黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『蘭陽きらら舞』高橋克彦(文藝春秋)

2009-04-13 | 読了本(小説、エッセイ等)
若衆髷を結い、女と見紛う美貌だが、役者仕込の俊敏さで荒事もこなす蘭陽と、相棒の絵師・春朗(後の葛飾北斎)と共に江戸の町を闊歩し、さまざまな怪事件に挑む姿を描く連作短編集。

身の軽い蘭陽を見込んで、新しく書く芝居にでないかと、勝俵蔵から誘いが。
しかし蘭陽は12年前、玉川音哉の名で役者をしていたが、つまらぬいざこざに巻き込まれ、廃業を言い渡されていた。
他の小屋にも回状が回されており、出入り禁止になっている為、あきらめざるをえない。
しかしその事件には不審な点もあり、自らの疑いを晴らす為、調査を開始するが……『きらら舞』、
市村座に出入りしている、古着屋の芳造から、派手な芝居衣装の古着を売る方法を相談された蘭陽。はぎ格子(パッチワーク)にして売ることを思いつくが……『はぎ格子』、
俵蔵にいわれ、蘭陽が出る芝居を盛り上げる為、祈祷師に扮し、目黒の屋敷に化物退治にいくことになった蘭陽たち。
その屋敷で、綿屋の主人一家が心中したというのだが…『化物屋舗』、
目を悪くして辞めた、かつての道具方に仕掛けの知恵を借りる為、船堀村に出かけた蘭陽と春朗。しかし肝心の辰三郎は、ひと月前に、目を悪くしたことを悲観して首を括ったという。しかし宿の主人をしている甥は、宿を建て直す新たな仕掛けを考えていたところで、自殺する様子はなかったという……『出で湯の怪』、
蘭陽が先日西瓜畑で喧嘩した少年・芳吉が、半鐘を鳴らしていた。縁日でいなくなった母・おゆみを探しているという。どうやらその縁日にいた細工飴売りの男たちが、その失踪に関わっているらしい。その後、男たちは芳吉の家に来て、何かを探しているらしく……『西瓜小僧』、
芳吉には、平塚に祖父母がいることがわかったが、引取りにこようとしないことから、彼の面倒をみることにした蘭陽。
トンボの切り方を教える中で、うっかり腰を痛めてしまう。そんな中、周囲をうろつく不審な影を感じて……『連れトンボ』、
俵蔵の芝居に出ることになっていた佐之介が川に落ちて亡くなった。他にもよくないことが続いたことから、今度の話の元ネタにしたある旗本でおきた騒動の祟りではないかという話に。このまま不幸が続くようならば、取りやめに、という話まで持ち上がり、その事件について調べることにした蘭陽たち……『たたり』、
蘭陽がやるはずの舞台に、看板役者の若女形・瀬川燕之丞が出たいと言い出した。仕方なくあきらめ、トンボだけの代役をすることにし、役を譲ったが、その矢先、件の役者が何者かに闇討ちにあい怪我。蘭陽がその下手人として疑われる。
一方、蘭陽を慕っていたはずの芳吉は、平塚の祖父の元に出かけて……『つばめ』、
唐人の女の子が唄う数え歌を聴いた蘭陽は、寒気に襲われ意識を失った。それと共に蘇ってきたのは、初恋の人・おりんの姿。思い出される記憶の断片から、彼女と自分は大川で心中を図ったのではないかと思う蘭陽だったが……『隠れ唄』、
突然、役者をやめて出家すると言い出した蘭陽。幽霊好きの住職がいる碧祥寺に、春朗たちの画を賄賂に入り込もうと考えているらしい。その寺に、逆立ちした幽霊の絵があると聞き、見に出かけた春朗たちは……『さかだち幽霊』、
蘭陽が襲われた。どうやら狙ったのは御庭番。
実は、蘭陽は死んだとされる平賀源内を密かに匿っており、その居場所を探る為らしい……『追い込み』、
御庭番が源内から手を引くと知り、一安心。
そんな中、一之進から、おりんと佐助の話を聞かされた。彼らは、“こうもり”という盗賊団の仲間だったらしいのだが、その佐助が殺された。おりんの身を案じる蘭陽だったが…『こうもり』の12編収録。

“だましゑ”シリーズ第4弾。今回は蘭陽がメイン。
一編の長さが何だかちょっと微妙なので、もうちょっと長めだといいなぁ。

<09/4/13>


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