黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『妙なる技の乙女たち』小川一水(ポプラ社)

2008-09-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
時は2050年。宇宙産業の拠点となった、東南アジアの海上都市・リンガ。あらゆる人種の人々が集まるその地で働く、さまざまな職種の女性たちを描くオムニバス短編集。

インダストリアル・デザインの会社に勤める女性工業デザイナー・京野歩。けれど扱う品物は携帯食器、先輩社員はやる気なしで、鬱屈はたまる一方。
そんな中、嫌味な社長・戸塚が投げてきたのは、大企業CANTECの新しい宇宙服コンペのデザイン募集の応募要綱。早速取り組んだ彼女は、先輩社員たちや、アルバイト青年のハキムの協力もあり、満足のいくデザインが出来上がったのだが……第一話 天上のデザイナー、
港湾交通船(ボートタクシー)の艇長である歌島水央は、父の持船であった『舞浪』に乗っているが、女性では珍しい為、周囲の船乗りたちからは馬鹿にされてばかり。そんな彼女は、以前からの知り合いであるメッツラー将軍を客として拾い、ブージン・ピアまで送り届けることになったのだが、その船上で彼から自分の船で働かないかと誘いを受ける。ところが、途中で船が故障し……第二話 港のタクシー艇長(スキッパー)、
科学者であるルクレース・マッキンデールとともに、高級自然住宅開発企業・ヴァージナイルを経営している幡守香奈江。新種の昆虫が次々見つかるような自然の中に、高級別荘を建て、販売している。
そんな彼女が手がけていたランブッカ島の工事が、そこに住む少数民族の指導者・ゴディナンから猛烈な反対に遭う。そこには“夜の者の庭”という場所があり、そこを汚したものは呪われるという。納得できない彼女は、そこへ連れて行ってもらうことに……第三話 楽園の島、売ります、
日本からやってきた保育士・阪奈麻子が働くのは、様々な人種の子供たちを預かる私設保育園、セハット・デイケア保育園。
そんなある日、お昼寝が終わった後で、子供の数を数えてみると……ひとり多い。その、見覚えのない男の子・レオンの身元はなかなか見つからず、やむをえず彼の世話をすることになった麻子だったが……第四話 セハット・デイケア保育日誌、
貧血になり乗れなくなったケージ・アテンダント(軌道エレベーターの客室乗務員)の代わりに、急遽派遣されてきたという犬井麦穂。事前に搭乗の連絡がなかったことから、いぶかしく思う機長たちだったが、彼女の仕事振りは板についていて……第五話 Lift me to the Moon、
機械を用いてありとあらゆるマテリアルを彫る彫刻家・鹿沼里径。しかし機械で作った作品を芸術と呼ぶか否かで論議を呼び、リンガへとやってきた。
そんな彼女に、知人である京野歩を介して、インドネシア政府のダンスタン・サンジャヤから、惑星探査船の船首像を作って欲しいと依頼が舞い込み……第五話 あなたに捧げる、この腕を、
CANTECのCEOであるマダム・ハービンジャーから見込まれ、宇宙作業者の労働環境改善プロジェクト企画への参加に抜擢された歌島美旗。
宇宙食について議論を重ねるうち、宇宙空間での農業について考えるようになる美旗だったが……第六話 the Lifestyles Of Human-beings At Space を収録。

設定的には近未来ですが、あまりSFっぽくはなく。
どの女性たちも生き生きと、ポリシーを持って働く姿が描かれていて、良かったです♪
個人的には、第二話が好きですが、一話のハキムも捨てがたい(笑)。

<08/9/6>


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