芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

松江市議会住民投票条例案否決と再稼働了解判断

2022-02-15 20:59:05 | 原発
なぜ民意の把握を拒否し、性急に再稼働判断を行うのか?



本日は、10時から松江市議会臨時議会が開催され、私たちが求めた「島根原発の再稼働に関して、住民の意向を問う松江市住民投票条例」案は、反対26・賛成6で否決されました。
元々、自民党系議員が圧倒的に多く、この間、再稼働推進を求める商工団体からの陳情8件を採択し、慎重審議及び再稼働に反対の陳情21件をことごとく不採択にしてきた松江議会でしたから、結論は予め予想できたことですが、改めて民意を丁寧に把握することを拒否した議会にはがっかりです。
以下、長文で申し訳ありませんが、概要です。
 
今日は、各会派による討論と採決でしたが、反対会派の言い分は、おおむね、以下のような内容でした。
・長い間、松江市は島根原発と共存してきた。
・議会はこれまで議論を重ねてきた。陳情も丁寧に審議してきた。
・住民説明会を4回行っており、その様子は今も視聴できるようになっている。充分であった。
・署名は50分の1以上であったので、議会で審議したが、多くの市民は動かなかった(署名しなかったとの意味)。
・市長と議会の判断を市民は理解して欲しい。
・日本エネルギー資源に乏しく、確保しなければならない課題に取り組まなければならない。
・カーボンニュートラル実現のために原発は必要。
・避難計画は国において確認された。
・条文に不備を指摘
・選択肢に「保留」を設けたことに対して、曖昧だ!市民も責任を持って勉強し判断しなければならない。賛否をはっきりさせるべき。(2択なら賛成とも)
*市民が再稼働について選択したいと求める条例に対して、議会は複雑な問題について説明を聞き、視察にも行って議論してきたので、市民には任せられない!と思っているような印象を受けました。

なお、共産党と民主ネットワークは、それぞれに賛成の立場から討論をされました。
共産党議員は、新潟県の4年に亘って検討委員会を開催してきた取り組みを紹介し、国にエネルギー政策の転換を求めていくべきと訴えてくださいました。
民主ネットワーク議員は、昨年の自治労が行ったアンケート調査において、市民が避難計画に不安を抱き、計画すら知らない人が47%もいた例を挙げ、民意の把握が必要と訴えられました、また、再稼働判断は尚早とも!
*お二人を含めて起立し、賛成の意を表してくださった6人の議員の皆さんには、感謝申し上げたいと思います。

この議会が終了した後、午後からは全員協議会が開催され、各会派から再稼働に対する事前了解について意見表明がありました。
容認する自民系会派および公明会派は、これまで同様に安全確保が大前提としながら、「・カーボンニュートラル実現のために原発が必要・避難計画は現時点で最善・電力の安定供給が必要で、再エネは安定供給のためには技術開発が必要・核ゴミ問題は国の責任で行われるべき」といった意見とともに、再稼働容認を表明しました。
民主ネットワークは、賛否が分かれたため、会派としての統一見解は示せないとし、反対は共産党会派のみとなりました。

議員も私たちも、聞いていた予定はここまででしたが、市長は、休憩を取って市長判断を示したいと言いました。
報道でお分かりのように、その後、市長は、再稼働に対して以下の4つの観点から了解する旨を示しました。

・安全性について
福島の事故後、安全性について対策が取られてきた。
事業者が信頼を得られなければならないが、今後も取組みの改善を求めていく。
・使用済み核燃料搬出について
大臣から、核燃料サイクルを推進していくとの回答を得ている。
・エネルギー問題について
エネルギー資源については脆弱性がある。再生可能エネルギーに関しては、安定供給には時間がかかる。
当面の間、原子力を使っていくしかない。
・避難対策について
国から確認を得た。市民には理解を得たい。
現時点では最善であるが、普段の見直しをしていく。
・地域経済への影響
コロナ禍において、電力需給がひっ迫している。
エネルギーコスト上昇が経営を圧迫する。
低迷する地域経済改善に効果がある。

