いわて!くせじゅ庵

岩手県のあらゆる文化をゆる~く探究していくブログ。

呑ん兵衛横丁で呑んだくれ!

2017-07-18 00:39:02 | 食文化





どうも所長です。

今日はお酒の話!

ぼくも副所長もお酒好きのお酒飲み。

よく二人で海で朝まで飲んだっけな。

ぼくはまぁどこにでもいる程度の酒飲みですが、

副所長は本当にザル。

何度一緒に飲んだかわかりませんが、

酔った姿なんて一度しか見たことがありません。

彼は酔うと友情に熱く(誤字ではないよ)なるんですよ。



さて本題です。

今日のネタは釜石市の「呑ん兵衛横丁」です。

釜石市は釜石ラーメンの舞台ですね。

場所はこのあたり。




呑ん兵衛横丁は、もともとは釜石市の漁港の近く、中心街の外れにあって、

5人程度しか座れないような簡易なつくりの居酒屋が集まった通りのことです。

外観はこちら。



中学生のころなんかは、夜にこのあたりを通ると、

なんとなくレトロな怪しげな雰囲気を感じていました。


呑ん兵衛横丁は、昭和30年代前半、戦争により旦那さんを失った方々などが

生活をするために店を始めたものなのだそう。

高度成長期の釜石市の発展も影響したのでしょう、

最盛期には30店以上もの居酒屋さんが並んでいたとか。


ですが、それは今は昔の話、

東日本大震災によって呑ん兵衛横丁は全壊してしまいました。


ですがですが、浜の女性は強いとはよくいったもので、

その後、釜石市の鈴子町に震災後に建てられた「はまゆり飲食街」のなかで、

呑ん兵衛横丁はプレハブの仮設店舗ながらも再開され、

元のママさんたちが店を続けたのでした。


今回はそこに副所長と行ってきたよって話。


一応、取材を兼ねているので、

カッパとテングの格好をして飲んだものだから、

そのママさんたちを大いに不審に思わせたと思うけど、

とても楽しい一夜になりました。





(今の呑ん兵衛横丁、はしゃぐ副所長。今夜は何かから解放されたのかな?)



1軒目は「お恵」。

ママさんは呑ん兵衛横丁で店を出してから、

なんと今年で54年。

言葉のひとつひとつに深みがあります。





ビールで喉を潤したら、料理と日本酒に真剣にならなければなりません。

どんことイカのお刺身、ホタルイカの煮物。

酒はもちろん釜石が誇る地酒「浜千鳥」の冷で。

飾り気のない料理を浜千鳥がなおのこと優しい味にします。

そして、名物の味噌おでん―。

素敵な一時でした。もう酔いました。



2軒目は「向島」。



店の中はどこもこんな感じ。こちゃこちゃした物が店内に個性を出しています。


(副所長は浜千鳥をもっきりで。)

ママさんの人生談、哲学に聞き入りながら、夜を更かします。


(ママさんが連射で撮ってくれました。ぼくは麦の水割りに移行。)


3軒目は「とんぼ」。



おだやかなママさんが優しい味の煮物を出してくれます。

そんな煮物には再度浜千鳥。そろそろ(だいぶ)酔ってきたので2人で1本。


(居酒屋でカッパの格好してたばこ吸ってんのって他にいますか?)


(ママさんがやはり連射で撮ってくれた。副所長、疲れてる?)


たっぷり堪能できましたから、ブログのネタとしては十分なのですが、

1軒あたりが安く済む天下の呑ん兵衛横丁で、

ママさんの噂に違わぬ人情に触れといて、

たった3軒で帰るわけにはいきません。


そんな訳で、4軒目は「カサブランカ」。

毛色を変えてスナックです。


(プレハブの2階にあります。)


(時間的にも〆なので、ぼくは麦、副所長は芋をお湯割りで。)

貸切のなか、ママさんに勧められるがまま、



カラオケで騒ぐだけ騒いで帰ったのでした。




いやぁとても楽しかったです。

取材と称して呑めましたからね(どーん)

