図書室の海 (新潮文庫)恩田 陸新潮社このアイテムの詳細を見る |
ずいぶん前に読んだ本なのですが…
この短編集に入ってる「春よ、こい」という話が 今の時期にぴったりで大好きです
桜は毎年毎年同じように花を咲かせるけれど その下で繰り広げられる光景は決して同じではなく 少しずつ少しずつずれていく
大事な人を守りたいという想いか 桜の持つ不思議な力か
舞い散る桜に眩暈を覚えながら読み進み もたらされる結末にほっと胸をなでおろす
この話でも 同じ「時」が微妙にズレて繰り返されるのだけど
桜 とくに風に舞い散る花びらの嵐を見てると不思議な気分になる
今なら「時」を超えられるんじゃないか?
時は違えど同じ桜
桜の下に立ち 瞬きした次の瞬間そこに制服姿の君が見えるような
ふとそんな感傷的な思いが込み上げる
見えるはず無いのに 桜に惑わされるんだな
ひと目見し 君もや来ると桜花 今日は待ちみて 散らば散らなむ (紀貫之)