日建学院小倉校校長の児玉です。
今日は、就職支援相談員の森永今日子さんに専門の心理学についての話を書いてもらいます。
皆さまこんにちは、森永今日子です。
昨日の濱田さんの記事「実験してみました。」に書かれていた「何ができて、何ができないのか分かりにくい」状態について、心理学の視点からちょっと解説を入れてみます。
濱田さんが書いている学習において大切な「何ができて、何ができてないか把握する」ことを心理学用語で「メタ認知」と言います。
勉強に限らず「自分が今何をしていて何ができていて何ができてないのか」を把握する、つまり「メタ認知する」ことはとても大事です。
奈良教育大学の森本幸一さんのサイトにとてもわかりやすい説明があったので転載して紹介させていただきます。
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メタというのは「より高次の」という意味です。メタ認知の考え方は、自己教育力に関連するもので、学習活動を考える際に重要な要因です。メタ認知には次のような能力が必要だとされています。
自己の能力の限界を予測する
自分にとって今何が問題かを明確にできる
問題の適切な解決法を予測し計画を立てる
点検とモニタリングを行う
実行中の計画の続行、中止を判断する
メタ認知は学習意欲にも関係しています。学習意欲が低い子は、メタ認知の一つである自己の能力の評価が低い子であるとも言われています。自分の能力の評価が低いと少し努力すれば出来る問題でも挑戦せずに諦めてしまうわけです。逆に、自分の能力の評価が高いと自分にとって少々難しい問題でも努力すれば解けると思い挑戦していくわけです。
問題に関しても、分からない子は何が分からないかが分からないのです。私の中学1年の娘に数学を教えていたときのことです。彼女は、文字式の計算が全く分からないと言っていたのですが、一つ一つ問題を解かせていくと、分からないのは-(-5)が+5になるといった原理のところだけでした。そこが分かれば、すべて解けたのです。このように、自分の問題が明確になれば解決の見通しが立つわけです。そのためには、自分の問題を見つけるすべを知る必要があるというわけです。
授業の観察をしていても、自分が何をやっているか分かっている子は内容の理解がスム-ズです。
最近は、メタ認知の考え方に基づいた自己評価を行おうという機運が高まっています。従来のように情緒面や知識理解面だけでなく、問題解決のプロセスを大切にした自己評価です。是非、取り入れてみて下さい。学習だけでなく、日常の生活の中にも十分使えます。
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皆さんも、苦手な科目を勉強しようとしてもどう勉強したらよいかわからなかったり、人に質問しようにもどう質問したらよいかわからないという体験をされたことがあるのではないでしょうか。
私は数学がとても苦手なのですが、数学の得意な友人に「教えてあげるからどこが分からないか言って」と言われて「どこが分からないかわからないけどとにかくわからない」と答えて「それじゃ教えられない」と困り果てられたことがあります。
また、私はとても方向音痴ですぐに迷子になるのですが、後から「どこをどう迷ったの?」と聞かれて「とにかく地図通りに行ったつもり」と答えて「地図通りだったら迷うわけない」と笑われたり、自分なりに説明しても「いや、そんな道はないはず」など全然伝わらなかったりということがよくあります。
まさに私は「数学が苦手な自分」や「道に迷う自分」をメタ認知できてなくて、だから周りも教えることができないし、いつまでも数学が苦手で道に迷い続けてしまいます。
苦手な数学を克服するため、また道に迷わないようにするためには、「何ができて、何ができないのか把握する」必要があります。
そしてこのメタ認知はとても大切ですが難しいことで、一人ではなかなかできません。
ですから、本校にいらした方にはこのメタ認知のお手伝いをすることで、効率の良い学習や就職活動ができるように支援したいと思っています。
先日参加した学会でメタ認知について解説している「メタ認知―学習力を支える高次認知機能」(三宮真智子)という本を見つけました。
残念ながら予算がなくてまだ購入していませんが、ぜひ読んでみようと思っています。
読んだら内容を紹介させていただきますね。
