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ロンボルグ オバマというか民主党の環境政策はだめだめ

2008年12月24日 18時26分02秒 | その他翻訳

オバマと地球温暖化 by Bjorn Lomborg 2008.12

アメリカ大統領選挙での公共政策綱領の重要項目のひとつに、バラク・オバマは気候変動をあげていて、はっきりとその優先順位と優先順位がもとづく事実について語っていた。残念なことは、それが両方とも根拠薄弱、いえば間違っているということだ。

オバマの政策概要は、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツネッガーの地球温暖化サミットのビデオでみることができるし、地球温暖化対策のロードマップを具体化するためにポーランドのポズナンに集まった指導者たちへも同じことを語っている。オバマによれば「気候温暖化と戦うほど緊急なことは、アメリカにとっても世界にとってない」とのことだ。

こういった発言は、世界の政治リーダーたちにとっては普通のことだけれども、アメリカや世界を他の政策をくらべて気候政策で救うためには、どのくらいのことができるのかといった疑問にとりくむことを無視している。

たとえば、アメリカでのハリケーンについて考えてみよう。CO2排出を削減する政策はニューオリンズのカトリーナの壊滅的なインパクトへはなんの影響も与えないだろう。そしてこうした災害はずっとまえから予測されていた。次の半世紀、もっとCO2排出を削減しても、その効果は無視できるほどしかない。

一方で、ニューオリンズの脆弱性にとりくむ直接の政策は、多くの不必要に大きい人的被害と経済損失を避けるのに役に立つだろう。これにはより強固な建物への規制やすみやかな緊急避難のやりかたや、湿地帯の保護をしっかりすること(これで、ハリケーンの凶暴さをおさえることができる)が含まれている。

同様に、世界の飢餓を考えてみよう。気候変動への行動への口実には、地球温暖化が農業生産を弱体化させ、とくに発展途上国でそうなるということが言われたりする。でも地球全体の農業・経済モデルは、もっとも悲観的な仮定のもとでさえ、地球温暖化によって減少する農業生産は今世紀末までにたった1.4%だ。なぜなら今世紀末までに農業生産は倍増するし、地球温暖化は最悪でも2080年ではなく2081年に倍増が実現するくらいの影響しか与えないのだ。

そのうえ、京都議定書を実行するために使われている年に1800億ドルで、今世紀末までも200万人を飢餓から救えるだろう。年に100億ドルつかうだけでも、国連は現在の2億2900万人の飢えた人を救えるとしている。気候変動に使うお金で、一人の人を100年飢餓からすくえるのだ、今なら同じお金で5000人を救うことができる。飢餓から人をすくうことこそが、議論の余地なくオバマの政策で最優先にされるべきことだろう。

オバマはなぜ自分が地球温暖化政策を重要視するかをつづけて述べている「科学には議論の余地はなく、事実はあきらかです。海水面は上昇しています。海岸線は後退しています。干ばつは記録的だし、飢餓は拡大し、毎年ハリケーンの季節にはよりハリケーンが強く強大になっている」

そう、地球温暖化がおきていて、人類にもその一因がある、でもこうした発言はどんなに流暢なものでも、まったく間違ってるし、誤解を与えるようなものだ。

海水面は上昇しているが、1800年代はじめから上昇している。人工衛星による監視では、上昇はとくには加速していない(じっさいにはここ二年では海水面は下降している)。国連は今世紀に30センチの海水面の上昇を予測しているが、これは過去150年で上昇した分くらいにすぎない。

今世紀には海岸線は増加した。オランダをみればわかるだろう。お金を持っている国は堤防を作って、陸地を増やすことができるのだ。

しばしば引用されるバングラディッシュでさえ、科学者はまさしく今年に、毎年20平方キロメートル拡大していることを示している。河川からの堆積が、上昇する海水面を越えているからだ。

オバマの干ばつの記録についての発言も、まったくおおざっぱにもほどがあるレベルで間違っている。アメリカではどんな科学的な調査でも、今世紀には雨が多くなっている(1930年代の「大草原での砂嵐」が一番干ばつがひどかった時期だ)。これはここ半世紀でみれば、地球規模で見てもそれがほぼ当てはまる。実際の土壌分析をおこなった一番最近の科学的研究のひとつでは、「地球全体の土壌をみると、じゃっかんだが雨が多くなっている傾向にある」となっている。

さらに、飢餓はここ半世紀で急速に減少している。その例外は、ここ二年の記録的な食料の高値だ。それも気候変動のためではなく、気候変動と戦おうとした政策のためによるものだ。つまりエタノールへの急激な傾斜が、食料を車の燃料につかい、食料価格を高騰させた。世界銀行が推測したところでは、この政策で少なくとも3000万人が飢餓へと追い込まれたとのことだ。政策による飢餓なのに、それを同じ政策を行おうとする議論で引用するなんて、控えめに言っても気でもくるっているんじゃないかと思わざるおえない。

最後に、毎ハリケーンの季節ごとにハリケーンが強くなっているというのは単なる間違いだ。ぼくらがもっとも耳にする機会のある大西洋のハリケーンをみても、米国海洋大気庁が測定している全ハリケーンエネルギー(ACE)は2005年の3分の2のレベルに低下している。世界全体で見ても、このトレンドはあきらかだ。1994年にACEは最大レベルになり、ここ3年で落ち込んでおり、昨年の全世界のハリケーンは記録をとりはじめてからもっとも少なくなっている。

地球温暖化にはとりくまなければならない。でもより低炭素の方策の研究開発を通して賢くやったほうがいい。もし政策をただしくやろうとするなら、事実をただしく理解することが欠かせない。



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