていただくことを目的としています。ではこのキャンペーンに参加している団体はどんな活動をしているのでしょうか?そして、どのようなエコの環が広がっているのでしょうか?
そんな疑問に答えるべく、私たちは参加団体に取材をさせていただくことにしました。
今回はその第二弾です。
今回私たちの取材を受けてくださったのは、株式会社Hibanaの成田さんです。事務所に入ったとたんに木のいい香りが広がり、炭やペレットなどたくさんの商品が並んでいました。もちろんキャンペーンのポスターも貼っていただいていました。(写真:成田さん)
Q1(松本):貴社の事業内容について教えてください
成田さん:株式会社Hibanaができる前は、森林バイオマスを広めることを目的とした薪く炭くKYOTOというNPOで活動していました。森林バイオマスというのは、薪や炭などの木を由来とした資源のことです。使われずに余っている日本の森をもっと森林バイオマスとして使っていこうと、京都府の職員と学生、森林関係者、会社員らが集まって半年間研究会をやっていました。これが終了して後を引き継いだのが薪く炭くKYOTOという団体です。
薪く炭くKYOTOでは生活のエネルギーの中にどうやって木のエネルギーを取り入れていけるかを考えたり、そのよさや楽しさを広めたりする活動をしています。しかし、コアメンバーが学生やほかに仕事のある社会人で構成する団体だったため、問い合わせがあっても常時対応できないので、仕事として全力で取り組めたらと思い、会社を作りました。
今の主な事業内容は調査やコンサルティングです。国や自治体が木質バイオマスを拡げようとしているのですが、そのための森林調査やバイオマスがどうやったら利活用できるかを調査したり、企画作り、セミナーやシンポジウムの運営、商品の販売をしたりしています。
販売活動としては、なるべく京都の近くで作られた薪や炭を販売しています。石油やガスの代わりに森林バイオマスエネルギーを使いやすいように、ストーブや七輪、火鉢などの道具を販売しています。
Q2(松本):バイオマスに注目したきっかけは何ですか?
成田さん:この団体には森かエネルギー問題に関心がある人が集まっています。私も弊社代表の松田も、最初の関心は熱帯雨林の開発でした。学生時代にブラジルに行き、森が破壊され、その原因は輸入している側の国にあるという現実を見ました。日本は木材の輸入が非常に多く、世界の森は減っているのに日本の森は使わないので増えています。使わないことで木が歳を取って病気になっています。
植林された森はもともと使うことを想定して木を植えているので間伐とか手入れをしなくてはいけないのですが、日本は人件費が高いので間引くことができず、水災害のときに流されてしまったり、雪で折れてしまったりしています。そこで、もっと日本の森を扱う方法として、例えば薪く炭くではエネルギーとして使う方法を提案しています。
松本:単純に森を残すという発想からすると、森はもっと使われるべきという発想は生まれてこないのですごく斬新ですね。
成田さん:一般の方を対象としたワークショップを行うと、参加者の森のイメージとしては、「守らなきゃいけない」というイメージが強いのですが、身の回りには、鉛筆やノートなど森のもので溢れています。でも、それらの原料はわざわざ遠い国の森を使っているのです。森の話が全部まとめて考えられているので、確かに保護しなければいけない森もあるのですが、日本の森のほとんどは人の手が加わっているのでもっと使うべきだと考えています。
Q3(松本):貴社が販売する商品にはどういうものがありますか?
成田さん:炭雑貨やインテリア用品などもありますが、主に燃料ですね。例えば薪に関しては、京都市の公園とか通りに生えている木を処理しているものもあります。今まで堆肥にはしていたのですが、使い道がなくてチップ化していた幹の部分ももったいないので、地元でエネルギーとして利用しようと考えました。
また、薪に関して「ウッドマイレージ」という制度を京都府がやっています。イタリアのフードマイレージから着想を得て始まったのですが、輸送距離を測ってCO2をどれだけ排出しているかを示し、CO2排出量の少ない地元のものを使ってもらおうというものです。
それで、先程話したような「復活薪」(京都市内で発生する街路樹や公園などで剪定する枝等で作られている商品)を認証機関の京都府地球温暖化防止活動推進センターに試算してもらったら、ウッドマイレージCO2は1.1kg-CO2でした。他に薪をマイレージとして算出している企業がないので比較ができませんが、かなり低い数値なのではないかと考えています。
炭に関しては薪に比べて軽いので、ホームセンターのものも輸入が多いです。弊社では炭を焼いている方を支援して京都の炭を中心に販売しています。炭は燃料以外にも消臭剤とかいろいろな使い道があります。
ペレットに関してはまだ工場があまりないので、国内の工場で作られたものを買って販売しています。ペレットは徐々に広まっているのですが、情報があまりないですし、ストーブが結構高いので、ペレットを使いたい方向けに情報提供をしています。ペレットは1時間に1キロくらい使います。価格は地域によっては灯油より安いくらいになってきています。
松本:個人で買うとまだ高いと思いますが、事業所など組織単位で買ってもらえるといいですよね。ストーブは温まり方が違いますし。火を見ていると落ち着きますよね。
成田さん:ペレットストーブは煙がほとんど出ないので、もっと普及していくと言われています。薪よりも完全に燃えるので灰はほとんど出ませんし、出た灰も肥料などにできます。
松本:他の企業と一緒に取り組んでいることはありますか?
成田さん:先ほどの復活薪や物販などがあります。企業が森というと木を植えたがるのですが、例えば間伐材で作られた箸を食堂で使うなどして一緒に取り組みたいですね。
松本:まずは森林バイオマスについて知ってもらうということで、社員研修をしてもおもしろいですよね。毎日使っているコピー用紙がどういう問題とつながっているかを考える機会になりますし。
Q4(松本):このキャンペーンを通しての貴社の取り組みは何ですか?
成田さん:燃料の量り売りをしています。燃料の量り売りをやっているところはあまりないと思います。近くで取れた木、近くで作られた燃料ですし、バイオマス自体が環境に配慮したエネルギーなのでそれを販売しています。
あと建物自体をエコにできないかということで、建物全体で風の流れを考えて夏場も快適に過ごせるようにしています。
Q5(松本):これからやりたいことはありますか?
成田さん:やりたいことはたくさんあります。イベントや木の火鉢づくりのワークショップ、七輪を使った料理教室などをやりたいです。たまに料理教室はやっています。結構いろいろな料理が作れますよ。ペレットの使えるパン釜とかピザ釜なども提案していきたいです。
バイオマスの情報発信の場にもなりたいです。国が話しているバイオマスエネルギーについては遠い話になってしまっているので、もっと身近にバイオマスを感じられるようにバイオマスについて伝える活動をしていきたいです。
おまけ【お店の方も見せていただきました。】
木や炭でできた装飾品や木炭、籾殻や灰、火鉢などが置いてありました。お話にあった量り売りもされていました。とても癒されるお店でした。このウェブサイトをご覧になったみなさんもぜひ一度Hibanaさんへ行かれてみてはいかがでしょうか?
【取材班の感想】
Hibanaさんのお名前は知っていましたが、実際に伺ってみるととても京都らしいお店の概観で、お店の中も木のいいにおいがしていました。とてもリラックスできました。キャンペーンのビジョンとしては、京都GPNの強みが幅広いネットワークなので、企業と市民活動を組み合わせて、より深い環境活動をしていければいいなと思いました。
お忙しい中取材を受けていただき、ありがとうございました。