黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『公園で逢いましょう。』三羽省吾(祥伝社)

2009-03-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
それぞれに子供たちを連れて、ひょうたん公園に集まる主婦たち……元保育士で子供たちの面倒見がいい、ダイちゃんママ。仕切りたがりの、サトルくんママ、夫の勤めるマルチ会社の怪しげな商品を売りつけたがる、トラブルメーカーのアキちゃんママ。そんな彼女をなかなか断れない、付け入られやすいタイプのユウマくんママ。年若く、ケータイばかり弄っていて子供たちをほったらかしの羅々ママ。
そんな彼女たちがふとした瞬間、自分の公園にまつわる過去のエピソードを回想する連作短編集。

優しいと思われているダイちゃんママ(美咲)。しかしそれは優しさではなく、自分の役割は見る事だと心得ているから。
そんな彼女は小学生の頃、近所に越してきた無口な少年・琢矢の世話を任され、毎朝一緒に登校することに。しかし夏休みが明けてすぐ、運動会に向けての旗作りで、早目に登校することになった彼女は、彼にもそう告げたのだが……『春の雨』、
元国際線キャビンアテンダントだったサトルくんママ(里美)。子供の頃、物を作るのが好きだった弟・誠治は、自作の下駄車に彼女の可愛がっていたコマネズミを乗せ、死なせてしまう。その後、安易に代わりのネズミを買ってきた彼に腹を立、以来口を聞く事もなく不仲になっていた。そんな彼女は、ある経験からどんな種類の腹立たしさであっても、赦されなければならないと感じていた。
彼女の夫は元サッカー選手・赤瀬平。彼が引退することになり、その大会が終わったら結婚して欲しいとプロポーズされ、不安を抱えつつも、その試合を観に出かけた彼女は……『アカベー』、
高校時代、吹奏楽部の先輩でバンマスの瀬川と付き合っていたユウマくんママ(倫子)。彼の亡き父が営んでいた店で、最後のライブを開催する費用捻出の為、仲間で援助交際をやめさせる商売を始めた彼らの中で、彼女は人々の“臭い”を嗅ぎ分ける役目を負っていた……『バイ・バイ・ブラックバード』、
友人の結婚式に出かける妻・亜希に代わり、双子・公輔と友美の世話をすることになった夫“久保っち”。しかし彼女がいつも行く公園ではない所に迷い込んでしまった彼は、主婦たちに囲まれながら、かつて飲み屋で違う集団に人違いされたまま、話を合わせていた時のことを思い出す……『アミカス・キュリエ』、
20代前半ながら、楚羅と星羅、2人の子どもを持つ派手な外見の、羅々ママ(羅夢挪)。
幼い頃、母から邪魔にされ、ひとり公園で時間を過ごしていた彼女は、実の名前ではなく“あかね”と名乗っていた。そこで知り合ったホームレスのおじさんを魔法使いだと思っていて……『魔法使い』の5編収録。

『アミカス~』だけ、イレギュラーな人の視点なのがちょっと楽しいですね。アキちゃんママの話も読んでみたかったですが。
最後の『魔法使い』がちょっと重い内容ですが、一見子供たちの世話を放棄しているように見える彼女が、彼女なりに一生懸命であることがわかって、ちょっとほっとしたり。

<09/3/6>


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