あなたのすきな本は何ですか?

桔梗です
訪問ありがとうございます
いろいろな想いを残してくれたお気に入りを紹介しています

SMOKE 

2009-12-29 15:07:22 | 番外編
SMOKE [DVD]

ポニーキャニオン

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縁あってこのブログを読んでくださった皆様 ありがとうございました
今年もたくさんの本や人と出会うことができて楽しい一年でした

今年の締めは 本ではなく 最近観てよかった映画の感想で…


アメリカの人気作家ポール・オースターが 自身の短編「オーギー・レンのクリスマスストーリー」を脚色
監督は香港出身のウェイン・ワン
ニューヨークをを舞台にした群像ドラマ



淡々とした静かな映画


だだっ広い世の中で 私たち人間なんてちっぽけな点でしかなくて
幾度となくくり返されるのは平凡な一日で

多分たばこの煙のように 限りなく軽いものでしかなくて

それでも
ちゃんと重さは ある

積み重ねられる毎日は決して同じなんかじゃないし
小さな点だって 繋がって線ができて交差して
いろんな方向に動き出す


嬉しいことや楽しいことばかりじゃなくて
損をすることもあれば
傷だらけになることもある
何を信じたらいいのかわからなくなったり
ちょっと疲れてしまったり

それでも救われていくひとたち


目の前に差し出された手を 信じてぎゅっと握りしめたくなる

そんな温かいお話


ラストのクリスマスストーリーがいい
嘘偽りのない真実が必ずしも正しいとは限らない
人の優しさってのは 本当はこういうものかもしれない


心温まる すごくよい映画でした



掃除道 鍵山秀三郎

2009-12-29 14:27:07 | ★か行の作家
掃除道 会社が変わる・学校が変わる・社会が変わる
鍵山 秀三郎
PHP研究所

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掃除のハウツー本ではありません
年末の大掃除の参考にしようかなと思った人 ごめんなさいm(_ _)m

違います


いつでもどこでも掃除 
掃除をきっかけに 自分の会社をはじめ学校や社会を変えてきた 
鍵山秀三郎さんの行動記録とメッセージです


特にこだわりを持たれているのが“トイレ掃除”
なんでトイレ掃除をすることで社会が変わるのか?

謙虚な人になれる
気づく人になれる
感動の心を育む
感謝の心が芽生える
心を磨く

トイレ掃除にはそういう効果があるそうです

こうして項目だけ並べると論理が飛躍しているように見えるかもしれませんが ちゃんと読むとなるほどなぁと感心します


もうひとつ説かれているのは『凡事徹底』

簡単なこと 単純なこと 単調なことをおろそかにしない
やれば誰でもできる平凡なことを徹底しその中で差をつける
平凡なことでも続けてるとその中から生まれる非凡が 人を感動させる力になる
普通簡単なことはバカにしがちだが そういう生き方をしていると 結果において人生をおろそかにすることになる

おっしゃるとおりだと思います
この間「剣岳」読んだ時にも思いました 偉業は案外簡単なことの積み重ねだと…
実行するのは 簡単なようでなかなか大変だと思いますが
そう心がけているだけでも違うかもしれません


さらに“志”についても書かれている鍵山さん

『人間が生きていくうえで、もっとも大切なことは「志」を持つということだと思います。』

本当の“志”とはどんなものなのか 個人的な“欲望”とはどう違うのか ということもわかりやすく書かれてます


一生懸命に掃除をして生活環境をきれいにすることで 荒んでいた人の心もやさしく穏やかになり 
会社や学校などの組織全体の空気が変わり ひいてはさらに大きな社会も変わっていく

掃除はひとつの小さなきっかけにすぎないかもしれない
なのにこれだけの変化があったというのは 正直なところびっくり

うまくいくことばかりじゃなかっただろうし 書かれていない苦労もさぞたくさんあっただろうし

それでも“志”をもって 自分の信念を貫き 有言実行の鍵山秀三郎さん
カッコいいと思いました


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ゆめつげ 畠中恵

2009-12-21 20:21:52 | 畠中恵
ゆめつげ (角川文庫)
畠中 恵
角川グループパブリッシング

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時は江戸時代末期
小さな神社で神官を務めるのんびり屋の兄・弓月としっかり者の弟
いつも弟に叱られているのんびり屋の弓月だが 実は「夢告(ゆめつげ)」という特技 いわば予知能力がある

