the strange of stranger

【8月の歌】 びしょ濡れの仔猫を抱くときふいに乳房のじわり張りゆく感覚 和良珠子

6434人の13回忌

2007-01-17 23:52:00 | Tea for two
今日のメディアはどこもかしこも「阪神大震災」の話題だった。
6434人もの命の火が泡のように消えた日から、もう12年が経つ。

あの朝はちょうどゴミ出しの日で、朝寝坊の私にしては珍しくその時間に起きていた。
ゴミを出し終えて寝室に戻り、妊娠6ヶ月の半端な時期でもあったので、さあ二度寝だと横になった途端、グラグラッと大きな揺れが来た。
同時にガラス窓ががたがたと大きく鳴り、電球の紐が弧を描くように揺れ始めて、
やっと「地震だ!」と気が付いた。
隣に寝ている2歳と1歳のこどもはまったく起きる気配がない。
反対側のダンナは・・・と見ると、こちらも呑気にすやすやと眠っている。
揺れはなかなか収まらない。立つこともできない。
窓のガラスが割れないか、そればっかり心配だった。
ようやく安眠中のダンナを突っついて起こし、小声で「地震やで」と言った。
「かなり大きいな」
・・・起きてたんかいっ!(怒)

揺れていた時間は、おそらく30秒ほどのことだと思う。
その間、布団の中で瞬きもせず硬直していた。
憑き物が落ちたように揺れは静まり始め、家内を点検したが、特になにも壊れておらず、もう大丈夫だとふたりとも安心してうとうとし始めてすぐ、枕元の電話が鳴った。
東京の親戚からだった。
「そっち地震あったでしょ!だいじょうぶっ!?」と悲愴な声が受話器から聞こえた。
「・・・地震?ああ、こっちは別になにも。ちょっと揺れたけど」
「ちょっと揺れたどころのニュースじゃないよ!!」
その困惑した電話を置いてから、初めてTVを付けた。

「・・・の模様です」
アナウンサーの切迫感の感じられない口調が却って不気味だ。
「・・・繰り返します。さきほど神戸付近で大きな地震がありました」
震源地は神戸なんだ。急いで、チャンネルをサンTVに変える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無音・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんだこれは。
人の気配がまったくない。カメラは動かない。
ただ戸外の(神戸だろう)光景を映しているが、どこに焦点を合わせる訳でもなく、
しかも音声がない。
そんな映像がひたすら流れているだけ。
死んだ魚の目が映し出す世界のようだ、と思った。

その後はニュースに釘付けであった。
初めは一桁だった犠牲者の数が、30分おきに倍々になっていく。
もう眠れなかった。

それからもう12年。早いのか遅いのか。
亡くなられた方のご冥福を祈りたい。




年賀状を交わすだけの間柄の、大震災以降、連絡が取れていない神戸の友人がひとりいる。
確認しようと思えばできるのだろうが、事実を知るのが怖くていまだに触れられない。