第58回「京大俳句会」句会 2013年12月14日(土) 於:京大農学部W210セミナー室
4点句
戒名の棄てられてある冬田かな 岡村知昭
3点句
山眠り木喰仏やほくそ笑む 中山登美子
鳥男欄干は佇ずむためにある 大月健
死にし烏哀歌の群に鷹飛び込む マーティン・トーマス
2点句
寒鴉群れて渦巻く闇となる 梶原竹明庵
ほそ指で抱けよ禽獣孵るとき 堀本吟
段だら坂で壇密に相談だ 中島夜汽車
履歴書に書けない履歴十二月 平井奇散人
木枯しや記紀の山脈駆け巡る 辻本康博
病室に見舞いのかりん冷たくて 山下おるふぇ
煤掃きや年忘れたき我ひとり マーティン・トーマス
1点句
葦刈りて沼は悠久のたたずまい 大月健
冬の鷹見返る美人刺す瞳 宮本託志
銃後にはあらずと赤飯を噛みぬ 岡村知昭
枯野へのほったらかしを褒められる 岡村知昭
ほうき星消えて朝日に蝶の影 山下おるふぇ
付喪神(つくもがみ)と逢ひし能登路もしぐれかな 中島夜汽車
ぽっとん犬鳴山にはてなのラー油さん 高田銀次
上弦の杯より寒気こぼる宵 丁稚一号
すかすかの日記を閉じる寒日和 平井奇散人
語の意味は “hesitant (ためらいがちな)and dreamy(夢見がちな)” 春香
さりさりと人を喰らうか白の峯 丁稚一号
旧友や棄ててはならぬ絆かな 服部泰夫
無得点句
憂国の思いや巡る句座の暮れ 服部泰夫
どの本も思いの籠むる書斎かな 服部泰夫
しぼぼすらざざば……それがさいごのことばでした 高田銀次
室の花インテリヤにも色付きし 中山登美子
だれも見ぬイイギリの木鳥渡る 山下おるふぇ
冬の山緑が残る杉工場 古屋真理
柊の行となりて空受け取めむ 春香
つかの間を恋なき鮭児の銀に青 宮本武史
大空を舞い飛ぶとんびの気をもらい 願治郎
冬ざるる独り芝居も枯れかかる 中山登美子
衣々の別れもあった冬のこと ハメさん
闇鍋に放り込まれる秘密かな おいけのかっぱ
流星を見たやうな花抱ふ冬 春香
恕恕恕をとこもをんなも体制も 宮本武史
ベランダのふくら雀の細い髭 平井奇散人
熱燗の乱吹(ふぶ)く黄桜呉れへんか 中島夜汽車
精一杯の人生思ふ実南天 大石まさこ
戦前に戻れというか共謀罪 ハメさん
年の暮れ坊主バイクで飛んで行く 丁稚一号
追分をしぐれに追わるる時次郎 宮本武史
冠雪と快晴を抜け立富士か! 鎌田東二
叡山の獣静まる春星忌 清水光雄
虚子の宿夢魔おどり狂いたり 大月健
ざらめきを癒してくれる時雨あり ハメさん
Dear Jane’かといってタイルは血染め 高田銀次
交差点襟巻きしている河原町 寺田操
豊田郎の感じける寒さ分かる今 マーティン・トーマス