以上ですが、市長が、議会会派の意見が出た直後に、ここまで急いで判断を示したことには怒りしかありませんでした。

住民投票条例審議

2022-02-10 21:03:09 | 原発
聴く耳持たぬ松江市長と議会


 昨日に引き続き、松江市議会では島根原発2号機の再稼働判断にあたって、市民の意向を反映させるための住民投票条例案について審議が行われました。
 今日は、市長に対する議員会派からの質問が行われました。各会派からの質問内容は、自民党系議員が圧倒的に多い議会構成の中では、残念ながら、市長の反対意見を確認するための質問がほとんどでした。例えば、こうだ!
・住民投票はなじまないか?と聞けば、「多面的、総合的に判断されるべきものだ」と答える。
・市民が納得できるために必要なことは何か?と聞けば、「議会、会派の意見を聞きたい」と答える。  ー いや、この問題について、議会に付託した覚えはないのですが!
・「市民から一方的な情報提供と言われていたが」と聞けば、住民説明会で市民からの質問に答えていたので、一方的ではない」と答える。 ー 「批判的な情報について説明を受けていない」と制球代表人から陳述を受けたじゃないですか。何を聞いているんですか?
・使用未核燃料の搬出が確定となっているのか?という質問には、「大臣が核燃料サイクル推進を責任を持って取り組むと言われた」と答える。 ー 現実を直視しなさい!口約束ですから、何とでも言えるのですよ!
と、まぁ〜。こんなふうなやり取りが続いたのです。(赤字は、私のつぶやき!)
15日が、討論、採決となりますが、怒りしかありません!
昨日の岡崎制球代表人の陳述を挙げておきます。


地方自治法上の地方公共団体の役割・責務
地方自治法第1条の2第1項は、地方自治体の役割に関し、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と定め、また、その2項では、国は、「地方公共団体に関する制度の策定および施策の実施にあたって、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない」と定めています。
・地球温暖化問題やエネルギー政策、核廃棄物・処分の問題は、国民としての私たち一人  ひとりの問題であり、国の政策の問題ですが、原子力発電所を私達の地域に立地するかどうかは、地方自治体の問題であり、ここに生活する地域住民の問題だということを確認する必要があります。
・原子力発電所の立地・稼働は、この地域の住民の福祉、すなわち、住民の生活の基本である生命・身体等の安心・安全にかかわる問題です。
つまり、島根原発再稼働の問題は、地方自治法第1条の2の第1項に定める「住民の福祉の増進を図ること」であり、住民の生命・身体等の安全・安心を守ることこそ、立地自治体である松江市の責務であり、国との関係でも、自主的・自立的に決定されなければならないということを再確認すべきです。

原発再稼働の問題は、私たち松江の住民にとって、重大かつ重要な問題です。
・島根原発の存在と再稼働の是非は、松江市民の生活にとって、重大かつ重要な問題です。
・請求の要旨に述べたように、福島第1原発事故によって、私たちは、万が一この島根原発で過酷事故が起こったら市民の生命・健康・生活、環境等にどのようなことが起こるかを考えさせられました。そして、島根原発が原子力規制委員会の新規性基準をクリアしたとはいえ、万が一の事故がないとはいえないこと、仮に、万が一の事故があった場合には、放射性物質が松江市を中心とする地域に放出され、住民が被曝するリスクのあることは、原子力規制委員会も認め、そのリスクがあるからこそ、緊急避難計画の策定が松江市に義務付けられているのです。
・私たちは、ほかならぬ、この松江市に立地する原子力発電所の再稼働の是非の問題は、主権者である住民の生命・健康・生活等にとって、切実な重大かつ重要な問題と考えています。

地域の私たちにとって、重大かつ重要な問題について、誰が、これを決めるのでしょう
・重大かつ重要な問題について、しかも、主権者である市民の間に意見の違いがある場合に、議会及び市長が決断をしなければならないとき。
 その場合において、議会及び市長の判断に先立ち、主権者である住民の意思・意見を聞く「手続き」(住民投票)を実施し、市長及び議員は、住民投票に示された住民の意思・意向を尊重して決めて欲しいというのが、今回の条例請求です。
・現行法上の住民投票は、代表民主主義を補完する主権者としての参加制度です。
・市長や市議会議員にとっても、より、的確に市民の意見を反映した判断をすることとなり、また、市民にとっても、主体的に地域の重要な問題について参加することになる。いずれにとっても、住民投票は、民主主義のレベルアップにつながるといえます。