その力を ひときわ高い社格の神社の権宮司に見込まれて ある大店の行方不明の息子を探して欲しいと頼まれる

ところがこのゆめつげ 当たるのやら当たらないのやら 
たまに見当違いのものが見えたり やるたびに違う結果が見えたりで
現れた息子候補者のうち誰が本物なのか 見極められず迷っているうちに やっかいな騒動に巻き込まれていく


畠中さんらしい ほのぼのとした時代物ミステリーといったところだろうか
この兄弟のやりとりを読んでいるだけで 思わず笑みが浮かんでしまう


謎は解かれ こんがらがっていた糸もやがてするりとほどけるのだが
さらに 権宮司には別の大きな思惑があり 弓月の力を使いたかったのは本当はそっち


世の中がめまぐるしく変わる江戸末期
大きく世界を変えようとする力のある人たちもいれば
ただただその流れにのみ込まれないよう必死にもがく人たちもいる
命を失くす人もいれば 生計の道を失くす人もいる

そんな混乱の世の先に弓月が見たものは…


自分の後に続く者が いつも笑って暮らせる安穏な世であるよう
その願いは誰もが同じだろう

後からくる者たちへ
大きな仕事ができる者は大きなことを
小さな仕事を重ねる者は小さなことをひとつひとつ
それぞれ皆自分の場所でなんとかやっていけばいい

いつか必ずそれは実るはず


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COURRiER Japon (クーリエ・ジャポン) 2010年1月号

2009-12-20 13:58:04 | 番外編


COURRiER Japon (クーリエ・ジャポン)
フランスの国際ニュース週刊誌「クーリエ・アンテルナショナル」と提携し 
世界の1500を超えるメディアの中から記事を選び 翻訳・編集している雑誌
その内容は 政治経済から科学・環境問題・エンターテイメントと多岐におよぶ

さらに毎月独自に組まれる特集


今月号は 『新世紀ベルリン―壁とアートと接吻―』

脳科学者・茂木健一郎さんの寄せる現地レポート 『茂木健一郎、「壁」に触れる』に強く心惹かれる


ベルリンの壁

―ずっとそこに在り続けるであろうと思われていたものが ある日突然無くなった
あれほど頑なに長い間守られていた壁を壊した その力は一体何だったのだろうと今も思う
そういう時代の流れだった
そうかもしれない
モニュメントとして残る壁の一部に刻まれた想い―怒り・哀しみ・歓び
多くの人々のさまざまな思いが脳裏に浮かびあがる

茂木さんいわく 『壁はいたるところにある。目には見えぬ「壁的なもの」もある』

思わず途方にくれて見上げてしまうような 圧倒的な存在感で立ちはだかる壁というのは
…ある
自分と人との間 そして自分自身の中にも ある

それでも 壁は壊せる

目に見える壁を壊し無にすることは さほど大事なことではない
なくなった後も存在し続ける見えぬ壁
そして 壁を壊してはじめて目にする向こう側の景色とどう対峙するのか
私たちが目を開けてしっかりと見なければならないものは何なのか

『どこでも、いつでも、壁の向こうにある価値あるもの』
それは人間そのものであると茂木さんは言う
壁という形にとらわれて その大切なものを見失わないようにしなければいけないと思う


