旧八月二十一日。彼岸の入りです。緑の豊かなところでは彼岸花のつぼみが膨らみ、花を咲かせているところもあります。台風一過の青空で、暑さもいよいよ納めの頃でしょうか。
今年、中秋の名月は9/14(日)でした。関東では雲が多かったものの夕方には雲が薄くなり名月を眺めることが出来ました。そんな中、神奈川県大和市にある「公所 浅間神社」の例大祭夜の奉納演芸で“つるとかめ”(澤田勝秋さん=津軽三味線・唄、木津茂理さん=太鼓・唄)がゲストに坂田明さんをお迎えして出演するということで観に行ってきました。
まだ明るさが残る夕刻の頃、たどり着くと、神社の境内に広がる普段は駐車場なのでしょうか、運動場のようなスペースに会場がありました。お囃子の櫓が組まれ、その前にはビール瓶のケースに板を渡した客席のベンチが並んでいます。ステージはプレハブのようなシンプルな建物。バックには紅白の幕が張られ、わくわくする感じです。露店がたくさん出ているのをなんとなく想像していたのですが、あったのはたった一軒。懐かしい数字合わせです。実行委員の方が準備を進める中、まだ会場は閑散としています。
この夜のステージは二部構成です。第一部は澤田勝秋社中と言いますか、一座と言ったらよいのでしょうか、オールスターズと言うのがわかりやすいでしょうか、若手からベテランまで澤田師匠と親交のある民謡の担い手が続々登場してたっぷりと聴かせてくれます。出演されたの菊池恵子さん、茂理さんの妹さんの木津かおりさん、ゆかりさん、澤潟秋子さん他です。予定調和になることがなく、出演者も楽しそうに唄い、演奏しています。
いつのまにかとっぷりと日も暮れて中秋の名月が鎮守の森を照らし始めています。会場にはたくさんの人たちが集まり、お弁当やお酒を持って思い思いのスタイルで楽しんでいるようです。合の手を入れたり、手拍子を打ったり、見よう見まねで手踊りをしたりと、とてもノリがよいです。夜遊びでハイになって追いかけっこをしている子供たちも、舞台から聞こえてくる民謡のリズムに合わせてステップを踏んだりと、見ていて飽きることがありません。
出演された皆さんはリラックスした中でもお客さんに楽しんで頂こうと、素晴らしい唄と演奏を聴かせます。そして、そこに集まる近所の人たちは、この日を一年間楽しみにしていたんだなぁ、という気持ちがびんびん伝わってくるほど楽しそうです。運営している実行委員の皆さん、お囃子の皆さんの支えも欠かすことが出来ません。 なんなんだろうこの盛り上がりは。こういう地域に密着したイベントはいいですね。民俗文化ってこういうことなんだなぁ、と心に染み入る名月の夜でした。時間の都合で肝心の“つるとかめ”with坂田明がほとんど観られなかったのが残念~。その模様は木津茂理さんのHPをぜひご覧ください。10/18(土)の「つるとかめ~実りの秋に民の謡」を楽しみにしましょう。