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【千葉・南房総市】奈良時代の神亀三年(726)、聖武天皇の勅願により渡来僧の行基が開創したと伝えられる。 平安時代の仁寿元年(851)、天台宗座主の円仁(慈覚大師)が投錫して七堂伽藍を造営、鎮護国家の道場として完成させた。 創建当時は「石塔寺」と称し、近江国(滋賀県)の石塔寺と上野国(群馬県)の石塔寺とともに日本三塔寺に数えられたという。
室町時代の文安三年(1446)には比叡山の学頭宗覚法印が住持となって全山を再興し、内寺中に生善院他五寺二院、外寺中に西之坊他五坊、中寺に妙法房他五房、門徒二十七ヶ寺、妻帯寺六ヶ寺等、隆盛を極めた。 文明19年(1487)、妙法房に侵入した夜盗による災禍に遭い、全山の堂宇・僧房が悉く灰燼に帰した。
参道石段の下に鮮やかな丹塗りの仁王門が建ち、吃驚したような大きな目でユニークなお顔(失礼)の仁王像に迎えられた。 急斜面にジグザグに設けられた石段を上っていくと、両脇に数基の石燈籠が佇む参道から最上部の石段上に本堂の屋根が見える。
石段を登り詰めると、さほど広くない堂宇境内に古色蒼然とした本堂・多宝塔・薬師堂・鐘楼堂などが鎮座している。 安房の霊場として隆盛をきわめた南房総最古の寺院らしく、どの堂宇も荘厳で歴史を感じさせる姿だ。
正面には約500年前の室町時代に再建された寄棟造りで妻入りの本堂、そして直ぐ右手にやはり室町時代建立の安定した姿の多宝塔が鎮座、いずれも風格が漂う。 本堂の向拝の虹梁の上に、まるで生きているような迫力ある龍の彫刻が、また、桟唐戸の上に「施無畏殿」の扁額が掲げられているが、印相が記された扁額は初めて見るような気がする。 ところどころ補修が施されているが、多宝塔上層の複雑な組物の見事さには目を見張らされる。
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参道石段の入口に建つ鮮やかな丹塗りの仁王門..右の土手の仏龕に2体の石仏が鎮座
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大きな目でユニークなお顔の阿形吽形の仁王像/土手の仏龕に鎮座する2体の石仏(地蔵尊像か)
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「長安山」の額が掲げられた入母屋造銅板葺の仁王門
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参道の途中から見上げた境内..石段の上に見えるのは本堂の屋根
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石段上から眺めた参道 石段から石燈籠越しに眺めた荘厳な本堂
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寄棟造銅板葺で妻入りの本堂(国指定重要文化財)..現存する県内最大規模の古建築
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室町時代文明十九年(1487)焼失後の永正十年(1513)再建
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唐様の本堂は桁行三間梁間四間で、県内最大の国指定木造建築/本堂側面の昇擬宝珠高欄
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本堂の正面...桟唐戸の上に「施無畏殿」の扁額,両脇間の珍しい形の窓は花頭窓の異形か
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本尊の十一面観世音菩薩立像他堂内諸仏像は平安末期の造立
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歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気の境内
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多宝塔..室町時代天文十四年(1545)建立
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関東には江戸時代以前の多宝塔は少なく石堂寺多宝塔は貴重/多宝塔の相輪には天文十七年(1548)銘があるとかで建立年にずれがある
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多宝塔内には四天柱があり、須弥壇上に木造千手観音坐像(室町時代作)を安置
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上層唐様で下層和様の折衷様式..上層の見事な組物/下層は方三間で各面中央に両開きの桟唐戸を設置(左右脇間の「波の彫刻」は寺務所に保管)
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庫裏への参道から眺めた多宝塔と本堂
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