the strange of stranger

【8月の歌】 びしょ濡れの仔猫を抱くときふいに乳房のじわり張りゆく感覚 和良珠子

「メガネの○○」様

2007-01-04 00:20:08 | Tea for two
スーパー温泉が好きだ。
近場にいくつも存在するので家族で行くことが多いが、たまに時間がぽっかり空くと独りでも行ったりする。
ド近眼のため以前は眼鏡をかけて入っていた。
眼鏡をはずすと、お風呂から立ち上る湯気もあり、足もとすら見えず危なくて仕方がない。
こどもが小さいときは一瞬も目を離せないので、お風呂でも眼鏡は必需品であった。

ある日、視界の真ん中がぼやけているのに気がついた。
合わせようとするちょうどその焦点のところが、もやもやと霞がかっているようになり、すべてのものが非常に見づらい。
眼鏡をはずしてレンズを一生懸命に拭いてもそれは変わらなかった。
よく見るとレンズの表面にチリメン皺のようなものが入り、それが焦点を妨げているらしい。
買い換えて半年も経たない眼鏡なのに、これはなに?!
不良品つかまされたのか?天下の「メガネの○○」よ、お前もか。

「お客さん、これでは見えませんね」
「そうなんです。でもおたくで買い換えたばかりですよ」
「・・・あああ、そうですね。まだ半年経っていませんね」
「なんにもしていないのに」
「うーーん・・・なにもしなくて、こんなになるはずは・・・ねぇ」
「普通に使っただけですよ、本当に」
「普通にねぇ・・・たとえば車のダッシュボードの上に置きっぱなしにしたりしてません?」
「顔からはずすことないですもん(寝る以外は)」
「熱湯で洗ったり・・・このレンズは熱に弱いので」
「そんなまさか(火傷するやん)」
「ドライヤー当てたとか」
「やってませんっ!」
思わず強い口調になってしまった。
こちらにはまったく思い当たる節はないから、我ながら強気だ。
「・・・そうですか」と、相手は納得しかねる顔で、だがそこは商売人、潔く引き下がって、
「では、今回に限り無料でお取替えさせていただきます」
当たり前ではないか。不良品なんだもの。
こちらに落ち度はないのに「今回に限り」って、なんだその言い草は。
少しならずぷりぷりしながらレンズを交換してもらって、広がった視界でやっと家に帰ることができた。

ささくれた気持ちを静めに、行きつけのスーパー温泉に行く。
ざぶーーん。まず露天風呂に浸る・・・。
家のお風呂と違い、いくら湯をこぼしても平気だ。
視界も心も洗われたような気がする。
まっさらな気持ちで、さあ次はサウナだ!

・・・サウナ。
・・・サウナ??
・・・サウナ!!!

さっきの「メガネの○○」さんの不審そうな声が頭にこだまする。

・・・「熱に弱いので」「熱に弱いので」「熱に弱いので」「熱に弱いので」「熱に弱いので」「熱に弱いので」

これかっ!チリメン皺の原因は!!

懺悔。。。
ダッシュボードの上には置いたりしていませんでしたが、サウナには眼鏡のまま・・・ええ、確かに入っていました。
私が悪うございました。お許しください。(平伏)

以降、眼鏡は必ずはずして入ることにしている。
なので、よしんばスーパー温泉で出会ったとしても、まったく(顔すら)見えていないので大きく礼を失しているかもしれないが悪しからず。