定年退職後の生き様

定年退職後、残された人生を如何に意味有るものに、しようかと悩んでいます。

いわしげ孝さんを悼む。

2013年03月23日 20時29分47秒 | 家庭関係
30代後半以降、大きな挫折からの立ち直りを試みようとしていた時期、歯医者の待合室においてあった「ぼっけもん」
鹿児島市出身の主人公浅井義男と徳島県阿波池田市出身の秋元加奈子が東京の夜間大学で知り合い、不器用でカッコ悪い青春を繰り返しながら、最後には目出度くゴールイン。ラストシーン近くで、妊娠した加奈子がおなかの赤ちゃんを気遣い、そっとおなかを撫でるシーンが印象に残っている。

この作品は、ヘコんでいた、当時の自分の琴線にヒットした。

すぐに通販で全巻購入し、以降この作品は自分のバイブルとなった。

当時我社にしては、暇な事務所に配属されていたことから、この作品を完全に意識した内容の漫画を、身の程知らずにも、小学館のビッグコミックスピリッツに投稿した。
当然落選。小学館からの落選通知にはオレンジ色の縁取りが有り、仏壇の遺影を連想させた。

その後、通勤途上のバイク事故により、4ケ月の休職。

時間が有り余る入院生活では、読書と妄想を繰り返し、懲りもせずに次の投稿作品の構想を練っていた。

退院後、再び投稿。交通事故により死生観が変わったこともあり、少し枯れた自分は、過去に「ぼっけもん」の連載していた、本陣「ビッグコミック」に投稿した。
画力の無さなど全く気にしていなかった。
何かに取り憑かれたように、何種類もスクリーントーンを買い込み、殆ど夜も寝ずにGペンを走らせた。完全に本業と入れ替わっていた。
前回の投稿と違い、今回はいつまでたっても小学館からの通知がなかった。
通知がないまま、半年に一回の発表が紙上で行われた。入選、準入選、佳作を含め、当然自分の名前はそこにはなかった。
それから数月しても通知が無いため、小学館に連絡を入れて原稿(そんなおおげさなものではないが)返却してもらった。当時電話で応対してくれた担当者は何か奥歯にものが挟まった様な、微妙な対応をしていた記憶がある。何か会社の事情が有ったのだろう。

-----------以下その作品のアウトライン------------
舞台は東京。
気が弱く要領の悪いサラリーマンが、暗い誰もいない鍵のかかった会議室の中で、執拗に上司からのパワハラ(実技指導)を受けている。追い詰めらた人間は本能的に逃げ道を探す。最初のうち、彼はその逃げ道として、鍵のかけられた会議室入口のドアノブに視線を向けていた。しかし、連日繰り返される上司の「指導」に、彼の精神はすこしずつ崩れ始めた。「指導」の最中に、無意識に逃げ道を探す彼の視線は、いつのまにか入口のドアノブから、向かいのビルが見える大きなガラス窓の枠に、自然と視線が泳ぐようになってしまっていた。
或る夜、帰途、自分の周りに昆虫のような複眼をもった白いこびと達が羽音をたてて飛び回っていることに気付く。こびと達は、自分の頭と同じくらいの大きさのカエルの卵のようなものを投げ合って楽しそうに戯れている。彼は幻覚である事に気付きつつも、痛みきった自分の精神がそろそろ限界の時期を迎えていることを知る。
こびと達にいざなわれた彼はいつの間にか車道に飛び出してしまっていた。彼の正面に急速に近づく自動車のヘッドランプ・・・・・

地方の外郭団体に単身出向した彼は、地方の緩やかな人と時間の中で、特に前向きで勝気な一人の女性アルバイト職員との出会いにより、少しずつ再生していく。

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一作目のストーリーとは方向性が全く違っていたが、この投稿作品にも「ぼっけもん」に対する強いオマージュが有った。

こんな自分にとって、今日の訃報は本当にショックだった。

心からご冥福をお祈りします。

 

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