あさがや劇場

日本一寒く、星のきれいな北の町へ。

残雪

2013-04-13 12:09:11 | りくべつ劇場
陸別に春が訪れた。

あれほど多かった雪もいつの間にか無くなって、土色の景色が広がっている。
山の斜面にへばりついている残雪も何故か愛おしい。


四月からコンビニでアルバイトを始めた。

北海道では店舗数が一番多い「セイコ-マ-ト」という店だ。
内地の人には聞き慣れない「セイコマ」でしょうが、道民にとっては無くてはならない
もはや生活の一部と言える程の、県民ショ-なのだ。

人口が減り続けている陸別では商店の数も減少し、
僕が帰郷してからも古くから有った二店が閉店した。

大型のス-パ-に太刀打ち出来ない個人経営の悲哀は、こんな小さな町でも顕著に現れて
地元の人は車で隣町や北見市まで出掛けてしまう。
今、陸別で食料品や生活用品を買えるのは農協の「Aコ-プ」と「セイコマ」と
そして、町で一軒だけになった個人の商店だけだ。


何か、少しでも収入が増える仕事を探したが、陸別では難しい・・
大きな酪農家の手伝いは高給(20万円)らしいが、この歳で初めてでは無理だろうと言われた。

そこで、募集していたセイコマの店長さんと話してみた。
(東京の求人誌でもそうだが、コンビニという所は常に人を募集している・・)
「週1の休みで早朝か深夜帯で働けば、月に13~14万になりますよ」と優しそうな店長さんは言ったのだ。

4月2日に隣町の足寄町で研修を受けた。

主婦と女子高生と僕の三人が接客マナ-を学んだ。
「セイコ-マ-トへようこそ!」
と、元気な声でお客様を迎えるのだ。
少し、いや・・かなり恥ずかしかったけれど、中途半端が一番みっともない。

僕はりくべつに来て、[一生懸命仕事をすること]の尊さを学んだのだ・・。

「黒沼さん、とっても良い声してますね!」
と、若い女性のコ-チが褒めた。

嬉しくなった僕は、劇団に居た事を明かしてしまった・・



故郷で飄々と、淡々と生きる。

これが東京を離れるときに、心に誓った事だ。


僕にはまだ、出来そうもない・・







最新の画像もっと見る

コメントを投稿