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仕事 マラソン 日々のできごとetc...税理士・西岡のオンとオフを記しています。

消費税率の推移と総額表示義務

2021年02月08日 | 税務・会計
最近というか何年も前からですが、買い物をするときに支払い時にいくらになるのか予想しにくいなと感じることが多いのですが、私だけでしょうか?
消費税が導入されたときから、消費税を含めた総額表示が義務づけられていましたが、平成25年10月1日から令和3年3月31日迄の間、一定の要件のもと「税込価格」の表示を要しない特例措置が手当されていました。そのため現在のように店によっていろいろな価格表示がされることになったのです。

消費税の税率の推移は以下の通りです。
平成 元年4月より      3%
平成 9年4月        5%
平成26年4月        8%
令和元年10月~現在    10%(軽減税率は8%) 

値札の貼り替え等の負担に配慮したとは言え、なんだか8%、10%と増税するためにこの措置をしたのではないかなと勘繰りたくなるような特例ですが、今年その法律が失効するため令和3年4月1日からは総額表示義務が復活します。
総額表示に該当しない例を挙げておきます。
「9,800円(税抜き)」  「9,800円(本体価格)」  「9,800円+税」

社会がどんどん複雑になるのですから、できるだけ簡潔にお願いしたいものですね。   

クラウドファンディングの取り扱い

2021年01月07日 | 税務・会計
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

企業が事業用資金を調達するには、出資してもらう、借り入れする等がありますが、最近ではクラウドファンディングによる資金調達が増えてきているようです。
この方法による資金調達には、主として寄付型と売買型があるようですが、その法人税と消費税の取り扱いを見てみましょう。

新型コロナウイルスによる売り上げの減少に悩むレストランを経営するA社が、上記2種類の方法で資金調達を始めました。
純粋に店を応援してもらうための寄付型は、資金提供者に感謝状を贈るだけで返礼品などは有りません。
もう一つは資金拠出額に応じた食事券を発行する売買型で、利用期限は6か月であり、A社においてその利用状況はきちんと把握しています。

さて寄付型の資金については受増益として当期の収益となります、消費税については役務の提供等がないので不課税の取り扱いになります。
一方売買型の資金は、資金の受け入れ時は前受け金とし、その食事券が利用された時の収益に計上します。消費税もその時の課税売上となります。
また利用期限の過ぎてしまった食事券については、A社の場合無効とする取り決めがあるので、期限がきたものから順次収益に計上しますが、消費税については食事の提供がないので寄付金と同じで不課税となります。

早くコロナが収束してほしいものですね。

会社が負担したワクチンの費用

2020年12月07日 | 税務・会計
  新型コロナウイルスの感染状況はまだまだ沈静化する様相を見せませんが、全世界が期待するワクチンもいよいよ提供が開始されることになりました。

 さて、そのワクチンの接種費用ですが、取り扱いによると、会社が負担したインフルエンザワクチンの接種費用や人間ドック費用と同様、会社の福利厚生費とすることが可能です。
これらの費用は本来個人の負担とされるものであるため、給与としての所得税の課税が原則ですが、社会通念上一般的な範囲内、業務遂行上必要などの理由から本人への課税も行われません。

 人間ドック費用については、①著しく高額なものでないこと。②対象を役員など特定の者に限定せず全社員とし、希望者が受診できる事。といった指針が示されています。
 新型コロナワクチン接種費用も上記①②を満たせば会社の費用で構わないということです。

路線価の補正はしないと決定

2020年11月06日 | 税務・会計
本便りの8月号で少し触れましたが、今年の路線価について、新型コロナウイルスの影響で地価の大幅な下落があった場合には、国税庁において路線価の減額調整をする「補正率」設定を検討する旨の発表があった事をお伝えしましたが、
この度(10月28日)本年1月から6月までの相続・贈与で取得した土地の評価に適用する令和2年分の路線価について、価格の補正は行わない旨を同庁ウェブサイトで明らかにしました。

国税庁は日本不動産研究所に調査を依頼するなどして、1月から6月までの半年間で地価がどれくらい下落したかを分析。
その結果国内外の観光客が減少した影響とみられる、東京都台東区浅草で16%、大阪市中央区宗右衛門町で19%など大幅に下落した地域がいくつかあったものの、路線価の補正等を検討する20%に届いた地域はなかった模様。
このため国税庁では今年1月から6月までの相続・贈与については路線価の補正は行わないことを決めたということです。なお、7月以降の相続・贈与にかかる路線価については、来年1月頃に判断されるようです

