最近刃物を怖いと思わなくなった。
昔から漠然と刃物が怖かった。
ハサミ、カッター、包丁。
手に取るたびに緊張していたし
言い表せないドキドキ感があった。
それが昨日は、包丁を手にしても何も感じないことに気づいた。
とてもフツーの気分。
落ち着いて調理に集中している自分に気づいて驚いた。
包丁を何度も握り直して
(普通だ。肩に力も入らないし、テレビを観ているような何気ない気分でイモが切れる。ナニコレ。)
とひとしきり感激した。
包丁のことを
『傷つけるためではない、生きるために使う道具』
だと心から感じたのは生まれて初めてだった。
思えば数週間前から、カッターを使って刃を出しっぱなしにしてテーブルの上に置き忘れても気にならなかったりした。
トラウマだらけの人生も、当たり前の何でもない出来事に感激できるから悪いことばかりじゃない。
ただ人には言えないからね。ひそかに心の中で喜んでおこう。