Notebook

自分のノートが汚くて読めないので代わりのメモです。

2009-05-03 23:45:21 | その他
毎年、この時期になるとフライングで鳴き出す蝉がいて、特に今年は緑の多い公園の近くにいるからその数もすごく多く感じる。ちょっと早まってしまったようだけど、確かにもう随分暖かいし、ここ数日はいい天気だから彼らにとっては暦の上の夏がまだ来てなくたって全然問題ないのかもしれない。もちろん僕にとっても、なんの問題もない。蝉の鳴き声に包まれると、いつも一瞬ぼーっとしてしまう。

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甲本ヒロトが前のバンドで、「生き方を選ぶときはBGM」と歌っていた。音楽の凄いところは、一音一音に意味がまったくないところ。それを組み合わせてひとつの作品を創るという行為は、ほとんど魔法のように思える。楽典というのはいわば後付けの説明でしかなくて、音と音を組み立てるその瞬間はいつでも奇跡的だ。忌野清志郎が死んでしまった。魔法を使える人間が一人消えてしまった。

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言葉も、ときに音楽として響く。言葉は意味から離れることができないけれど、その組み合わせは時として意味を無化させて、メロディーとなりコーラスとなる。音楽と言葉が交差するのは、多分記憶の領域においてだと思う。古い記憶に触れた言葉はたとえば、意味のようにではなく、音のように響く。失われた記憶を、言葉はもう一度呼び覚ます。そしてまた、消えていく。だけど、その音楽は蝉の鳴き声に敵うだろうか。ロックンロールに敵うだろうか。