忘れられないお客様

私は札幌市内で自営業をしている。

仕事柄たくさんのお客様と出会うことがある。

そして色々なお客様を見てきた。

その中で忘れられない印象的だったお客様の一人がいる。


そのお客様は若い女性だったのだがもう地元の本州に帰る直前とのことだった。

なんでも美容師として札幌で働いていたみたいだったが札幌に来た理由も本州に帰る理由も私は敢えて聞かなかった。

というのもこのまま帰りたくなさそうな雰囲気をすごく感じたからだ。

出来ることならば自分以外の誰かに本州に帰るのを止めて欲しい、今の状況を壊して欲しい、そんな風にさえ私には感じられた。

…また大胆かつ地味に胸を見せてくるような仕草というか一種のセックスアピールみたいなものを感じた。私の勘違いかもしれないが。

若い女性にしては陰があり寂しそうで何か未練みたいなものさえ感じた。

札幌というまだ見ぬ地域に色々な期待や楽しみを持って移住してきたけれど思うようにいかず、

イメージとも違った札幌社会に馴染めずどうにもこうにもいかなくなり、それならば残念だけれどもう本州に帰ろうということかと思う。

彼女もまた札幌社会の被害者だったのかもしれない。本当にかわいそうだと私は思った。

確か当時はまだこのブログも作っていなかったし札幌がおかしいという持論、確信を持っていなかった私にはどうすることもできなかった。

とにかく私にはどうしてあげることもできないと思ったし、私にできることは今後の彼女の人生が良い方向に行くように心の中で祈ってあげることだけだった。

仕事を終えた私はこのお客様とはもう人生の中で二度と会うことも無ければ道中ですれ違うことさえもないんだろうなーと思いつつ帰路に着いた。

今頃は本州で元気にやっているのだろうか。

もしかすると札幌生活での悪い思い出も多々あるかもしれませんが「あなただけが悪くない」ということを私は声を大にして言ってあげたい。


あの時のお客様に幸あれ　by　札幌が嫌いな管理人