先生、そこまちがってるよ

ちがってねえよ。
ちょっとあってねえだけだよ。

靖国とA級戦犯 vol.5 サンフランシスコ講和条約

2006年03月26日 20時39分59秒 | 【靖国とA級戦犯】
さて。

ここで何度も出てきている

サンフランシスコ講和条約。

これを知らないと靖国に関してわからないと思うので
ちょっと説明しますね。

第二次世界大戦における、
アメリカ合衆国をはじめとする連合国の諸国と
日本国との間の

戦争状態を終結させるために

両者の間で締結された『平和条約』

のことで
1951年(昭和26年)9月8日に全権委員によって署名され、
1952年(昭和27年)4月28日に発効しました。
正文は英語、フランス語、スペイン語のみで、日本語の正文は存在しません。

これによって正式に、
連合国は、日本国及びその領水に対する日本国民の完全な主権を承認しました。

国際法上では、
講和条約が発効されるまでは

「戦争状態」が続いている

とされ、
ポツダム宣言の受諾を表明した1945年(昭和20年)8月15日や
降伏文書に署名をした1945年(昭和20年)9月2日に
戦争状態が終了したとはされていません。

で。
これのどこが靖国と係わっているかというと、

第11条に【戦争犯罪】についての項目があって。

第11条【戦争犯罪】

日本国は、
極東国際軍事裁判所並びに日本国内
及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し
且つ、
日本国で拘禁されている日本国民に
これらの法廷が課した刑を執行するものとする。

これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、
各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定
及び日本国の勧告に基くの外(ほか)、
行使することができない。

極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、
この権限は、
裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定
及び日本国の勧告に基くの外(ほか)、
行使することができない。

と、あるのだけど。

この

『裁判』

の部分。
英語ではthe judgments
フランス語ではles judgments
スペイン語ではlas sentencias
となっている。

英語のjudgmentsは、
法律用語として用いられる場合、日本語の「判決」を意味する。

フランス語のles judgmentsは、日本語の判決

スペイン語のsentenciaは、日本語の判決または宣告された刑を意味し、

「裁判」という意味を含まない。

しかし外務省の邦訳文では、
判決(the judgments)が裁判(trial)と誤訳されている。

大原康男教授が、
当時の外務省条約局課長であった藤崎万里氏に取材したところ、
藤崎氏から

『昔のことなので、
なぜジャッジメントつまり判決の受諾が裁判の受諾になったか、
自分も覚えていない』

と言われたという。

日本は東京裁判を、この第11条で認めている。
だからA級戦犯は犯罪人だ。

東京裁判を否定することは、
サンフランシスコ講和条約を無視することになる。
戦後の日本をすべて否定することになるぞ。

とよく聞くのだけどだけど、
それは大きな間違いで。

『日本は諸判決を受諾する』
~Japan accepts the judgments.~

であって

連合国の報復、リンチ裁判である、東京『裁判を受諾する』

ではない。

日本は、
連合国に代わり刑を執行する責任を負っただけで、
それ以上はなにも規定されていません。

つまり、

日本政府の『受諾』の対象は、

判決主文(刑の言い渡し・死刑とか終身禁固とか)

であって、

判決理由(平和に対する罪云々で~、の部分)

ではないわけです。

講和条約の発効により、
国際法上の戦争状態を終結させて独立を回復した日本の政府は、
東京裁判の判決理由の中に示された
<歴史観ないし歴史的事実認定>

――歴史の偽造(パール博士の言葉)――

を盲目的に受けいれる義務を負わず、
いかなる批判や再評価をも、
その裁判や判決理由に下すことが自由であり、
この自由こそが、
講和を通じ代償を払って獲得した国家の「独立」の実質的意味なわけです。

~~~~~~~~~~

日本政府は、
東京裁判については、
連合国に代わり刑を執行する責任を負っただけで、
講和成立後も、
東京裁判の判決理由によって拘束されるなどということはない

~~~~~~~~~~
これが、
世界の国際法学会の常識です。

講和条約は連合国において起草されました。
敗戦国である日本国には「交渉」する権利さえ与えられていませんでした。
つまり、日本には

<条約の条文(内容)について口をはさむこと>

ましていわんや

<条文の修正を要求すること>

などは許されてはおらず
ただ

<講和条約を「受諾」するか「拒否」するか>

の二者択一の道しかありませんでした。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
さすがだな (n1450)
2006-03-26 21:28:02
いいねえ。

わかりやすいねえ。

子供でもわかる靖国議論として産経あたりが載せてくんねえかな・・・。
返信する
Re:さすがだな (くすぶり555)
2006-03-26 23:19:09
コメントありがとう( ゜∀゜)ノシ



60余年前、

世界を相手に戦を仕掛け、

ものの見事に叩き潰され、

そして、

先人の努力のおかげで

今日の日本の豊かさと平和があります。



靖国とは

日本人の根底にある(正確にはあった)

宗教観、死生観の象徴

のような気がします。



本来なら

こんなところで

素人がウダウダ書かなくてもいいように

きちんとした事実、状況を

学校なり、周りの人なりが

わかりやすく教えてくれる環境であればいいのだけれど。



悲しいことにそうではないですね。



君もくすぶりも

いつか親になるでしょう。

その時に

もっといい環境であればいいですね。
返信する

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