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記憶の心理学 Part.1(記憶の仕組み)

2011-12-01 23:57:48 | 心理学のお話(森永今日子)
日建学院小倉校校長の児玉です。
今日は、就職支援相談員の森永今日子さんに、専門の心理学の話を書いてもらいます。

皆さまこんにちは、森永今日子です。
先日の濱田さんの記事「記憶力part.1」「記憶力part.2」で扱われている「記憶」について、今日から数回に分けて心理学の視点から解説していきます。

1. 記憶の仕組み

ではまず、私たちが何気なく行っている「記憶」とは何か?どのように行われているのか?について説明します。
「記憶」とは「過去経験を保持し、後にそれを再現して利用する機能」で、「記銘」「貯蔵」「検索」という三段階があります。

(1) 記銘

目や耳などの感覚器官を通じて取り入れた刺激(見たもの、聞いたもの)は、そのままでは記憶になりません。
何らかの「意味」を持つものとして変換されます。
この「変換」を「記銘」と言います。

ICレコーダーが音声を機械化して録音するのをイメージしてみるとわかりやすいと思います。
ただし、人間はレコーダーと違って記憶量に限界があるため、自動的に必要なものだけが選ばれて記銘されます。

また、意味を理解していないものは符号化できないため、ほんのわずかの間しか記憶できません
会話を聞いた場合に、自分が知っている言語(例:日本語)なら記憶できるけれど全く知らない外国語だと記憶に残りませんし、講義でも一旦話がわからなくなると、その後の話は聞いていたはずなのに記憶に残りませんよね。

ですから、試験勉強の時に解答を丸覚えしようとしても、一つ一つの言葉の意味やどうしてそのような解答になるか理解できてないと、覚えることは難しいし記憶は長持ちしません。
「記憶力part.1」で書かれていたように、「【解答】は覚えなくてよいので解答の手順【手順】を覚える」というのは、一見時間がかかるように感じられがちですが、実はたくさん長く記憶するためにとても役に立ちます。

(2) 貯蔵

符号化したものを「頭の中に保っておく」段階です。
レコーダーなら記録したものをそのまま保つことができますが、人間の場合は符号化の段階で情報に持たせた「意味」に合わせて情報がカットされたり追加されたりします。
「いつの間にか自分に都合の良いように記憶がすり替わっている」ということは、この例です。

(3) 検索

貯蔵されていた記憶を「思い出す」段階です。
「思い出した」と意識してなくても、私たちは日々たくさんの記憶を検索して利用して生活しています。
毎日通る道、顔を合わせる人たちの名前や性格、仕事のやり方など、どれも最初は意識して覚えようとしたことでしたよね。
「自分は記憶力がない!」と悩んでいる方も、そうやって思い出してみると、かなり色々なことを記憶して生活していることが実感できると思います。

レコーダーの場合は永久に記録を保存できますが、人間の場合は記憶量に限界があるため、どんどん消えていきます。
これが「忘却」です(詳しくは後日解説します)


「記憶することが苦手・難しい」という場合は、ご自分が「記銘」「貯蔵」「検索」のどの段階で失敗してつまづいているのかを振り返ってみて、それに合わせた対策を試してみるとうまくいくかもしれません。
「記銘」の失敗対策には「意味の理解」を提案しましたが、「貯蔵」と「検索」の失敗対策についてはまた後日詳しく書きますので、どうぞご覧になってください。

ちなみに、「記憶力が良い」と言っていただくことの多い私ですが、それは見事に自分の興味のあることや必要な事や得意なことだけです。
心理学や人の話したことや文字情報はとてもよく覚えていますが、苦手な地図や道順を覚えることはとても苦手で、深刻なレベルで覚えられずいつも苦労しています。
地図はそもそも何が書いてあるかわからない状態でそもそも頭に入らない(記銘できない)し、ちっとも頭に残らない(貯蔵できない)し、思い出すこともできません(検索できない)。
だから、地図や道順をちゃんと記憶している人を見ると、本当にすごいなあと思います。


☆参考までに、記憶をはじめとした心理学の諸理論を勉強するのにおススメなのはこちらの本です。

「心理学 (New Liberal Arts Selection)」
無藤 隆, 遠藤 由美, 玉瀬 耕治, 森 敏昭
\ 3,885
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4641053693


ちょっとお値段がはりますが、様々な領域の内容が基本から最新までわかりやすく説明されています。
私が心理学を勉強し出した頃にはこのような本は国内にはほとんどなく、海外のものを自分で翻訳して読んでいたくらいだったので、「当時にこの本があればどれだけ楽だっただろうねえ」と友人と話すくらいのオススメ本です。

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