いや、真面目に言うと、

味よし酒よしママさんよし雰囲気よし。

残業後にふらっとしたくなるような、

そんな懐かしさと親しみやすさがある素敵な場所でした。


ただし、話はただ酔った話では終わりません。

ここってあくまで「仮設店舗」にあるわけですから、

いずれはどこかに移る必要があります。

そのため、昨年、市が中心となって、

元の所在地の近くに新たな飲食街をオープンし、

「そこに戻って!」という話もあったようですが、

そこに移ることすら、労力と費用がかかってしまうので、

従業者の高齢化も関わってスムーズにはいかず、

今回訪れさせていただいたようないくつかの店は、

今もなお仮設店舗で営業をしているのだとか。

呑ん兵衛横丁はまさに存続するか否かの岐路にあるようです。


市の考えも仕方ないし、ママさんたちの言い分も理解できる。

「こうすべき!」なんて意見はとても述べられません。


ただ、こんな素敵なところが無くなってしまったら、

それは仕方ないことなのでしょうけど、

ただただ寂しい感じがします。


なんていうのかな、ぼくの立場で言えるのは、

こういった事情にノスタルジーな気配を感じつつ、

人情味あふれたママさんの人柄と料理を味わう。

ここってそんな場所なんだと思います。

いつかまた行ってみたいと思います。




(「呑ん兵衛横丁」釜石市鈴子町14)

GW特別企画「岩手沿岸グルメ食べ歩きの旅~ご当地のものにしばられて~」その3.食べ歩き2日目

2015-07-20 23:17:49 | 食文化
前回はコチラ

岩手県沿岸部の特産品しか口にできないというルールのもとで、沿岸グルメを食べ歩こうという企画を

GWにやっていたのですが、

1日目の結果を書いたきり、なかなか2日目の結果をブログにすることができておりませんでした。

さすがにこれ以上書かないと副所長に所長の座を奪われそうなので今日こそ頑張ろうと思います。



5月6日に行った企画2日目は、所長と副所長で行ってまいりました。



地図を参考にしてもらって、2日目の旅先は宮古市と岩泉町。

釜石市をスタート地点として、大槌町と山田町は通過のみの形です。


さて、さっそく釜石市を出発した私たちですが、

なんといっても大切なのは水分の確保

ご当地のものしばりをすると、お酒以外の水分になかなかありつけないので、

のどの渇きとの戦いになるというのが前日の教訓でした。

そこでまず私たちが向かったのは釜石イオン。

食品売場で「龍泉洞の水」と「龍泉洞珈琲」を調達します。


(前日の命の恩人、「龍泉洞の水」)


(眠気対策、「龍泉洞珈琲」)

もう龍泉洞サマサマです。

水分の確保にも成功し、向かったのは宮古市。本州最東端の市です。


(安定の道の駅)

爽やかな青天の下、ご当地グルメを求めて道の駅に到着します。

ここでは2種類のご当地グルメをいただきました。

まずは、名前は忘れたのですが、宮古を冠した揚げ物。


(中はかまぼこ。ジューシー!)

そして「宮古黒醤油ラーメン」。


(まっくろけである)

揚げ物と黒い醤油ラーメンと。

予想通りこの日ものどの渇きとの戦いです。



こんなこともあり、副所長は大変そう。


(副所長ぐったり)


そんな副所長に特にたいした配慮もせず岩泉町へ。

私ののどを幾度も潤してくれた龍泉洞がある町ですね。

ここでもやはり道の駅に向かったのですが、これまでの道の駅と異なり、

岩泉町の道の駅はだいぶ山の中にあるせいかだいぶ雰囲気が違います。


(山の中にあり、木の感じ。となりには球場があって高校野球をやってました)

これまでと一転、沿岸でありながら、

販売している食べ物は農作物が多い印象を受けました。


(全国区になりつつある「岩泉のむヨーグルト」。もったりしていて甘い!のどが潤う!!)


(これには副所長もニッコリ)


(いわいずみ短角牛の串焼き。ほっぺたが落ちます)


(岩泉チョコマン。チョコレートの焼き菓子?あんまいあんまい)



2日目の宮古市と岩泉町はそもそも遠くてですね、

移動に時間がかかってしまってあまり探索に時間をさけなかったのかなという気持ちもありますけど、


(釣り橋をこわがる所長)

ただ、遠いだけあって、これまで知らなかった食べ物や風景がたくさんあって、


(副所長@福山雅治風(意味不))

ただのドライブとしてだけでもとても楽しい思いをすることができました。


さて、全体のまとめをば。

岩手県の沿岸のご当地グルメを食べ歩くという趣旨で今回の企画を行ったわけですが、

当然ながら、今回味わったもの以外にもまだまだ沿岸のご当地グルメがあります。

そもそもすべての沿岸部を回ってすらないしね。

もっともっといろいろ経験できればとも思うのですが、実際にやってみた率直な感想としては、

金銭的にとか時間的にとかメンバーの都合的にとか、なかなか今回のようなことは難しいのかなと思います。

ただ、とにもかくにも、ホント楽しく沿岸ご当地グルメを勉強することができました。

また機会をつくることができたなら、似たようなことを再びやりたいと思います。

岩手県沿岸部ごっちゃんでした。


(この日も帰りはモスバーガー。とてもとても美味しかった)