こうして 広い世界の出来事をひとつひとつ読み 拾いながら 人々の想いを感じ
いくつもの壁的なものを見つけ そしてその先に思いをはせる

くるくると思いを巡らし考え 
今 また自分の壁の前に戻ってきた

壁に手をつき叩いてみるたびに感じる 壁の向こうの温かさと手の痛み
壊せると思い 見たい触れたいと思い ふりあげたこの手を

私はどうしたいのだろうと 思う


◇◇◇

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ブログ紹介ありがとうございました

2009-12-14 15:37:47 | 番外編
今 自分のブログのアクセス解析見て気がつきました

先週末から妙に書評ポータル経由で見に来る人が多い 
今週は投稿してないのに何でかなー?と思ってたんですが…


↓こんなところに載せてくれてる!!嬉しいっ!めちゃ嬉しい~♪
http://www.bk1.jp/contents/shohyou/Index

↓以下 そのページからの転記です

当サイトに書評をご投稿下さっている皆様の中には
ご自身のウェブサイトをお持ちの方が少なくありません。“夏の雨”さんは“『目立つ力』の書評の中で「書評ブログ『本のブログ ほん☆たす』を開設して一年が経ちました」と報告されています。おめでとうございます! 本の話題がいっぱいで楽しいですね。「書評こぼれ話」というのもユーモアが効いていて面白いです。書評ポータル内の「オススメ評者一覧」を見ると、“板栗香”さんの「マロンカフェ」、“toku”さんの「Reading Books」、“桔梗”さんの「あなたのすきな本は何ですか?」などなど、個性的なブログを数多く発見できます。私も仕事中に、リサーチと称して皆様のブログを巡回して読ませていただいているのですが、その面白さに時のたつことを忘れてしまうことがしばしば。本を核にすると、自分の中にある深い世界を幾らでも引き出すことができるのですね。本を精神の糧とする「人」の存在の暖かさが感じられます。本があり、書評があり、ブログがあり、この書評ポータルもある―本から生まれる出会いの連鎖を、これからも大切にしていきたいと思います。

<2009.12.11 オンライン書店ビーケーワン販売部 辻和人>


『本があり、書評があり~ 出会いの連鎖を、これからも大切にしていきたいと思います。』

なんて私の思ってるのとまるっきり同じことを ずばり書いてくださってます


ブログ巡回中に読んでくださるかもしれないので 
この場を借りてお礼申し上げます

ビーケーワンさま 辻さま 
書評掲載という形で 出会いの場を提供してくださることに感謝しております
そしてこのたびのブログ紹介 ありがとうございました!!

聖職の碑 新田次郎

2009-12-11 21:48:11 | ★な・は行の作家
聖職の碑 (講談社文庫 に 4-2)
新田 次郎
講談社

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大正2年 長野県の伊那駒ケ岳 
登山修学旅行中の高等小学校生徒ら37名が山頂間近で突如台風に襲われ遭難 
引率していた教師を含む11名が死亡した「駒ケ岳遭難事件」

この実際に起こった遭難事件を 残された資料や筆者自身の取材を基に忠実に再現した物語

新田さんお得意の山岳小説ですが 
当時 若い教師の間で流行りだした理想主義教育と 昔ながらの実践教育との衝突も織り交ぜられ 
とても読み応えのある話でした


14、5歳の少年達が 悪天候の山中で必死に生きようとがんばりながらも
ひとり またひとりと 命の灯が消えていく様は 胸が押しつぶされそうな程悲しいものでした
自分を犠牲にしてでも 子ども達を何とか無事に下山させようとする教師達の痛々しい姿
生き残って帰ってきた同行の青年達に浴びせられる遺族からの非難
最高責任者だった校長の奥さんにまでその矛先はおよぶ

誰かが悪かったわけではない 不運が偶然重なったとも言える

やるせない思いが残る


けれど

とても心に残るいい本だけど 救いがないと聞いていましたが
私“救い”みつけました

長野では中学の修学旅行で山に登るそうです

今も残る修学登山
それが唯一の救いなのではないでしょうか

普通だったら というか現在だったら もしこれだけの事故があったら 修学登山なんて即刻中止ですよね
でも当時残された人たちが この惨事をただ不幸な事故で終わらせず 次へ繋げる教訓として生かした
これはとてもすごいことだと思います

きっと 今でも毎年登っている子ども達の心に 山はいろんな思いを残してくれているのだろうと思います


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蛍坂 北森鴻

2009-12-06 22:58:44 | ★か行の作家
螢坂 (講談社文庫)
北森 鴻
講談社

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ビアバー「香菜里屋」に集う客にまつわる謎を 
マスター工藤が解き明かしていくシリーズの第3弾

蛍坂 猫に恩返し 雪待人 双貌 孤拳
タイトルだけでも心惹かれる5つの短編が収められている


恋をしてる人間ってのはなんて不器用なんだろうと思う

好きなひとの前ではそっけない態度をとってしまったり
目の前にいるだけでドキドキして言葉が滑らかに出てこなかったり
本当はそばにいて欲しいのに夢を叶えてと手を離してしまったり
待っていても仕方のないものを待ってしまったり

