![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/b8/60bdbeb887eb298cbc59fa74c8c7ab69.jpg)
ずっと昔のピークを境に下がりっぱなしだったウイスキーの国内出荷量が、この不況の中で出荷量がプラスに転じているそうです。そのきっかけとなっているのが、サントリーが仕掛けている「角瓶」のプロモーションです。
もともとウイスキーは、50代~60代男性を中心としたマーケットで、飲み方も食後にロックで一杯といったものでした。今回、サントリーが考えたのは、まずターゲットとなる年齢を下げるということ。狙いは20~30代の男女。そして「今夜もまず角ハイボールから」という、食後ではなく一杯目からウイスキーをハイボールに(ウイスキーのソーダ割)して楽しもう、という提案が行われました。
酒をたくさん飲む場所として、最初に居酒屋を攻略。店内にシズル感たっぷりの「角ハイボール」のポスターを貼ることや、自動で角ハイボールを絶妙のバランスで仕上げる専用マシンを開発して店に置いたり、角ハイボール専用のジョッキグラスを作るなどが行われました。こうした結果、あちこちの居酒屋で、ターゲットと角ハイボールとの接点が作られて行きました。
次に料理との相性を訴求。高層階のバーで、若者が来店するやいなや角ハイボールと一緒に、アジフライやポテトサラダなど、いろんなつまみを注文するというTVCMが流れるようになりました。角ハイボールが、若者が普段から好むつまみとも合うことを伝えつつ、ここでも食後酒ではなく、食中酒としての存在感をアピール。また、新宿歌舞伎町には、たこ焼き専門店の「築地銀だこ」とのコラボレーションで、たこ焼きをつつきながら安価に角ハイボールが飲める店をオープンするなどの展開も行われました。こうしたサントリーの動きは、マスコミの情報発信のネタとなって報道されるようになり、広く一般に「角ハイボール」が認知されるようになっていきました。
さらに、飲み屋で「角ハイボール」を体験し、その香りのよさや味わいに「うまい」と思った人の囲い込みが始まりました。サントリーが次に打った手は「角ハイボールの家呑み」提案でした。ターゲットが頻繁に利用するコンビニで、手頃に楽しめるように「角ハイボールキット」を展開。角瓶+ソーダ+専用グラスが、リーズナブルな値段で提供されるようになりました。
大型スーパーでは、ラベルの黄色で統一感を持たせた「角瓶」コーナーを展開。単純に角瓶とソーダを一緒に並べて陳列するのではなく、地域にあわせた特産食材と一緒に、やはり食中酒として角ハイボールを飲もう、という提案を行っています。
ウイスキーと接点の乏しかった世代には、シングルモルトとかブレンデッドとかのこだわり要素をあえて見せずに、飲み方提案を一本で貫く。酒のようなウンチクの多い趣向品を、ひたすらシンプルに体験させる。角瓶と言えば、サントリーの歴史を語るのに相応しい商品ですが、そういったブランドの積み重ねもほとんど前に出さない。これが「ウイスキー・ハイボール」の今の流行りを作っているのではないかと思います。泡盛業界にとっても、サントリーのこうしたマーケティング活動は、ものすごく参考にすべきヒントがあると思いまして、このエントリーを書いてみることにしたのですがどうでしょう?
