黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『奇談蒐集家』太田忠司(東京創元社)

2008-02-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
“求む奇談!自分が体験した不可思議な話を話してくれた方に高額報酬進呈。ただし審査あり”……そんな募集記事を目にして、出かけた先は「strawberry hill」というバー。
そこにいたのは、“奇談蒐集家”を名乗る恵美酒一という男と、性別不明の美貌の助手・氷坂。やってきた者たちが、それぞれが体験した不思議な話を彼らに語る連作短編集。

市の教育教育委員会に勤める仁藤晴樹は、昔から勝手に動き出すもうひとつの自分の影を恐れていた。そんな記憶も薄れた今になって、その影に襲われたというのだが……『自分の影に刺された男』、
大学で国文学を教えている矢来和生は、かつて骨董店で見かけた少女に心を奪われた。その店に入るが、そこに彼女はおらず、店主にはそれが古い姿見に宿った霊だといわれて……『古道具屋の姫君』、
不世出のシャンソン歌手・紫島美智は、かつてパリで出会ったひとりの魔術師について語った。彼は手品ではなく、本当に不思議な能力を持っていたというのだが……『不器用な魔術師』、
草間懋は、小学6年のときに、遊び友達2人と探偵ごっこをしては遊んでいた。その頃、小学生が連続して失踪する事件が起きており、その犯人らしき男に(水色の雨合羽をきていたことから)“水色の魔人”と名づけた彼らは、その正体を突き止めてみることに……『水色の魔人』、
主婦・鈴木智子は、高校生の頃、ひょんなことから薔薇を育てている洋館に迷い込み、その住人・東寺光清と出会った。彼と共に屋敷で暮らす決心をしていた彼女だったが、母の事故で約束の日に行けず……『冬薔薇の館』、
小学生・田坂大樹は、公園で中学生くらいの少年と猫に出会った…“ナイコ”と名乗る彼は邪眼の持ち主だという。妹が事故で亡くなり、その裁判で気をとられている両親に心配させる為、彼と共にしばらく行動することにした大樹だったが……『金眼銀眼邪眼』、
作家を目指してきた私は、ある時都市伝説について調べるうちに、とある広告とそれにまつわる話を聞き込み……『すべては奇談のために』の7編収録。

人々が持ってくる不思議な話に喜ぶ恵美酒と、それを否定して氷坂が“真実”を提示するというパターンが繰り返される短編集。
最後の1編のオチのつけ方が良いですね~(笑)。

<08/2/20>


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