"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

みんな職人肌、三回目の『手前味噌仕込み会』

2008年03月21日 22時15分30秒 | 主催する催し

 旧二月十四日。昨日は二十四節気の【春分】でした。「暑さ寒さも彼岸まで」とよく言いますが、今年の場合長く寒い冬のあと、ひとたび暖かくなると、寒の戻りもほとんどありません。桜の開花予想もどんどん前倒しに修正されているようです。

 今年で三回目を迎えた“暮らしのリズム”と居酒屋ニュー信州の共同主催イベント『手前味噌仕込みの会』。昨日無事開催することが出来ました。ご参加いただいた皆さまに厚く御礼申し上げます。
 今年は新たに初めてご参加いただくメンバー8人を迎え、総勢21人での会になりました。各自1升入る瓶に2kgくらいの味噌を仕込んで持ち帰ります。それに加えてお店にキープする4升の味噌。合わせて50kgの味噌を仕込みます。使う大豆が14kg、米こうじが11kg、塩が6k、と材料の量も年々増えてきました。みんなで一緒に仕込んでも熟成する環境によって風味や色に微妙な違いが現れるというのも興味深いところです。秋にはみんなで手前味噌を持ち寄って自慢会も行います。

0321miso1  イベントのスタートは午後1時でしたが、大豆はそれに先駆けて前夜11時に浸水させ、当日の12時に鍋に点火しました。大豆は青森県産の「おおすず」という、苦みが無く甘い大豆です。『手前味噌仕込みの会』ではいつも、上野・アメ横にある松葉屋商店で大豆を仕入れています。大豆以外でも様々な種類の豆や穀物などをお手頃な値段で売っていて、とても面白いです。お近くに行かれた際にはぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
(写真上:今年の会に合わせてお店では45Lの寸胴を増強。この鍋で10kgの大豆を煮る。写真下:アメ横の松葉屋商店。大豆だけでも5種類以上を供えている)

 メンバーが勢揃いするとまずはこうじと塩を良く混ぜ合わせます。こうして混ぜたものを「塩切りこうじ」といいます。昨年は米こうじと麦こうじを半々にして仕込みましたが、今年は米こうじだけを使うことにしました。こうじは昨年から静岡にある鈴木こうじ店から取り寄せています。こちらでは玄米こうじ、という珍しいこうじも取り扱っています。

 大豆は100分ほどで煮上がります。さらに1~2時間煮れば潰すのも簡単になるのですが、このくらいで十分。煮上がった熱々の大豆を醤油につけて食べると、濃厚な湯葉を思わせる感動的な風味です。作業の合間に醤油漬けの大豆を楊枝でつつくのは楽しみの一つです。

0321miso2  ここまで来れば味噌仕込みの醍醐味、煮た大豆をポテトマッシャーで潰して塩切りこうじとよく混ぜ合わせます。ここでは適当な固さになるまで大豆の煮汁を加えていきます。あとは各自の瓶に仕込んで作業はおしまい。三度目ともなると皆慣れたものでもはや職人肌が板に付いてきています。自分の手が空くと、初参加で戸惑っているのメンバーをサポートしたり、とても順調に良い雰囲気で作業は進んでゆきます。16時頃の開宴を予定していた第二部の酒宴より1時間も早く作業が完了してしまいました。
(作業は順調で、大豆は素早く潰されなかなか冷めてくれない。そこでみんな団扇で扇ぐことに。左の白いのが塩切りこうじ)

 仕込み作業の後は恒例の酒宴です。乾杯は岩魚の骨酒で。そしてニュー信州特製の味噌料理、まずは「きのこと根まがり竹の味噌汁」です。何種類かの自家製味噌を合わせた味と香りは絶妙です。続いて「ふろふき大根の柚子味噌かけ」が登場。寒かった季節に別れを告げたくなるような冬の代表的な味覚です。そして最後は「鰤の味噌漬け焼」。ほどよく油も落ちてきた春の鰤のあっさりした身に、味噌の焼けた風味が合います。美味しい肴と、お酒が進み、味噌談議にも花が咲き、すっかり日も暮れた頃、会はお開きとなりました。

 メンバーの皆さん。秋の『手前味噌自慢の会』でまたお会いしましょう。味噌造りにぜひトライしてみたいという方、ぜひ来年は参加してみてください。楽しみにしています。