京都サンガF.C.△3-3△ジェフユナイテッド千葉
25'久保裕也
33'横谷繁
40'米倉恒貴
44'ケンペス
81'田中佑昌
87'バヤリッツァ
■危険なスコア
“2-0は危険なスコア”というフレーズは、もはや“じゃあ、いつやるの?今でしょ!!”くらい使い古された表現だが、ともかくも、京都は前半にして2-0のスコアになってしまった。
序盤はかなり慎重だった。特に左サイドの福村貴幸。千葉の右ワイド・田中佑昌が隙あらば裏を衝いてくるので、まるで上がれなかった。自重しながらも、左サイドは駒井善成が主導権を握り、ここは京都が制していたといっていい。24分、福村が思い切って前に出てクロス、そこに逆サイドの安藤淳が駆け上がって詰めて、こぼれ球を駒井が拾って仕掛けるという流れで得たFK。トリックプレーから久保裕也が豪快に決めて先制。さらに追加点も左サイドからだった。駒井が奪ってサイドを駆け上がる久保に出して鋭いクロス。これに飛び込んでいた工藤浩平はスルーする形になったが、さらに遠いサイドにいた横谷繁が落ち着いてゴール沈める。2-0。リードを奪った京都は勝ちに乗じてさらに前に前に進撃を続ける。両サイドが上がってイニシアチブを取った訳だから、以前として両サイドは高い。そして勝ち気はやっている時ほど、足元がお留守になっていることには気づかないものである。人間ってそういうもの。
■手薄を衝かれ…
千葉は、序盤からフィールド中央では明らかに劣勢だった。どんなボールも京都の中山博貴が拾い、中山が繋ぎ、中山が止めた。千葉が意図的に中央を主戦場にすることを放棄したのかどうかは定かではないが(鈴木監督の話からある程度は読み解ける)、流れを変えたのは、中央を飛び越して左サイドから右サイドに大きく鋭く展開したボール。逆サイドの米倉恒貴には、紫のジャージは誰も付いておらず、まさに薄くなったサイドを衝かれての失点。さらに2失点目も米倉のアーリーな斜めロングボールから。これもサイドバックの裏の薄い部分をケアできていなかった。
さすがに後半になると大木監督も薄い部分をケアしてきたのだが、それで何が起こったかといえば、千葉の攻勢に押されて最終ラインがジリジリと下がたというだけ。サイドをケアもするために布陣も広めになり、選手間の距離は大幅に間延びした。ところが3失点目も、薄い所を衝かれてしまったもの。中山に代わって入った山瀬功治が前目に張っていたため、全体が間延びした中ではバイタルエリアを守る田森大己のところは明らかに薄くなっていたのだ。そこでボールを動かされてからのスルーパス一発。結局、ゲーム自体も局面でのバトルも京都が制していたものの、手薄な部分をしたたかに狙う千葉の方がゲーム運びが上手かった。何とか同点に追いつけたものの、持てる力を出力MAXで発電しようとして、漏電してしまったようなゲームだった。
もしかすると勝ちに乗じている時間帯にもう1点奪い切ってしまえば大差で勝てたのかもしれない。しかし、勝ってる時ほど慎重になれる武将が天下を取れるのが歴史の常。大胆さも大事だが、冷静さも大事だということを痛感した。
〈京右衛門的採点〉
オ 5.5 …好セーブもあったが、サイドからのボールへの不安定さを露呈。
安藤 5.5 …狙いは良いのだが、どこか地に足が付かず。フィードの精度もイマイチ。
染谷 4.5 …簡単に奪われ、あっさり裏取られ、目測を誤り、後手後手の対応が目立つ。
バヤリッツァ 5.5 …強さを見せ、前に出ると頼もしいが、田中佑のスピードには苦慮。
福村 5.0 …攻撃面で貢献したが、守備でミスが多く、表裏一体の穴を作ってしまった。
田森 5.5 …拾い屋としては及第点だが、受け身の場面が多い。終盤はよく前に出たが。
中山 6.5 …ボールへの寄せ、バランスの取り方など出色。中央から追い越す動きも良かった。
工藤 6.0 …攻で質の高いフリーラン、守でスペースを埋める動きを披露。長いラストパスさえ決まれば。
駒井 6.0 …キレキレドリブルで左サイドを制圧。後半間延びしたせいか、存在感が薄くなった。
久保 6.0 …連携の中でゴールに迫る動きが良かった。トリックFKからのゴールも見事。
横谷 6.0 …最前線から降りてきてのビルドアップが目立つ。今日も身体を張って橋頭堡を築いた。
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宮吉 5.5 …ロングボール主体の攻めで左右によく動き、横谷との連携でシュートまでは絡めた。
山瀬 5.5 …タメは作れたが、相手に脅威を与える場面はで行けず。球捌きは抜群に上手い。
三平 ――
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大木監督 5.5 …リードした時の戦い方のコンセンサスは必要。交代はハマらなかった。