コロナウイルスの第2波、第3波が来ているようです、まだ予断は許せませんね。


自筆証書遺言書保管制度の開始

2020年10月07日 | 税務・会計
法務局では、令和2年7月10日から「自筆証書遺言書保管制度」の運用を開始しました。
遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、前者は公証証書にしなくてはいけない利便性の悪さがあり、後者には遺言書の紛失など保管の問題等がありました。その自筆証書遺言書を法務局で保管するという制度です。

⑴ 制度の概要
自筆証書遺言書保管制度は、遺言者本人が自筆証書遺言書を作成し、法務局内に設置された遺言書保管所(保管所)で保管の申請を行うものです。
保管所では本人確認などの適合性を確認し、原本および原本の画像データの保存を行い、遺言者の死亡後、相続人の申請があった場合に遺言書の内容等の開示を行うものです。
⑵ 遺言書への記載事項
①本文は、遺言者本人が自署したものであること
②作成年月日の記載があること 等々
⑶ 必要書類及び手数料
①必要書類(一度提出した遺言書は、保管の申請の撤回をしない限り返還されません)
・自筆証書遺言書
・申請書(法務省指定様式)
・添付書類(本籍の記載のある住民票の写し等)
・遺言者本人の確認書類(マイナンバーカードや運転免許証等)
②手数料
・一件につき3,900円
⑷ 自筆証書遺言書の申請先は、①住所地 ②本籍地 ③所有不動産の所在地のいずれか。
⑸ 相続発生後の相続人の対応
相続が発生した場合には、相続人等が遺言書の内容の証明書の交付を申請、閲覧することが出来る。また保管所に保管された遺言書の有無が不明の場合には「遺言書保管事実証明書」の交付申請を行うことにより、遺言書の有無の確認をすることが出来る。

いろいろ新しい制度が出来ているので上手く使いたいですね。 

高額で取得した土地の時価との差額は売上原価に算入できず

2020年09月07日 | 税務・会計

不動産事業を営むA社が、約1億8000万円を貸し付けていたB社に返済能力が無かった為、B社所有の土地(時価約7000万円)を1億8000万円で買い取り、債務を相殺しました。
さらにその土地を第三者に販売した際、買取り価格である1億8000万円を売上原価に計上し法人税の申告を行いました。

税務署はこれに対し「買取り価格と時価との差額である約1億1000万円は売上原価として損金に算入することは出来ない」として更正処分をしたため、A社はこれを不服として提訴したものです。

裁判でA社は「B社に対する債権を放置すれば、利息負担などにより大きな損失を被ることが明らかであった」と主張、時価との差額の寄付金性を否定しましたが、
東京地裁は、棚卸資産(A社は不動産会社である)の高額譲受けのケースでも、時価との差額は買い主から売り主に対する経済的利益の無償の供与であり、寄付金と評価されることもあり得ると指摘。そのような場合、時価との差額は売上原価とは異質なものと言わざるを得ず、時価との差額を損金に算入することは出来ないと判断。A社の請求を棄却しました。

土地は売り手、買い手、諸事情によりその取引価格は変動しますが、合理的な説明が出来るという事が必須ですね。      

借入金で取得した不動産の評価で控訴棄却

2020年08月06日 | 税務・会計
今年度の路線価価格も7月初めに公表され、今年度の相続について土地の評価額が算定できることとなりました。
ところで路線価については1月1日の時点で評価されるため、今年度については新型コロナの影響により地価の大幅な下落があった場合には、国税庁において10月以降に路線価の減額調整する「補正率」の設定などを検討するとの事となりました。もちろん軽微な下落にとどまればそのまま今回発表された路線価価格が生かされることになるでしょう。
この事から分かるように相続税計算のもととなる財産の評価は時価を超えないように設計されています。(ちなみに土地の評価額である路線価は時価の8割程度と言われています)