GW特別企画「岩手県沿岸グルメ食べ歩きの旅~ご当地のものにしばられて~」 その2.食べ歩き1日目

2015-05-07 00:46:08 | 食文化
前回はコチラ

岩手県沿岸部の特産品しか口にできないというルールのもとで、

沿岸グルメを食べ歩こうというこの企画ですが、

5月5日と6日の2日間に分けて行いました。

1日目が所長とまっくろくろすけ事務員、

2日目は所長と副所長で行ってまいりました。

2日間で回った場所は、のべ2市3町で、

北から、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市です。

具体的な場所は下の地図のとおり。



岩手県の沿岸部には、他にも大船渡市や久慈市など、

いくつか市町村があるのですが、時間の都合上、

今回は上記の市町のみになってしまいました。



それでは早速レポートを。


1日目、天気に恵まれた一向は、

まず大槌町に向かいました。

行先は「福幸きらり商店街」。

大槌北小学校の校庭に作られた、プレハブ小屋に入った店舗が並ぶ仮設商店街です。


(ツタヤもあったよ!)

さてさて、何か沿岸グルメはないかなっと。



むむ、大槌銘菓の文字が見えます。

こちらは「エルマーノ」というお店で、

ここらではなかなか人気のお菓子屋のよう。

そこでこんなお菓子をゲットしました。



「大槌城山ポテト」です。

城山は大槌町の地名ですから、これは当然ご当地グルメでしょう。

という訳でいただきます。


(フカフカ!)


(ンマーイ!!)

おお、カップケーキのようでスイートポテトのようで。

しっとり甘くてンマーイ!

軽くて、いくつでも食べちゃいそう。

これはコーヒーと合わせたら最高でしょうねぇ。

そうじゃなくても牛乳とか、紅茶とか。


……。

喉かわいたなぁ。

飲み物も当然ご当地のものしばりがありますから、

例えば大槌コーヒー(ないけど)のようなものがない限り、

水分補給すらできないのです。

ただでさえ好天で暑いくらいなのに、しっとりしたものを食べたおかげで、

喉が水分を非常にほしがります。

ていうか、水分くらい例外にしても良かったんじゃないか?

喉が渇いた状態の運転は飲酒運転と同じくらい危険だとどこかでやっていた気がします。

でも途中でしばりを緩めるなんて、岩手男児(今ぼくがつくった言葉)としてどうなのでしょう。

でも危険だしなぁ。

けっこう悩んだあげく、折衷案(?)として、

次はご当地の水分を求めて移動することにしました。


水分を求めて大槌町を進むと、いつのまにか山田町に入りました。

ハチクロで竹本君がワカメソフトクリームを見つけていた山田町ですね。

喉の渇きを我慢しつつ、しばらく走っていると、

道の駅があったのでご当地水分があることを願って入ります。


(道の駅 やまだ)

水分はどこにある…。

きちんと水分以外のものも物色しつつ、水分を探します。


(「山田せんべい」 顔くらいある大きなせんべい。ごま風味でオツな味でした。)


(「ヤマダちゃんキャンディー」 山田町ご当地キャラ ヤマダちゃんのキャンディー。舐めると一瞬でヤマダちゃんが消える。)


(「山田の醤油」 お刺身に最適とのことですが、冷奴で味見しました。甘口でコクがある感じ。旨い!!)

うん。

ご当地水分って意外と無いんだな、これが。

いやさ、ご当地の水分って言えば、やっぱりお酒なのさ。

でも飲んだらダメじゃん。飲酒運転になるじゃない。

お酒以外のご当地水分はないのか…。

このまま喉の渇きを癒せないままなのか…。


諦めかけたそのとき!



(もはや神々しく見える)

こんなものがありました。

「龍泉洞の水」、ミネラルウォーターです。

龍泉洞と言えば、岩手県沿岸北部の岩泉町にある日本三大鍾乳洞ではないですか。

これってどうなんでしょう。

まだここは岩泉町ではないけど、沿岸グルメかつ沿岸のご当地のものではあるし…。

山田町のものでないけど、岩手県沿岸のものだし…。

喉は渇ききっているし…でも岩手男児としてルールの曖昧な解釈はいかがなものか…。

…。

……。


龍泉洞の水、まろやかでとても美味しかったです。

なんでしょうね。深く沁み入る味がしました。

きっと神様の世界に降る雨はこんな味がするに違いない。

ホント龍泉洞の水って素晴らしいです。



神の加護を受けたところで、来た道をUターンし、

出発地の釜石市に戻ります。

目的は新しくできたばかりの道の駅です。


(道の駅 釜石仙人峠)

