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【献本】マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎

2010-07-04 16:25:37 | レビュープラス献本
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1
ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”

マルコム・グラッドウェル(著)
勝間和代(訳)
講談社

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アメリカで人気のビジネス書著者 マルコム・グラッドウェル 
彼が「ニューヨーカー」誌に連載していた記事を厳選し収録した「THE NEWYORKER傑作選」
その全3部作の第1弾がこちら


世には知られていないけれども 大きな仕事をした人々に光をあてた物語
サブタイトルは『マイナーな世界の天才たち 偏執狂か先駆者か』
今まで誰も思いつかなかったことを やり始めるとする
まるで何かに取り憑かれたようにこだわり続ける
はじめは否定され 変わってる狂ってると冷笑される
それでも
成功すれば世間の見方はくるりと変わり その瞬間から“先駆者”となる

ある出来事があったとき 
私たちが知りたいのは 行動や事実そのものよりも
登場人物たちが どのように考えどんな気持がしたかということである
他人の思考を追うということはとても心躍る楽しい作業だ
自分の身には起こりえないことも 他の人の物語を読むだけで疑似体験でき
いろいろな発見をして わくわくどきどきする
まるで自分自身の冒険のように―
それが本を読むことの醍醐味であると思う

マルコム氏いわく『これらの記事を“他人の頭の中をめぐる”という意味で「冒険」だと思っている。そのつもりで書いたからだ。冒険を楽しんでいただければ、と心から願っている。』

さあ― 先駆者の頭の中をめぐる冒険の旅に出てみよう


旅の第1章はTVショッピングの王様ロン・ポピールの物語

画期的なキッチン用品を開発 さらに自らの実演販売で売り上げて富を得た男
有能な販売人である一方 自宅のキッチンにこもり納得いくまで試作を繰り返す 
まるで時間を忘れて工作に熱中する少年のような一面も持つポピール
今までの常識的なやり方を変えるためのちょっとした“気づき”と“発想の転換”
そして“こだわり”
成功するのに必要なのは なにも特殊な才能なんかじゃないのかもしれない


第2章の舞台はアメリカのケチャップ市場

誰もが普遍的においしいと思える味を追求していた食品業界
ところが調査をしてみると 意外に好みのばらつきが大きく
皆がおいしいと答える“ひとつの完璧な味”が存在しないことが判明
そうして マスタードやパスタソースなど様々な食品において 商品の“多様化”で成功をみている
唯一の例外がケチャップ
今まで多くのメーカーがハインツの牙城に挑んできたのに崩せないのはなぜか
多様化では超えられないハインツケチャップの魅力は何なのか…

私たちが至福を感じる“何か”は 珍しいものや新しいものだけでなく
本当は私たち自身がはじめから持っているのかもしれない
それを呼び覚まして拡げてくれるものを 人は心地よいと感じるのだろう


第3章のブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学では二人の投資家の姿が描かれる

ひとりは大邸宅で豪奢な生活をし 常に強気の投資をするニーダーホッファー
かたや今までの定石をやぶり ウォールストリートの反体制の中心人物ともいわれるナシーム・タレブ
正反対とも思えるふたりの生き方 その結末は―?

投資の成功は分析や理論によってもたらされるだけではない
成功し続ける人が明日には運に見放されて吹っ飛ぶ(大損失を出す)可能性だってある
その吹っ飛びを回避し 小さな損失の積み重ねに耐えながら
いつか大きな利益に転じる日を信じて待つというタレブの戦略

一度も見たことがないからといって それが存在しないという証明にはならないし
一度も起こったことがないからといって 今後もずっと起こらないとは限らない
経験は貴重な財産だが それを信じすぎるというのは危険でもある
世の中は何が起こるかわからない
“自分は何でも知っている”そんな過信が命取りになる可能性だってある
自分の知らないことはまだたくさんある 教えてくれる周囲の声を受け入れることも大事だろう


この本には 何かを成し遂げた人たちの物語がある

世の中には自らは何もせず 何も成さず
そして自分だけ何も起こらないことをただ嘆く人たちも多くいる
両者の間にある違いは一体何なのだろう…?

本書にはその問いに対するたくさんの答えがあったように思う
その中でも一番大切なのは
自分の内なる声と導いてくれる周囲の声との両方を 信じて素直に従うことではないかなと
3つの冒険の旅を終えてそう思った


◇◇◇

偏執者…いや先駆者!(笑)の頭の中をめぐる冒険 存分に楽しむことができました
ただ 私自身は翻訳ものってやはりちょっと苦手…
最初から日本語で作られたものは文章に好いリズムがあるのですが 翻訳ものだと読んでいて小さな違和感があります
原著ではきっとリズムがあるのでしょうけど 別の言語に“訳す”という作業で消えてしまうような気がして 何となく読みにくさを感じてしまいます


今回は先行レビューということで 発売前のこの本 6章ある中の3章をゲラで読ませていただきました
続きが楽しみなので 出版されたらぜひ全文を読んでみたいと思います

講談社さんおよびレビュープラス(R+)さんの献本に感謝です
ありがとうございました






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