今日は、就職支援相談員の森永今日子さんに専門の心理学についての話を書いてもらいます。
皆さまこんにちは、森永今日子です。
昨日の濱田さんの記事「実験してみました。」に書かれていた「何ができて、何ができないのか分かりにくい」状態について、心理学の視点からちょっと解説を入れてみます。
濱田さんが書いている学習において大切な「何ができて、何ができてないか把握する」ことを心理学用語で「メタ認知」と言います。
勉強に限らず「自分が今何をしていて何ができていて何ができてないのか」を把握する、つまり「メタ認知する」ことはとても大事です。
奈良教育大学の森本幸一さんのサイトにとてもわかりやすい説明があったので転載して紹介させていただきます。
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メタというのは「より高次の」という意味です。メタ認知の考え方は、自己教育力に関連するもので、学習活動を考える際に重要な要因です。メタ認知には次のような能力が必要だとされています。
自己の能力の限界を予測する
自分にとって今何が問題かを明確にできる
問題の適切な解決法を予測し計画を立てる
点検とモニタリングを行う
実行中の計画の続行、中止を判断する
メタ認知は学習意欲にも関係しています。学習意欲が低い子は、メタ認知の一つである自己の能力の評価が低い子であるとも言われています。自分の能力の評価が低いと少し努力すれば出来る問題でも挑戦せずに諦めてしまうわけです。逆に、自分の能力の評価が高いと自分にとって少々難しい問題でも努力すれば解けると思い挑戦していくわけです。
問題に関しても、分からない子は何が分からないかが分からないのです。私の中学1年の娘に数学を教えていたときのことです。彼女は、文字式の計算が全く分からないと言っていたのですが、一つ一つ問題を解かせていくと、分からないのは-(-5)が+5になるといった原理のところだけでした。そこが分かれば、すべて解けたのです。このように、自分の問題が明確になれば解決の見通しが立つわけです。そのためには、自分の問題を見つけるすべを知る必要があるというわけです。
授業の観察をしていても、自分が何をやっているか分かっている子は内容の理解がスム-ズです。
最近は、メタ認知の考え方に基づいた自己評価を行おうという機運が高まっています。従来のように情緒面や知識理解面だけでなく、問題解決のプロセスを大切にした自己評価です。是非、取り入れてみて下さい。学習だけでなく、日常の生活の中にも十分使えます。
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皆さんも、苦手な科目を勉強しようとしてもどう勉強したらよいかわからなかったり、人に質問しようにもどう質問したらよいかわからないという体験をされたことがあるのではないでしょうか。
私は数学がとても苦手なのですが、数学の得意な友人に「教えてあげるからどこが分からないか言って」と言われて「どこが分からないかわからないけどとにかくわからない」と答えて「それじゃ教えられない」と困り果てられたことがあります。
また、私はとても方向音痴ですぐに迷子になるのですが、後から「どこをどう迷ったの?」と聞かれて「とにかく地図通りに行ったつもり」と答えて「地図通りだったら迷うわけない」と笑われたり、自分なりに説明しても「いや、そんな道はないはず」など全然伝わらなかったりということがよくあります。
まさに私は「数学が苦手な自分」や「道に迷う自分」をメタ認知できてなくて、だから周りも教えることができないし、いつまでも数学が苦手で道に迷い続けてしまいます。
苦手な数学を克服するため、また道に迷わないようにするためには、「何ができて、何ができないのか把握する」必要があります。
そしてこのメタ認知はとても大切ですが難しいことで、一人ではなかなかできません。
ですから、本校にいらした方にはこのメタ認知のお手伝いをすることで、効率の良い学習や就職活動ができるように支援したいと思っています。
先日参加した学会でメタ認知について解説している「メタ認知―学習力を支える高次認知機能」(三宮真智子)という本を見つけました。
残念ながら予算がなくてまだ購入していませんが、ぜひ読んでみようと思っています。
読んだら内容を紹介させていただきますね。