ご当地のものを食べるためには、やっぱり道の駅に寄るのがベストだと思うのです。

仙人峠という道の入り口にあるので、こんな名前なのでしょう。


(中には鉱石の展示も)

さすが近代製鉄発祥の地だけあって、展示品にもこだわりがあるようです。

ここでは、いろいろ迷ったあげく、

後で飲む用にご当地ビールを買いました。


(「三陸 海のビール」)

釜石商工会議所青年部による企画開発とのことでしたので、これも立派な釜石市のご当地ものでしょう。

今、こうして記事を書きながら飲んでいますが、

優しい味でまろやかな風味で美味しいです。

また、漢らしいラベルに載せられた

「母なる海から湧き出たいのちが麦酒に抱かれて浪漫の調べを唄いはじめる」

との言葉がとても素敵です。



さて、1日目はこんな感じでした。

実は2時間以内に行って戻ってくるという時間の制約があったのですが、

それでも3市町まわることができました。

やはり道の駅に行くとたくさん沿岸グルメがあったのですが、

全種類買うのは、さすがに財布的・お腹的にキツイので、

ごく一部だけを楽しむ形になりました。

いやぁ、山田町なんて中学生の頃に部活の練習試合で行っただけなので、

こういう感じでいくのは初めてだったのですが、

思った以上に美味しそうなものと綺麗な景色がたくさんあるところでした。

もちろん大槌町も釜石市もです。



2日目には副所長と食べ歩いたのですが、

やはり長くなってしまったので、それはまた後日記事にしたいと思います。


(帰宅後に食べたモスバーガー。とても美味しかった。)

GW特別企画「岩手県沿岸グルメ食べ歩きの旅~ご当地のものにしばられて~」 その1.計画

2015-05-04 18:38:06 | 食文化
世の中ゴールデンウィークでございます。

「そんなの関係なく出勤だよ!!」という方々もいらっしゃるのだと思いますけれども、

ぼくはありがたくも周りの協力によって連休の出勤は免れましたので、

のんびりと5連休を満喫しております。


日頃、自由な時間がほしいなぁと思ってはいても、

実際にこうして時間ができると何をすべきかわからなくなります。

とりあえず今更なタイヤ交換と思いきった散髪だけはしたものの、

それも最初の二日間で済んでしまいました。


さて、何をやろうか。

誰かと飲みにいこうか。

いやそういう感じで誘える友達がいない。

一人ドライブなんかしちゃおうか。

いや事故が怖い(過去の教訓)。

……。

そうだ、ブログを書けば良いんじゃないか。


そんな訳でせっかくゴールデンウィークですし、

何か特別な企画をやってブログの記事にしようと考えたのです。

そんな思いつきのもと、考えた企画が


岩手県沿岸グルメ食べ歩きの旅!!


なのです。

岩手県沿岸部のグルメをドライブしつつ食べまくるという企画です。

なんて連休っぽい!

岩手県って一般にわんこそばとか冷麺ばかり有名で、

沿岸部のものにあまり着目されていない気がします。

ていうかぼくも沿岸部のグルメはよく知らないんだな。

だから、沿岸部にはこんな食べ物があるんだねというのを

ぼく自身の勉強も兼ねてお伝えできればなと思うのです。

ま、釜石ラーメンも一区切りさせたところですし、

このまま沿岸部のグルメを堪能しようということです。

そして沿岸部にお金を落としてくることで、

まぁ復興支援に協力という意味合いにはなるかなと。

何でもかんでも震災にかこつけるのもどうかと思いもしますが。。。



とにかく沿岸部のグルメを楽しみつつ勉強してこようという企画ですが、

ただの食べ歩きでは芸がありません。

より企画の目的に則するために、ひとつの「しばり」をもうけたいと思います。

その名も、ご当地のものしばり!!

この企画中は、

例えば釜石ラーメンのように地名を冠するもの、

あるいは「大船渡市限定」といった売り文句があるもの、

もしくは、そういうのがなくとも、その地域の特産品であるものしか口に入れられない!

そんなルールで食べ歩きたいと思います。

こういうのはやるなら徹底的にやらなきゃ男がすたります。

ですので、食べ物はおろか、

道すがら口にするお菓子も、喉を潤すための飲み物も、

とにかく岩手県沿岸の特産品以外は口にしちゃダメ!!

