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新・非公正ブログ



GMO反対派の戯言に騙されてはいけません。遺伝子組み換え作物は非組み換え作物と同程度には安全です。むしろ見方によっては「より安全」なケースさえありえます。



遺伝子組み替え作物についてのお勉強サイト というエントリーを一年前に書いた。あるゲスト氏が私の過去のエントリーにコメントを書いてくれたのを機に、この続編を書いてみることにした。

一年前に紹介したのは日経バイオテクノロジージャパン誌傘下のホームページで、 Food Science/食の機能と安全 というメールマガジンのサポートページとなっている。この日経バイオテクノロジージャパン誌は生物科学系の研究者/技術者を中心とした層の業界情報の類を供給しているメディアである。もちろん本体は有料だが、いくつかの無料メルマガも発行しており、それらにもふんだんな有用情報が含まれている。

これらの情報を肯定的に評価しメルマガを購読している研究者は多いようだ。しかし、高度な専門知識を前提とした記事もあるが、このFood Scienceに寄稿している松永氏の文章などは、なにも生物学や医学や農学が専門でなくとも高校卒業程度の学力があれば容易に理解できると思う。

現時点でトップページにリストアップされている記事のひとつは「生活クラブ」の主張を俎上にしている。生協傘下のこの団体は「組み換えナタネ」について予断と偏見に満ちた主張を繰り広げているが、松永氏はまっとうな論理でもってそれを一刀両断にしている。

http://biotech.nikkeibp.co.jp/fs/kiji.jsp?kiji=382

しかし、私はこのプレスリリースを読むまで、寡聞にして組み換えナタネが在来のカラシナや在来ナタネと交雑した学術的な証拠を知りませんでした。「生協に特ダネを抜かれてしまった」とあわてて研究者の方々に尋ねてみたのですが、どなたがこのような貴重な研究成果を出されたのかがよく分かりません。  「在来のアブラナ科の植物と交雑」という一文は、可能性がある=起きている、という解釈に基づく文章でしょうか、それとも貴団体が証拠をつかんでおられるのでしょうか。後者であれば、その知見を独占することなくすぐに発表していただきたく思います。


まずは主張に根拠がないことを指摘する正面攻撃。特に、「可能性がある=起きている」の摩り替えを指摘している点がポイントである。この摩り替えは彼らGMO反対派の「議論の技のデパート」の中では常に正面ディスプレイに平積みにされている主力商品であるから、彼らのペースに巻き込まれたくなければ警戒しておく必要がある。


 強力な農薬でも死なない土壌菌の遺伝子とは何のことか、頭の回らぬサイエンスライターである私は、かなり長時間、迷いました。まったく恥ずかしいことです。もしかして、強力な農薬とは除草剤のことなのでしょうか。確かに、ナタネには土壌微生物の持つ除草剤耐性遺伝子が導入されています。しかし、土壌微生物に除草剤が効かないのはまあ、当たり前。選択毒性がある、ということですから。ヒトはアルコールをたくさん飲みますが、土壌微生物はアルコールをかけられるとコロリといく、というのと似たようなものです。当たり前のことで、これだけ恐怖感を漂わせる一文を書くとは、素晴らしい文章力です。


彼らはここでも定義の摩り替えという技を使ったわけだ。つまり、

ある特定の生物にのみ影響を及ぼす除草剤→強力な農薬

という噴飯モノの定義の摩り替えをさらっと忍び込ませた。これもGMO反対派の良く使う技なのだがさすがにプロの松永氏には通じない。気持ちよく一刀両断である。

GMOウオッチャー宗谷敏氏の記事に目を転じてみよう。アメリカを代表するGMO反対派の論客であるらしいJeffrey M. Smith著「偽りの種子」について。意外な人との意外な形での繋がりがあったようだ。

http://biotech.nikkeibp.co.jp/fs/kiji.jsp?kiji=371

 ヒントはIowa州Fairfieldにあった。ここは、米国でも力のあるヒンズーカルトの一派で、遺伝子組み換え食品に反対するMaharishiの本拠地だ。Maharishiが経営する大学では、空中浮遊術やヘルメットを装着した超越(TM:Transcendental Mediation)瞑想を学生たちに教えており、つい最近も一般紙がこの問題を取り上げている。



当時、安田節子氏が代表を務めていた「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」で広報部門を担当していた「自然法則フォーラム」(後に「自然フォーラム」と改称)が、Maharishiの日本支部だったことも、知る人の間では有名な話である。なお、フォーラム側がキャンペーンのGM反対運動に見切りをつけたのか、キャンペーン側がさすがにマズいと切ったのかは知らぬが、現在では両者に表向きの関係はない。


安田節子……天笠と並んで日本を代表するGMO反対派の論客である(先の参院選で緑の党から立候補して喜ばしくも落選した)。そして「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」とは彼らを崇め奉る先鋭的団体の一つ。その行状については 私も以前エントリーを書いた とおりだ。自分の正義のためにはルール違反なアクションも平気で正当化し、正当化している自分たちを称え合い陶酔する様(ちょっとググって見ると気持ち悪い掲示板がたくさん見つかる)、まさに宗教団体そのものだと思っていたのだが、 本当にそうだったらしい。

てなわけで、GMOの事情通になりたければ、まずはこのメルマガから始めてみるのが手ごろでよいと思う。反対派の主張が如何に感情と宗教的盲信に立脚し論理的妥当性を欠くものか、GMOの安全性を非GMOと比較してどう評価すべきが見えてくるはずである。

他にも農水省系・産業総合研究所系のページをいくつか見繕って紹介しようと思ったが、長くなったので後にする。



おことわり: このエントリーは以前のメインブログ(チャンネル北国TV)に2005年5月1日に公表したものの再掲です。原則として北国からの転載はgooブログにおいても初出時の日付で公表していますが、内容を社会に知らしめたいと特に強く思えるエントリーについては、少しでも露出度を上げるために、転載作業時の日付でアップロードします。

さらに追記:旧非公正ブログに過去に私が書いたGMO関連のエントリーは、少しづつ現ブログに転載していく予定。

関連ブログ:RSSリーダーで眺める限り、どうもGMO反対派のほうが口うるさい人が多いようで、冷静にGMOを考察しているブログが少ない。そういうお前がちゃんとやれといわれそうだが、私も赤貧で喘いでいてなかなか力を入れにくい状況。せめて良ブログへのリンク集を作って社会貢献することにする。

以降、随時更新予定。


↑B
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