信じて疑って 泣いて笑って
なにやってるんだろと自問自答しながら ひとり空を見上げてたりする

失くしてから自分の愚かさに気がついても 後の祭り
やるせない思いと切なさと どこにも向けられない怒りと
自分でも持て余すような混乱した想い 
誰にもわかってもらえやしないと心の奥にしまった想い
そんなものをすくい上げてくれる 香菜里屋の工藤
謎が解かれた後に残るのは 優しい余韻


一番好きなのは「弧拳」
そういう形でしか叶えられなかった男の夢と想い
込められた“忘れないで”という想いが切ないけど温かい
届いたその想いは 色褪せることなく心に在ると信じていいのだろうか

忘れないで どうか忘れないでいて


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今週のオススメ書評

2009-12-04 19:07:46 | 番外編
先週の「書評の鉄人」に引き続き
オンライン書店bk1の書評ポータル
先週の「書評の鉄人」に引き続き 今週は「今週のオススメ書評」に選んでいただきました

毎週金曜日に 一週間分の投稿書評の中から“これは!”というオススメの10本が選ばれます
おまけにこれは 選ばれるとbk1でお買い物に使えるポイントが 
3000ポイントももらえるというとてもありがたいものなのです!!

嬉しいっ♪

3000ポイント分の本 今度は何を買おうか わくわくしてます(*^-^*)


選ばれた書評はこちら↓↓↓
北森鴻さんの「蛍坂」です

bk1今週のオススメ書評(12/4更新)





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レビュープラス

竜馬がゆく(八) 司馬遼太郎

2009-12-01 22:57:23 | ★さ・た行の作家
竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋

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やや駆け足気味にではありましたが 超長編「竜馬がゆく」やっと読了

坂本竜馬をはじめ 幕末に活躍した志士達が次々登場して それぞれの魅力を存分に楽しめる作品でした


私は『自己啓発書』の類があまりすきではありません
(好きな人ゴメンなさい 良い悪いじゃなくて好き嫌いですのでお許しくださいませ)

書いてあることは正しいし 納得できるんだけど
言葉に血の流れが感じられない 体温を感じない のです

本の中の主人公と一緒にドキドキわくわくして 共感して初めて そこにある言葉が体に入ってくるものだと思っています

薄い啓発本で人生のテクニックを学ぶ手軽さも それはそれで便利でいいかとは思いますが
でも若い人たちにはちゃんとこういう本も読んで欲しい そう思います(←自分は今頃読んでるくせに偉そう)


この小説の中にいる竜馬の生き生きとした姿 そして“志”

竜馬の書いた海援隊の要則にある文
『国を開くの道は、戦いする者は戦い、修行(航海の)するものは修行し、商法は商法で銘々かえりみずやらねばならず』

おのおのがその志のままに生きよというのが 基本的な考えだったようで
フィールドやアプローチの仕方はそれぞれでも それを理解し認めて生かしてくれる そんな心寛やかな竜馬だから人が集まったのだろうと思う

そうして持ち寄られた人々の知恵と力によってなされた偉業 薩長連合とそれにつづく大政奉還
それが竜馬の念願であったのかと思いきや その後の新政府の計画には自分の名を連ねず 『世界の海援隊をやりたい』と言う

皆が幕府を倒し新しい政府を 新しい日本の国づくりをという時に 
彼が見ていたのは 海の向こう
なんという大きさだろう


そして 海の向こうへという思いを暗殺という形で断ち切られた竜馬
さぞかし無念だっただろうと思って読み進めていたのだが それは違うのかなとも思う

この世に生を受けたのは何か事を成すためと思い生きていた彼には 途中で命を落とすことは 怖いことでも何でもなかったのかもしれない
むしろ 何もせず面白みのない平凡な日々を送ることの方が嫌だったのだろう

『面白き こともなき世をおもしろく 住みなすものは 心なりけり』

作中にも使われてる高杉晋作の言葉(下の句は世話してた女性が付け足したものらしいですが)のとおり

幕末という激変する時代を それぞれ己の志を貫き駆け抜けた男たちの姿は 実に魅力的


何でもいいから 自分の心のど真ん中に 「志」を!!
そう思いました


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