市民は、再稼働問題について、市長と市議会議員に、負託したでしょうか。
・市長の意見書では、市長は、「市民の皆様からの負託を受けた市長と市議会議員において、市民の皆様からいただいたご意見を踏まえ、責任を持った立場での責任のある議論を経て判断する方法が最も相応しい考えております」と述べています。
・地方自治体において、主権者は住民です。議員や市長は、自治体の二元代表として、選挙で選ばれたとはいえ、選挙の際には、原発再稼働については、争点とはなっておらず、市長も、ほとんどの議員も意見を述べていません。
・「負託を受けた」という言葉が「おまかせした」という意味に使われていること、また、「原発再稼働問題について、負託を受けた」というのは、ずいぶんな飛躍です。

市長や市議会議員は、「市民の意向・意思を聞いた」といえるのでしょうか
・市長の意見書では、「市民の皆様からいただいたご意見」とありますが、具体的には、どのような方法で、市民から、どのような意見をいただいたのでしょうか。
・また、今後、原発再稼働問題での態度を決める前に、市民の意見を聞くことが予定されているのでしょうか。
・私達は、多くの市民の意見を聞く方法としては、事前手続きである住民投票が、もっとも相応しいと考えていますが、市長や市議会としては、これに代わるどのような方法が、他にあると考えておられるのでしょうか。
・私達は、私達の意向・意見を聞かれたとは認識していません。

島根県との共催による住民説明会では、市民に対し、十分に納得できる説明がなされたでしょうか
◎ 原子力規制庁、内閣府、資源エネルギー庁、中国電力からの一方的説明でした。
質問は、説明された内容に関するものに限定されました。
質問時間はひとり○分
再質問は認めない。というものでした。
◎ 再稼働を推進する立場からのみの説明・意見であり、推進に反対する立場や、疑問や問題を指摘する立場からの説明は、一切ありませんでした。
 ⇒その結果、多面的・複合的に考える資料・材料は一切提供されませんでした。情報提供内容が偏り、不十分だったといわざるを得ません。
◎ 議論ができないため、問題点を深めることができませんでした。 
◎ 一方、住民説明会に参加した人の発言を聞く限り、多くが、安全性に対する疑問、核廃棄物問題への懸念、緊急避難計画の実効性への疑問等であり、推進する意見はありませんでした。
◎ 市民の中には、勿論、再稼働に賛成の人もいれば、無関心な人もいることは、私達も否定しません。しかし、少なくとも住民説明会に出席した市民の発言の多数が、推進には反対ないしは消極的であったことを、市長は、また、市議会の議員の皆さんは、認識すべきです。
うか。

ちなみに
住民説明会で市民が聞いたのは「島根原発の必要性や再稼働させてもだいじょうぶだ」といった一方的な説明でした。
また、圧倒的に多くの市民はその場に参加することなく、意見を言ってもいません。ホームページへの掲載や動画の公開を行ったことで、参加しなかった市民には情報に触れる機会があったと言いますが、どれほどの市民が自らその情報に到達したでしょうか。
国や行政は、市民が住まう各地域に出かけ、難解な原発に関する情報をわかり易く丁寧に伝える努力をどれだけ行ってきたのでしょうか?
現状は、多くの市民を置き去りにしたままで「市長判断に任せて欲しい」と言っている状態です。
市民は、より適切で多くの情報が提供され、考える機会を保障されることによって、島根原発再稼働に対する自らの意向をまとめる力を持っています。
議会の皆さん、そして市長は、市民を信頼し、住民投票の機会を作っていただきたいと思います。自らの意向を聞いてくれる市政であれば、市民はこの町を誇りに思うはずです。

