あ ど れ な り ん

主にブルベを中心に趣味と日頃の鬱憤を晴らすために書こうと思います。

2018 RM0810 R札幌 2400 / Around Hokkaido 2400 その12 釧路~帯広

2020-05-16 20:35:57 | ブルベ
自分は物事の最初は覚えていて、後半は忘れる質だ。
釧路~帯広間は道程がシンプルで天気も穏やかだったため、スムーズに移動できたと記憶している。
逆にその間のことは余り覚えていない。
そんな、8月19日。スタートから10日目。ついに最終日がやってきた。
残り130km。

記録を見ると5時過ぎには移動を開始している。
リミットが12時間伸びたので、17時11分までに着けば良い。
疲労困憊で両膝も痛いが、これだけ有れば何とか走りきれるだろう。
朝もやの中、朝食を食べるために近くのコンビニに入った。

朝の気温は13~14℃ほどだったと記憶している。
前日に釧路入りして初めて気づいたことだけど、都市部は誤差の範囲で天気予報が当たるが、
都市部を離れるとその範疇ではなくなり、気温が下がるようだ。
山に行けば寒いというのは体験していたが、平地でもこういった違いが有るというのは初めてだった。

 そういうことか…

こういうのは体験しなければ分からないものだ。

早起きしたのは、もし調子が良ければ打ち上げに間に合うのではという淡い期待も有ったからだけど、
ここまでの疲労と両膝の痛みでスピードは出せず、とにかくゴールを目指すことにした。
とはいえ、この日は朝から気温が上がり、風も弱く順調に進むことができた。

残り80kmくらいで、これなら行けると確信めいたものを感じることができた。
そう思うと少し余裕が出て、ここまでの苦労を思い出した。
帯広入りで躓いたこと。膝痛。雨風に悩まされたこと。低気温の中を走り続けてきたこと。
ホテルや宿の人の驚きや励まし。
入って間もないクラブのLINEには、合間合間にメッセージを送っていたが、
みんな自分を励ましてくれて、励ましの声がなかったら続けられなかった。
すれ違うオートバイのツーリストには、何度もサムズアップを貰ったりして元気を貰った。

 頑張っている人に対しては励ましてくれる。普段は分からないけど世の中は良い人が溢れているんだ。

それが分かった途端、走りながら涙が出そうになってきたけど、まだ泣くのは早いと思って我慢した。
人の優しさを実感できた。
それが分かっただけでも、このブルベを走れて良かった。
今ここで倒れてしまったら、とても残念に思うだろう。
でも、後悔は無い。そう思えた。

最初に書いた通り、途中のコンビニに寄ったり、釣りをしている人達の後ろを走ったりなど、断片的な記憶しかない。
あとは道東より街が点在しており、安心して走れたことくらい。

浦幌の厚内トンネルを出た辺り


浦幌十勝川橋の端


やがて、十勝川に着いた。10番目。最後のフォトチェックポイントにやってきた。
時間は11時前。残り、51km。
ここまで来れば大丈夫だ。
後はゆっくり確実に進むよう心がけた。

十勝河口橋の看板と。ここは天気が良かった。


写真を撮る余裕が出てきた。十勝川。


この後も休憩したが、記憶が断片的だ。
次の記憶は帯広の町中になる。

交通量もだいぶ増え、都心部に入ってさらに蒸し暑く感じたのを覚えている。
とにかく事故に合わないよう、気をつけながら走った。

あと20km。
あと10km。

最後はやっぱり泣いてしまうのかな?
倒れ込むのかな?
そしてガッツポーズ?
クラブのみんなにはどうやって伝えたら良いか?
そんなことを考えながら走っていた。

あと5km。
あれ?雲行きが怪しくなってきたぞ?

あと3km
あ、雨降ってきた

あと、2km
遂に最後の曲がり角に来た。と思ったところで、雨が本格的に振り始めてしまった。

 (-゛-;) イラッ

また雨かよ!
結局、10日のうちで完全に雨に振られなかったのは、9日目だけ。
最後も雨という巡り合わせの悪さに苛ついてしまい、感動のゴールどころではなくなってしまった。
致し方なく、レインウェアを着てゴールのコンビニを目指した。

2403.2km地点 セブンイレブン音更木野大通西店
時間は13時57分。
遂にゴールに到着した。

誰も居ないので、ゴールを間違ったかな?と思い、場所を確認していると、
吉田さん他スタッフの人が出てきて、迎い入れてくれた。
ここがゴールだと分かり、やっとホッとすることができた。
以外にも倒れ込むこともなく、(イラッとしてたから)感情がこみ上げるようなこともなかった。

コンビニの中で領収書と写真の確認をして貰い、認定を受けた。
自分より遅い人はおらず、記録を見ても延長時間を使ってゴールしたのは自分だけということで、ダントツの最終走者となった。
その後は、簡単に道中の辛かったことや、同時開催のクローバー1200の話などをした後、お別れした。

スタート地点に戻ってきた。
9日前にここを旅立ったんだなという感慨と、一人だけの旅の終わりに寂しさを感じながら、少しだけ思いに耽った。

十勝大橋


十勝川インフォメーションセンター案内図の前


宿に戻ると、オーナーの人が無事と達成を喜んでくれた。
部屋に入ったら、当然シャワー。速攻で着替えたらベッドに入り、爆睡した。

朝の4時頃目を覚ますと、LINEにクラブの人達が次々に達成を祝福するメッセージを送ってくれていてとても嬉しかった。
クラブに入ったのは、旅のドキドキやワクワク、達成したときの喜びを共有したかったからなので、
それができたことにも満足した。

朝は2回も食事をし、急いで自転車の箱詰めをして帰りの準備を進めた。
そして、昼前に帯広空港へ。
この日は久しぶりに帯広でも30℃近くになったはず。
もう少し早くこんな日が訪れてくれていたらと思わずにはいられなかった。

爽やかな気候で気分は良いが、参加者と会って話すこともできず、ちょっと寂しい気持ちも有りながら出発を待った。

やっと北海道らしいもの(?)を食べることができた


晴れていた


帰りの飛行機は予定通り行けるようだ。
時間になると、飛行機は安堵と心地よい疲労感を乗せて帯広を飛び立ち、北海道を後にした。

こうして、北海道一周2400kmブルベの挑戦は終わりを告げた。

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※Around Hokkaido 2400 シリーズは統括編として、その13が有ります。


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