ここまで読まれた方で、マーケティングを仕事にしている人から見れば、サントリーの取り組みは、なーんだ、あたりまえじゃんか、と思われることだらけかもしれません。実は私もそう思っていました。
ただ、こういうマーケティング活動を徹底的に本気で仕掛けようとすると、やっぱり予算の問題であったり、途中どうしてもブレて軸足が定まらない経営トップが存在していたりで、想像以上に実行しきるのは大変なんだということも身体で理解しているというか。だから、仕掛け側にいる方(存じ上げませんが)を、似たような仕事をしている者として尊敬し、また羨ましくも思っています。
サントリーが仕掛けているコンテンツで、唯一の違和感は、TVCMのような高級そうなバーカウンターに「小雪」が絶対にいないことぐらいかな(笑)
仕事帰りに、小雪みたいなキレイな女性をカウンター越しに眺めながら角ハイボールを傾ける。
まさに夢のようですね。サントリーさん、次の一手として、そういう店をぜひ。
もともとウイスキーは、50代~60代男性を中心としたマーケットで、飲み方も食後にロックで一杯といったものでした。今回、サントリーが考えたのは、まずターゲットとなる年齢を下げるということ。狙いは20~30代の男女。そして「今夜もまず角ハイボールから」という、食後ではなく一杯目からウイスキーをハイボールに(ウイスキーのソーダ割)して楽しもう、という提案が行われました。
酒をたくさん飲む場所として、最初に居酒屋を攻略。店内にシズル感たっぷりの「角ハイボール」のポスターを貼ることや、自動で角ハイボールを絶妙のバランスで仕上げる専用マシンを開発して店に置いたり、角ハイボール専用のジョッキグラスを作るなどが行われました。こうした結果、あちこちの居酒屋で、ターゲットと角ハイボールとの接点が作られて行きました。
次に料理との相性を訴求。高層階のバーで、若者が来店するやいなや角ハイボールと一緒に、アジフライやポテトサラダなど、いろんなつまみを注文するというTVCMが流れるようになりました。角ハイボールが、若者が普段から好むつまみとも合うことを伝えつつ、ここでも食後酒ではなく、食中酒としての存在感をアピール。また、新宿歌舞伎町には、たこ焼き専門店の「築地銀だこ」とのコラボレーションで、たこ焼きをつつきながら安価に角ハイボールが飲める店をオープンするなどの展開も行われました。こうしたサントリーの動きは、マスコミの情報発信のネタとなって報道されるようになり、広く一般に「角ハイボール」が認知されるようになっていきました。
さらに、飲み屋で「角ハイボール」を体験し、その香りのよさや味わいに「うまい」と思った人の囲い込みが始まりました。サントリーが次に打った手は「角ハイボールの家呑み」提案でした。ターゲットが頻繁に利用するコンビニで、手頃に楽しめるように「角ハイボールキット」を展開。角瓶+ソーダ+専用グラスが、リーズナブルな値段で提供されるようになりました。
大型スーパーでは、ラベルの黄色で統一感を持たせた「角瓶」コーナーを展開。単純に角瓶とソーダを一緒に並べて陳列するのではなく、地域にあわせた特産食材と一緒に、やはり食中酒として角ハイボールを飲もう、という提案を行っています。
ウイスキーと接点の乏しかった世代には、シングルモルトとかブレンデッドとかのこだわり要素をあえて見せずに、飲み方提案を一本で貫く。酒のようなウンチクの多い趣向品を、ひたすらシンプルに体験させる。角瓶と言えば、サントリーの歴史を語るのに相応しい商品ですが、そういったブランドの積み重ねもほとんど前に出さない。これが「ウイスキー・ハイボール」の今の流行りを作っているのではないかと思います。泡盛業界にとっても、サントリーのこうしたマーケティング活動は、ものすごく参考にすべきヒントがあると思いまして、このエントリーを書いてみることにしたのですがどうでしょう?
ここまで読まれた方で、マーケティングを仕事にしている人から見れば、サントリーの取り組みは、なーんだ、あたりまえじゃんか、と思われることだらけかもしれません。実は私もそう思っていました。
ただ、こういうマーケティング活動を徹底的に本気で仕掛けようとすると、やっぱり予算の問題であったり、途中どうしてもブレて軸足が定まらない経営トップが存在していたりで、想像以上に実行しきるのは大変なんだということも身体で理解しているというか。だから、仕掛け側にいる方(存じ上げませんが)を、似たような仕事をしている者として尊敬し、また羨ましくも思っています。
サントリーが仕掛けているコンテンツで、唯一の違和感は、TVCMのような高級そうなバーカウンターに「小雪」が絶対にいないことぐらいかな(笑)
仕事帰りに、小雪みたいなキレイな女性をカウンター越しに眺めながら角ハイボールを傾ける。
まさに夢のようですね。サントリーさん、次の一手として、そういう店をぜひ。
先日、四国松山で50年変わらず同じハイボールを出すお店に出会いました。
そのお店には佐治さんも何度か来られたそうです。
ブームはいつか去るものですが、どんなきっかけでも若い人がお酒に触れることは嬉しいことです。
泡盛の消費量減も懸念されますが、何かいい一手がないものかと考えさせられますね。
コメントありがとうございます。
50年も変わらずのハイボールですか。そういう頑固さは見習いたいものですね。50年までは到達してないと思うのですが、私も銀座の老舗バーで昔ながらのハイボールというのを飲んだことがあるのですが、ものすごくやさしく繊細な炭酸の注ぎ方に、思わずため息が出てしまったこともあります。
ブームが去ったあとに何が残るのか。
それが本来の「姿」なのだろうと思いつつも、ブームをきっかけに習慣化して、過去を懐かしく思う人がいる限り、酒は飲み継がれるのだろうなぁ。