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サラ・ペイリン氏のメガネと、これからのKazuo Kawasakiメガネ 2

2008-11-17 18:33:14 | 過去のBlog記事

実は、僕はもう20年くらいメガネのデザインをしているのですが、
昔のモデルも変わらず支持され続けています。
それは、僕のデザインがロングライフデザインだからだと自負しています。
サラ・ペイリン氏がかけているMP704や、
その素材を新しく変えたMP705というメガネのスタイルは、
完成形として歴史的に残るんではないかと言われていて、
20年ぐらいかけてひとつのスタイルを完成でできたかなぁと思っています。



僕がメガネをデザインしはじめたきっかけは、
増永眼鏡さんからお話をいただいたことなんですが、(過去ブログ参照 )
メガネのデザイナーで、医学的な知識をもってデザインしている人は
世界的に見ても僕以外にはいないんじゃないかな。
僕のメガネがアメリカの著名人などに支持されているのは、
そこも大きなポイントになっていると思います。
外国のメガネ業界では、今年はKazuo Kawasakiはなにを発表するんだ、
と話題になりますが、日本では決してそういうことにはなりません。
それはなぜかというと、日本人は非常にメガネをかけている民族ではありますが、
メガネの文化がめちゃくちゃ遅れているからです。



日本では、新しいメガネのお店が続々と出店していますが、
アメリカでは、メガネ店を開くということはとても難しいことなんです。
なぜかというと、アメリカではメガネ店を開く場合、
オプトメトリスト(検眼士)という6年制の大学を出た、日本でいう眼科医と、
専門学校でレンズの加工などを学んだオプティシャンという技術者が必要で、
その二人がいない限りはメガネ店の経営が認められないからです。



メガネは医療器具ですから、検眼をするというそういうところが難しいのです。
だから、しっかりとした検眼ができるお店が重要です。
外国では、単純に近視や遠視や乱視を見つけることだけではなくて、検眼をしたときに、
病気の症状のサインが眼の中あらわれているのを感知して、
あなたはこのクリニックに立ち寄りなさい、どうも肝臓が悪そうだ、などと、
見えないところまで判断を下せるんです。
だから僕は、アメリカに出かけることになった人には、
メガネを作ってきたら、とアドバイスします。
それぐらいメガネの文化程度が違うんです。



この間、うちの研究室にフランスからインターンの子が来ましたが、
何で僕のところに来たんだ、と聞いたところ、
お父さんがオプティシャンで、僕のことをよく知っていたから、とのことでした。
このように、メガネの知識をもったプロから、僕のメガネは支持されている。
逆にいうと、オプトメトリストやオプティシャンにまず認められないと
海外では商売ができないということです。



日本では、レンズ代込みで安く早くできあがるメガネが支持されていますが、
あれはあまり好ましいメガネの選び方ではないと言っておきます。
安いメガネは、レンズの歪みなどでとても眼に負担をかけます。
また、長時間メガネをかけて疲れる、という人は、
そのメガネのフィッティングがきちんとされていないからです。



ペイリン氏のかけているメガネもそうですが、
僕のメガネはめちゃめちゃ軽くて、かけた人はみんな驚きます。
それに、万一メガネをかけたまま寝たとしても、
フレームとレンズが歪まない構造になっているんですよ。
最近では、僕のメガネの良さを理解してくれる日本人も多くなって、
日本でも僕のメガネだけの専門店というのが増えてきたのは、とてもうれしいことです。



次回は、Kazuo Kawasakiメガネの特徴と、未来のメガネについてお話したいと思います。





kawasaki1117_1

書類用・文具であるクリップが、最初の発想アイディア



kawasaki1117_2

このクリップ形状を変化させていくことで、
リムレス(フレームの無いレンズ)へのジョイント・ワークとして提案。
しかし、この形状を「機能的・性能的な形態化」にするには、
「新素材の開発」が必然となる。




kawasaki1117_3

MP-704の製品開発は、それぞれの部品の素材開発の成果である。
クリップは、「ニッケル・チタンの記憶形状合金」として、性能性を確保。
テンプルは、βチタンによって、超軽量であることと、
金属アレルギーを起こさせない肌にやさしいプレート開発を行っている。
そして、NT合金とβチタンとのイオン化傾向の公差を
クリップとテンプルとのジョイントスクリュー(ねじ)によって
解消している。



kawasaki1117_4

チタンは三種類ある。
αチタン・α+βチタン・βチタンであり、
その中で、原子構造が「体心立方構造」という
結晶学的なチタンやアルミ原子の構造は、
立方体の頂点や中心に原子が配置されていることで、
肌にはやさしい金属素材がえられる。
この素材性能が、テンプル素材として、超軽量であり、
フレームの存在価値づくりになっている。




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