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「あたご」×「清徳丸」事故・・・そろそろ何か言ってみやうかな

2008-02-25 15:51:39 | 社会
 ミリオタなワタシがこの事故について今まで黙っていたのは、ひとつにはまだ沈没した漁船の吉清さん親子が見つかっていないということと、真実は海難審判の場で明らかにされるべきで、その前に憶測であれこれ書いてもしゃーないやん、という思いがあったからです。まぁでも、吉清さんの家族から地元漁協に対し「もうそろそろ捜索は打ち切って」という声が出てきたということもあり、またいいかげんマスコミの「自衛隊が悪い」一辺倒の報道に我慢ならなくなってきたということもあり、まぁぼちぼちこの辺で何か書いてみようかな、と。

 法的には「あたご」が先に面舵で避けるべきだった、というのはその通りなのでせう。その意味で「あたご」に非があることは間違いありません。では漁船団の側には何の落ち度もないのか、というと果たしてどうなのでせう。法律以前の問題として、危険を避ける義務は双方に等しくあります。交通事故と同列に見るのは正しくないかもしれませんが、大型ダンプとスクーターの事故なら過失割合が100:0になるケースはそうそうありません。

 朝日新聞の2月20日(事故翌日ですな)の記事にはこうあります。

asahi.com:漁船団、迫る艦船に「危ない」 無線に清徳丸は反応なし - イージス艦衝突
2008年02月20日08時01分

 父と子を乗せた漁船が真っ二つに割れた。穏やかな千葉・房総半島沖で、海上自衛隊のイージス護衛艦とマグロはえ縄漁船が衝突した。事故当時、ともに出港した僚船の船長らは、近づいてくる大型船に危険を感じ、かじを切っていた。国民の生命を守るはずの自衛艦との事故に、家族や漁師仲間らから怒りの声があがった。

 吉清(きちせい)治夫さん(58)と長男哲大(てつひろ)さん(23)を乗せた漁船・清徳丸は19日午前1時ごろ、千葉県勝浦市の漁港を数隻の僚船とともに出港した。ほぼ同時刻に隣の港を出た天津小湊漁協の漁船によると、海は穏やかだったという。「最高のなぎ。遠洋まで行くには、もってこいの天気だった」

 清徳丸と同じころに出港した幸運丸の堀川宣明船長によると、清徳丸を含む船団は幸運丸の後方約3キロの位置を、漁場に向けて時速約15ノット(約28キロ)で航行していた。

 午前3時半ごろ、幸運丸のレーダーに、左舷前方約9キロから接近してくる船影が映った。12~13ノットで東京湾に向かっているようだった。

 「なんの船だ」「タンカーか、フェリーか」

 後続の漁船同士が無線などでやりとりを始めた。しかし、その中に清徳丸の吉清船長の声はなかったという。

 幸運丸は、イージス艦から見て右舷から左舷に横切る形で前方を通り抜けた。清徳丸などの船団が後ろに続いていたが、イージス艦はそのまま直進してきた。

 「危ない」

 後続の船は無線で連絡しあい、衝突を回避するため、次々とかじを切った。イージス艦は、曲がったり止まったりする様子がなかったという。清徳丸はこのときも無線連絡に反応しなかった。幸運丸のレーダーには、直進している清徳丸の影が映っていた。

 イージス艦は前方に向かってライトを4、5回点滅させた。その後に停船し、今度は作業灯のような強い光で海面を照らし始めた。堀川さんは「汽笛などイージス艦からの危険を知らせる合図には気づかなかった。何かが起こったと思ったが、まさか衝突とは思わなかった」と振り返る。

 清徳丸と船団を組んでいた金平丸の市原義次船長は、事故があった場所の近くで、午前4時過ぎに大きな船と遭遇した。このとき、金平丸や清徳丸など漁船5隻が約3キロ内に集まっていた。

 大きな船は青い明かりを見せ、正面から向かって来た。市原さんはすぐに右にかじを切ったが、それでも衝突の危険性があるとみて、左にかじを切り直した。「船は真っすぐ近づいてきた。こちらは左右どちらによけるか迷ったが、最後は左によけた」と話す。

 新勝浦市漁協所属の惣新丸は事故の一報を受けて19日朝、現場海域に捜索に向かった。午前11時ごろ、現場に着いた。渡辺正明船長(38)によると、船は真っ二つに折れ、船首側と船尾側がそれぞれ100メートル離れた状況で、沈みかけていた。

 千葉県水産情報通信センターによると、19日は清徳丸からの連絡はなく、遭難信号も受信しなかったという。

 他のフネは気付いて避けられた衝突を、なぜ清徳丸は避けられなかったのでせう。この記事にある「清徳丸は無線交信に反応がなかった」というのは、もっと注目されるべきだと思います。何か他の作業に没頭していて無線に気付かなかったのでせうか。

 もうひとつ、22日の朝日の記事。このエントリー冒頭の図もこの記事のものです。

asahi.com:「大型船」避け右へ左へ 衝突の経緯次第に判明 - 社会

2008年02月22日01時55分

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」との衝突事故の直前まで、清徳丸と一緒にいた漁船の乗組員らが21日に開いた記者会見で、清徳丸が「あたご」の直撃を受けるまでの経緯が次第に明らかになってきた。