現行法の住民投票制度は諮問型である
・条例に対する市長の意見書では、「本来市長や市議会が担うべき意思決定の役割を、市民の皆様に押し付けることになる」と述べています。
・しかし、現行法の住民投票制度は、その当否はさておき、住民投票の結果が、市長や議会の決定を拘束するものではない(つまり、住民投票の結果を尊重するにとどまる=諮問型)ことは、市長であれば、当然知っているはずです。
・意思決定の役割は、あくまでも議会と市長にあるにもかかわらず、あえて、「市長や市議会が担うべき意思決定の役割を、市民の皆様に押し付ける」とするのは、「市民の意向を問う住民投票を実施したくない」という市長の強い意志を示しているといわざるを得ません。
・しかし、市民の負託を受けた代表である議員と市長には、原発再稼働の問題に関して、この重大問題の決定の「事前手続き」として、住民投票により、市民の意向・意見を十分に把握し、これを反映した判断を、責任をもって行う重大な役割があるのです。

再稼働の判断に際して考慮すべきことは何か
・市長は、「再稼働の判断に際して、最も重視すべきが、市民の皆様の安心と安全であることは論を待たないと」述べつつも、一方で、地域経済の維持や、元企業の生産活動の活性化、雇用の保持・創出といった要請や、さらには、国の政策や地球規模の持続可能な環境問題等々を検討すべきものとしています。
・しかし、市長は、意見書の中では、原子力規制委員会の新規性基準をクリアしたとしても、万が一の事故がありうること、万が一の事故があった場合には、住民が被曝するリスクのあることや緊急避難計画の策定が、松江市の義務であり、その実効性が問われていることなどには全く触れていません。
・結局、市長は、市民の生命・健康・生活、環境等の安心・安全の問題がなによりも最優先されるべきであるとの認識・決意は見られず、考慮事項のひとつとしているとしか思えません。

複雑に入り組んだ深遠な課題について結論を導くという「難題」は市民には負担か
・市長の意見書では、「このように複雑に入り組んだ深遠な課題について結論を導くにあたっては、多面的・複合的な観点から議論を行い、注意深く判断する必要があると認識しているところ」、住民投票に関しては、「このような難題に対して、本来市長や議員が担うべき意思決定の役割を、市民のみなさまに押し付けることになりかねないという危惧も感じています」と述べています。
・市長の意見は、市民には、このような難題について意見を述べること自体が無理ではないかと言わんばかりであり、主権者住民を愚民視する失礼極まりないものといわざるを得ません。
・私たちの主権者としての「権利」であり、主体的な「意見表明」に関して、「押し付け」と述べる市長の意見書は、私たちの主体性を否定するものといえます。
・ところで、私たちは、条例案で「再稼働の是非に関する情報を広く提供することを目的とする住民投票広報協議会を設置し、公開討論会、シンポジウム等を実施する等、市民が情報の提供を受け、熟議し、判断できるようにする仕組みも提案しています。
・住民投票が行われることになれば、市民は、様々な情報や意見を踏まえ、的確な意見表明が可能となるのであり、その条件整備は、市長や議会の責務です。

最後に
・私たちは、今回の条例請求において、島根原発の再稼働の是非(是非に関する実質的な内容)の審議を求めているのではありません。
・ここで審議が求められているのは、島根原発の再稼働を決める手続きとして住民参加の手続き、すなわち、住民の意思表明の機会である住民投票を実施すべきだということです。
・住民投票の結果が、市長や議会を拘束することはありません。結果を尊重して判断してほしいというのが私達の求めることです。住民投票を実施して、その結果を尊重することこそが市民の負託を受けたと胸を張って言えるのではないでしょうか。
・島根原発は、全国で唯一の県庁所在地に立地する原子力発電所であり、30キロ圏内の人口は、約67万人。ここでの住民投票条例が成立するかどうかは、全国が見守っていることを忘れないでいただきたい。

松江市議会 住民投票条例審議

2022-02-09 14:25:45 | 原発
市民を小ばかにする市長意見に請求代表人の反論陳述



 島根原発2号機の適合性審査が終了した昨年9月以降、立地自治体である松江市を始め、周辺自治体と島根・鳥取両県による再稼働判断に向けた動きが一気に加速していきました。