そんなルールで岩手沿岸を旅してこようかと思います。



具体的な探索場所については、一応県としては最も広い岩手県の沿岸部を

一日で横断するのはちょいとカロリーを必要としますので、

沿岸南部か沿岸北部か、もしくは沿岸中央部(そんな分け方ないけど)のどれかに絞ることになると思われます。

副所長が同行できるかまだ微妙なところなんですけど、

彼が一緒に行けるか、またどれくらいで戻らなきゃいけないのかで

行き先も変わってくるんじゃないかな。


いずれにしても実行日は明日。

下調べはしません!!

行き当たりばったりで食べ歩いてきたいと思います。

釜石ラーメンを食べよう その4

2015-04-27 00:02:03 | 食文化
前回はコチラ


いつものようにすっかり間が空いてしまいましたが、

今日で釜石ラーメンを一区切りにしたいと思います。

区切りということで、ちょっとした考察をば。


釜石ラーメンをテーマにして進めてきましたけども、

今思えば、釜石ラーメンの舞台である釜石市についてしっかりと紹介していませんでした。

釜石市は岩手県の沿岸南部に位置しておりまして、

ま、簡単に言えばリアス式海岸の一角を担うまちのひとつであります。

地図にするとこのあたり。


(所長画:釜石位置図)


世界三大漁業の一部でありながら、良質な鉄鉱石が採れる場所でもあって、

それに目をつけた大島高任という人が江戸時代に釜石市で洋式高炉を築いた関係で、

実は日本における近代製鉄業の発祥の地だったりします。

現在、そのときの高炉を世界遺産にしようという取り組みもあるのだとか。

近代製鉄発祥の地として、一時は人口が10万人に迫る勢いで、

県庁所在地である盛岡市に次ぐまちになるのではという時代もあったそうですが、

それは今は昔の話。

太平洋戦争時には艦隊による射撃を受けたほか、

肝心の高炉の休止も影響したのでしょう、

今では人口が4万に満たない状況です。

さらに4年前の東日本大震災によって、釜石市は大きな被害を受けました。

世界一の湾口防波堤をもってさえ、

あの大津波は防ぎきれませんでした。

これは釜石市に限った話ではないけれど、震災が釜石市に与えた絶望ってどれほどのものだったのでしょう。

個人的に、釜石市は本当に栄光と苦難を経験してきたまちだと思います。



ここらで話を釜石ラーメンに戻します。

現地調査の際に聞き取りしたように、

釜石ラーメンは比較的最近出てきたものなのだそう。

つまり、釜石ラーメンは伝統的な文化ではなくて、

きっと復興に向けた釜石市による、近年の営みのひとつなんだろうなぁと思わされます。

具体的なことはわかりませんから、あくまで推測なんですけど、

「復興に向けて何かやっていこうぜ」という釜石市の皆さんの気持ちの結実なんじゃないかなぁ。

「釜石を売り出していくために何か有名にしていこうぜ、釜石を興していこうぜ」

そんな取り組みが実際にどれほどあったかはわからないですし、

あまりテキトーなことは言いたくないなぁという感じがしますが、

最近のそんな動きのひとつとして釜石ラーメンが誕生したのではないかと。

でもこれはホント推測です。





まぁぼくはラーメンはあっさりよりもこってり味噌派ですけど。


カッパ「ぶっちゃけおれは味噌派なんだけど、きみは?」

テング「こってり味噌かスーパーアッサリの塩かな」

カッパ「ん?あっさり琥珀色の醤油スープは?」

テング「まぁ人それぞれだからな」

カッパ「…せやな」

現地調査の際、こんなやり取りがあったのは内緒の話。





震災から4年が経って、釜石市に明るいニュースが増えたように感じます。

釜石に県内3番目の規模というイオンが建ってJKとかたくさん来ていて繁盛しているようですし、

なんとラグビーワールドカップの会場にも選ばれました。


官民問わず、いろんな形で復興を目指していく途中にあって、

そのなかで生まれたのが釜石ラーメンなのでしょう。

「昔から漁師の村で、だからこそこんなラーメンができた」

といった伝統的な文化ではなく、

復興に向けて、商業的な意味合いが大きい、

比較的最近つくられた文化なのではないかなと思う訳です。


たしかに所長は味噌派ですし、副所長も味噌か塩派で、

釜石ラーメンのあっさり醤油味は、まぁ好み的にはあれなんですけど、

今後釜石ラーメンがどんな定着の仕方を見せていくのか、

釜石市の復興とともに見守っていきたいと思うのです。






(「釜石ラーメン」 釜石市)