 《図(1)》19日午前4時ごろ。

 清徳丸は、他の2隻と三角形をつくるような形で、ほぼ南進していた。金平(きんぺい)丸と康栄(やすえい)丸が「底辺」となり、清徳丸がその「頂点」にあたる位置を進んでいた。金平丸の市原義次船長は「清徳丸の白い船尾灯が左前の方角に見えた」。

 同じころ、その約3.6キロ先では、同じ漁場に向かっていた幸運丸が、東京湾方面に直進するあたごとの衝突を回避するために右にかじを切った。午前3時半ごろに幸運丸はレーダーであたごをとらえていた。レーダーの範囲は半径約10キロ。乗っていた堀川宣明さんは「ちゃんと見てたならもっと前から分かるはずだ」と訴える。

 《図(2)》三角形を形作っていた清徳丸など3隻は、緑色の灯火の見える前方の大型船がイージス艦とは気づかないまま進んだ。大型船の約3キロ以内にまで接近した金平丸も危険を感じ、いったん右にかじを切った。しかし大型船に、右へかじを切って対向する船との衝突を避けようとする気配がないと感じ、金平丸は今度は左に大きく転回して針路から逃れたという。

 金平丸が直進を続けていた康栄丸と再び並んだころ、あたごが停船。船体に明かりがついた。

 「船、止まったよ」

 「お前が前走って止めちゃったんじゃないの」

 金平丸と康栄丸は、無線で、そんな会話を交わした。このときには、清徳丸とあたごが衝突していたとみられるが、2隻は事故にはまったく気づかなかったという。

 《図(3)》あたごの後方に出たところで、不審に思った康栄丸の中ノ谷義敬船長はライトで照らして、初めて海自艦であることを確認した。

 「こりゃ軍艦だよ」

 2隻はそのまま南へ進んだ。中ノ谷船長は「まさか、清徳丸が事故に遭ったとは思いもしなかった」という。

 この図によれば、「あたご」側が発表通り衝突12分前に漁船団に気付いたとすれば、すでに面舵で避ける時間などなかったことになります。大型船は反応が鈍いのです。むしろそのまま直進して漁船団が避けてくれるのを祈るしかなかったわけで。

 とはいえ、漁船団が30分以上前に大型船(=「あたご」)に気付いていたのですから、「あたご」ももっと早くに気付いていた可能性もあるのは確かで、その場合は漁船団がどう動いているかも把握できたでせうから、その時点で面舵を切っていればよかったのだ、ということも言えるのですよね。そしてそれはまた漁船団にも言えることでして。漁船団が「あたご」に気付いた時点でちょいと取り舵を切っていれば・・・。

 ・・・ま、結局は『たられば』なんですが。この先は海保の捜査と海難審判に委ねるべきですね。

 あ、あと事故原因がはっきりしないうちから「ゲル大臣辞めろ」を連呼する野党の皆さん、政争の具にするのはやめませう。大臣は処分を下す側の人間ですよ。


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
どっちもどっちということでしょうか? (F-4EJ改)
2008-02-26 21:05:45
ミクでも書きましたが、「あたご」の過失のみを責めるのは間違ってると思いますね。

普通この手の事故は、双方に過失があると言う場合が殆どと言うのは間違い無いでしょう。

たとえ漁船側に判断ミスがあったとしても、「あたご」が適切に転舵しておれば避けられたと同時に、「あたご」の判断に甘さがあっても漁船側は大型船が近付いてきたことが分っていたので、自分たちの優先権の主張を引っ込めて避けていればやっぱり起きなかったと思います。

「清徳丸」については、見張りの不徹底と言う過失は問われると思います。他の船が「あたご」を回避すべく転舵する中、一直線に艦首方向へ向かってますから直前まで全く見ていなかった可能性があります。(見張りの義務は双務的なものですからね。何か作業をしていたとしても、航走中に全く周りを見ないというのは非常識です。)

で、無線に反応しなかったことで恐ろしい想像をしてしまいました。

ひょっとしたら「航走中に意識が無かったんじゃないか?」って。

マスゴミも本気でこういう事故を無くしたいなら、漁船側の問題点も検証して指摘すべきです。(●ズバ!はじめサヨ的マスゴミにそういうスペックを期待するのは無理と言うものですが。)
マスコミは移り気ですから (KWAT)
2008-02-27 16:59:04
 事故から1週間たって新鮮みも薄れたか、キングカズ違う三浦元社長の件に一斉に向かっちゃいましたね。毒ギョーザの件だって終わってないのにな。

 それはともかく、マスコミにとっては自衛隊を叩きたいだけですから、漁船側が何をすべきだったか、という程度のことも言わないで済ますと思いますね。この朝日の記事からは、清徳丸が周囲を見ておらず仲間の無線の声も聞いてなかった、ということが容易に推測されるんですけどね。たぶん衝突直前になって眼前にそびえ立つ「あたご」の艦首に気が付いて、今さら取り舵を切っても舷側に衝突するだけだから、むしろ増速してなんとか前を通り抜けようとしたのではないか、と思いますよ。

 ところでこの漁船団、衝突現場の海域で操業してたわけではありませんよねぇ。漁船優先をいう人もいますけど、それは操業中の話だと思うんですが。
今日あの放送局でw (F-4EJ改)
2008-02-27 23:37:20
どっかの軍事評論家が「CICが全て」と仰ったようですが、「CIC」って「戦闘艦橋」で戦闘中の情報を集積して発令を行なう指揮所ですよね?通常航海では使用されるのでしょうか?