本件では、不動産業を営む会社の代表であった被相続人が銀行から約10億円を借り入れ、生前(2年6ヵ月前及び3年5ヵ月前)に賃貸用不動産を取得。相続開始後、相続人は本件不動産を評価通達に基づき評価し、借入金を債務控除するなどして相続税をゼロで申告した。
これに対し税務当局は財産評価通達6項(この通達の定めにより評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する)の規定による鑑定評価額で更正処分をし、裁判所は1審2審とも税務当局の主張を支持しました。
平成7年度までは、相続開始前3年以内に取得した不動産については取得価格で評価するという規定がありその後廃止されましたが、この6項規定により租税回避行為は勿論、評価通達によって申告したものについても不合理であるとされるものは否認されることとなりました。
誰でも税金は安いほうが良いですね、でも即効性の節税法なんてありません。「結果的に税金安く上がったね」というくらいで良いのではないでしょうか。                              

未使用ポイントの損金算入時期

2020年07月09日 | 税務・会計
航空会社のマイレージ、ドラッグストアのポイント等々、財布の中には色々なポイントカードが入っていますね。一説にはそれらを金額に置き換えると、1兆円ないし1.5兆円にもなるそうです。発行会社からすると、それらは将来無償の役務を提供しなければならない債務ですね。

この度、それらの債務を発生時期の事業年度の損金(経費)に算入できるかどうかが争われ、納税者側の訴えが認められず、国側(税務署)の勝訴となりました。

この会社のポイント制度は他でもよくある制度とほぼ同じで、
① ポイントカード会員に商品の購入時に一定のポイントが付与される。
② 1ポイント=1円で次回以降の購入時に代金充当、あるいは景品交換できる。
③ ポイントの換金は不可。
④ ポイントカードの最終利用日から2年過ぎればすべて失効する。

国側は、ポイントを付与した時点では税法上の債務の確定には当たらず、そのポイントが使用された時点の損金とすべきであると主張し、裁判所もこれを支持しました。
 ポイントは知らない間に失効していたりすることが良くありますね、早く使い切るようにしましょう。 
                                                                           

 

新型コロナ 休業手当、休業補償等

2020年06月08日 | 税務・会計

緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだまだ気の抜けない新型コロナの状況です。
特に飲食関係など影響の大きい業種では、休業要請によりあるいは自主的に休業している事業者も多いようです。いろいろな給付金、助成金が設けられていますが、今回は事業者と従業員の関係での休業手当、休業補償等についてまとめてみたいと思います。

事業者は従業員に働いてもらって、その分の給与を支払うのですが、何らかの理由で就業が出来ず、給与の支払いが困難になる場合があります。
先ず就業できない理由が従業員側にある場合、①就業中あるいは通勤時に怪我をしたなどの場合には労災保険の「休業補償」が支給され、②それ以外の生活でやはり怪我、病気などで就業できない場合には、雇用保険から「傷病手当」、あるいは健康保険から「傷病手当金」が本人の申請により支給されることになります。
一方、事業者の都合で休業するなどで給与が支払われない事態がありますが、その場合、労働基準法では一定の「休業手当」を支払う義務が設けられています。

今回のコロナ問題では、事業者が経営者として最大の努力をした場合、労働基準法上の「休業手当」の支払い義務が生じない「不可抗力による休業」とされますが、国の「雇用調整助成金」制度の活用を呼びかけ、都も「持続化給付金」を設けて、事業者への給付を行い雇用を下支えしています。
なお、「休業手当」は給与としての課税対象となりますが、「休業補償」「傷病手当」「傷病手当金」は非課税となります。

新型コロナ給付金

2020年05月08日 | 税務・会計
新型コロナウイルスのまん延で世界中が大変なことになっています。
各国の政府は、先ずはまん延を食い止めるためにロックダウンや外出規制といった方策をとって来ました。その一方で経済を維持するためにいろいろな給付金や大規模な資金提供を行っています。
わが国でも、新型コロナ給付金として「全国民に一律10万円の給付」が決まり、その申請手続きも始まっています。
この制度は、当初「特定の世帯に30万円の給付」の予定でしたが、急遽「全国民一律10万円」に落ち着いたようです。その予算規模は12兆円余りですが、こういった給付金としては過去になかった規模ではないでしょうか。
今回のコロナ禍に対する対策では他にも色々な特例措置が設けられておりますが、使い勝手が良くないという評判のものも多いようです。そんなこともあって「一律10万円」がすんなりと受け入れられたのではないでしょうか。

なおこの給付金は所得税、住民税は非課税とされています。通常、収入は税金のことを考えて全部を使うことは無理ですが、この給付金は全部何かに使えるのです。
生活の足しにするのはもちろんですが、景気回復に資する使い方をしたいですね。