リメンバー 石井紘基

故石井紘基議員の存在を過去のものにしてはならない。石井紘基の業績と遺志を伝えていくBLOG

見えざるベルリンの壁

2005年05月07日 | 石井紘基の著書から
言い換えれば、必要なのは「市場」の存在を前提とした政府の景気対策や産業政策の論議ではなく、政治家が政治的に旧体制と闘い、そのシステムを打破し、「市場経済体制」と自立した経済を保障する新たなシステムをいかに創るかということなのである。

私がかねてから述べてきたように、この国には"見えざるベルリンの壁"がある。冷戦時代に資本主義と社会主義を分け隔てた、あの壁だ。壁の向こう側では、一九六〇年代以降、"政府権力の闇市場”が拡がっていった。その勢いは山火事のように早く、その量はねずみ算のように一般の想像を絶する規模に膨らんだ。

この権力による経済侵蝕のそれぞれの過程において、それに合わせた政策と予算と法の巧妙な"裏打ち”が積み重ねられ、それらが次第にそれなりの国家形態を形成させた。この変貌は見えない所で行われたため、実態は一般にきわめて解明されにくいものであった。
この解明には実際、政治家が持つ国政調査権という手がかりしかないほど閉ざされたものだったのである

ー日本が自滅する日ー 序章より