普通使用されるコンソールは艦橋にあるものを使用すると思ったのですが。

ところでこの漁船団はマグロはえ縄漁船で、「漁場に向かう途中」だったようです。

ちなみに漁労中には「海上衝突予防法第26条」に定められる投下が義務付けられます。

http://www.houko.com/00/01/S52/062.HTM

当然これらの灯火が無ければ通常の小型船舶と同じ扱いとなり、いくら漁労中だったと主張しても優先権は認められないでしょう。

最悪居眠りでもしていたのではないかと。(こうなると「あたご」側も救われない話ですが。)

ところではとポッポもマスゴミもバカかと。いま捜査しているのは誰かと言うことも分からず、「防衛省は情報操作をしている」だの「隠し事をしている」だのさえずってますw

そりゃ警務隊が捜査しているなら訊く先間違っちゃいませんが、捜査活動の全権を海上保安庁が握っている今、一方の当事者が勝手にべらべら喋るのは海上保安庁にとって困ることがあることも心得ないと。

事故の核心が知りたいなら国交省に逝けと。
それにつけても (KWAT)
2008-02-28 10:56:27
 まぁ原因究明は海保に任せて海難審判の結果を待てばいいと思うのですが、それとは別にどうも事故直後の海自側の動き方の拙さと、それに輪を掛けた防衛省事務方の対応の拙さが際だってきたやうな。このままだとゲル大臣、保ちそうにない悪寒。増田事務次官のあの会見内容はマズイだろ・・・。orz
あの事故は「あたご」側の過失が全てだそうですw (F-4EJ改)
2008-03-01 22:32:03
今日は高知からですw

暇つぶしにアッチを見てみましたw

沢山釣れてますが、「漁船にも過失があるだと?二人も行方不明になってるんだぞ(怒)」だそうですw

それは彼我のサイズが違うだけの結果論で、避ける僚船を尻目に真っ直ぐ突き進んだのと、無線に応答なしという事実は見えていませんねwww(一番近かった「幸運丸」でさえ避けられたのに)

たまたま護衛艦だっただけで貨物船が相手のときとはえらい違いですw

見張りの義務は総務的なものだと理解していましたがw

まあ海難審判では「清徳丸」の過失も指摘するでしょうw
なにが残念って (あいぼりい)
2008-03-06 05:30:49
イージス情報流出以来、不祥事ネタが続いている海自のワキの甘さが気になるんですよ。
「あたご」にせよ海幕にせよ、突発事態に対処する準備ができてないんじゃない?と。
連絡・報告の不徹底で痛くもない腹を探られ、マスゴミ・野党が食いつきやすくしちゃって・・・
事故の法的責任は海保が判断することですし、「弟」の失言にはダンマリを決め込んでいた鳩ぽっぽが眉間にしわを寄せてしゃしゃり出てくるんじゃない!
反対はするが対案は出さぬ (KWAT)
2008-03-06 11:52:29
>>カッ・・・あいやF-4EJ改さん

 あちらでは例の×さんが、ゲンダイの記事を真に受けて顔を真っ赤にしてお怒りのご様子。お気楽でうらやましい限りですわ。さすがに「ソースはゲンダイ」ではスルーされてるみたいですが(w

>>あいぼりいさん

 そうなんですよ、判ってみれば「なんでそんなことしちゃってるのかねー」てな事柄が多すぎて。ゲル大臣も尻拭いが大変だ。
見てきますたwww (F-4EJ改)
2008-03-06 21:16:51
ついでに爆撃してきますたw

どうも事実を元に書き込んでいると言うことは理解してもらえないみたいですねw

ゲンダイがソースなだけでもアレなのに、結局何が言いたかったんでしょうか?中年さんはw

全く国防と関係無いじゃないですかwww
×さん酷すぎ (KWAT)
2008-03-08 02:22:04
 他のBBSの話ばかりするのもアレですが。

 「自分がやめたために国民に迷惑をかけて申し訳ない、申し訳なかったというお詫びも聞いたことがない」と書く×さん、↓の会見のことをすっかり忘れてますな。いや、彼のことですから眼中に無かったのでせうねきっと。

健康問題が辞任の最大の理由、一議員として新総裁を支える=安倍首相 | Reuter
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPnTK002990420070924

 日本の株価が下がっている最大の要因はフフン♪の後ろ向きな政権運営に他ならないんですがね。だいいち、今さら前首相を持ち出して批判するなんてピントがずれまくり。そんなにフフン♪が心地いいのかね。

 ・・・いかん、これではただの愚痴だ。

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