 中国電力、そして自治体とエネ庁・規制委・内閣府主催の住民説明会も矢継ぎ早に開催されたものの、すべて「再稼働しても大丈夫!」という前提での一方的な説明会でした。参加した多くの市民からは様々な質問が出され、「この避難計画で本当に安全に避難することができるのか?」それぞれが抱えている状況から不安視するたくさんの質問が出されていました。その質問にも、満足に答えを聞くことのできなかった説明会だったのです。

 一方、松江市議会には、早々に再稼働を求める陳情8件が商工団体から出されました。(8件中6件はすべて同じもの)12月議会において、これらの陳情が審議されるとのことであったため、様々な市民団体から計21件の反対及び市民の意見を聞いた上での判断を求める陳情が出されました。
 残念ながら、自民党系議員は原発にリスクがあることを招致で、ことごとく市民側の陳情に反対し、再稼働推進の陳情を採択してしまいました。

 市民の側からは、住民説明自体が公正さを欠くものであり、あまりにも急ぎ過ぎる再稼働の動きに対して、最低限、市民の意向を丁寧に聞き、市長判断に反映させるべきと、住民投票を求める直接請求署名を、昨年12月に1カ月かけて行いました。同じく住民投票を求める署名は鳥取県米子市、境港市でも行われ、現在は出雲市でも行われています。このように、同時多発的に住民投票を求める署名活動が行われていることに、全国からも注目を集めています。
 すでに松江市に提出した住民投票条例案は、上定松江市長によって反対意見が付され、昨日からこれを審議する臨時議会が開かれています。今日は、請求代表人である秋重元島根大学副学長と岡崎弁護士による意見の陳述がありました。市長意見については、報道で読まれたことと思いますので、省略し、お二人の陳述を紹介します。まずは、秋重代表の陳述です。

私は、深い考察もないままに国の方針に従い、学生に対し安全神話を口にしたことを、今では深く反省しています。スリーマイル、チェルノブイリ、福島と原発の過酷事故は続きました。原発に絶対的な安全はありません。一度、過酷事故が起こると、その放射線による汚染は、広島、長崎の例をあげるまでもなく、時空を超えて長く広く環境や人体に影響を及ぼし続けます。

もしものことが起こった場合を想定しての避難計画など、住民一人一人はどれだけ理解しているでしょうか?島根原発から30キロ圏内に46万の人が住み、10キロ圏内には県庁や大学があります。30キロ圏内の人口は、東海第2、浜岡に続いて3番目です。逃げるにしろ宍道湖や中海がありますので、避難経路は限定されます。観光の目玉である国宝の松江城や出雲大社も30キロ圏内です。

一方、国の脱炭素に向けたエネルギー基本計画では、エネルギーの安定供給が根本にありますので、原子力の発電量に占める比率を、2030年までに現状の6%から20-22%にまで上げるとしています。この目標実現のためには、現在申請している原子力発電の27基すべての再稼働が必要となります。したがって、住民が声を上げなければ、国の方針通りに議会で議決され、何もなかったかのごとくに島根原発2号機の再稼働が承認されます。

単一イシュウで、原子力発電についてアンケートをとると、賛成と反対はほぼ拮抗します。しかし、選挙で議員を選ぶと原発推進の与党が圧倒的に多数となります。このように、原子力発電については、議会と市民の間に意見の乖離があります。福島原発事故の教訓を踏まえた原子力発電の再稼働については、議会で審議する前に、広く住民の意思と意向を確認してほしいと望んでいます。

2号機の再稼働する・しないに関係なく、原子力発電所は放射性廃棄物を抱えたまま、これから何10年と存在します。行政や議会に任せきりにするのではなく、住民一人一人が自分のこととして考え、意思を明確にし、原発賛成・反対の立場を超えて語り合うことが大切です。

エネルギーには、太陽光発電などの再生可能エネルギー、火力発電、水力、原子力など様々なものがあります。どのエネルギーを選ぶかは、住民一人一人の生き方にも関係してくる重要な問題です。発電所にしても大型の発電所で発電して遠くに送電するのではなく、分散型の小型発電所を多数つくるという考えもあります。2号機を再稼働し、松江市が今後も原子力発電を選ぶのであれば、その理由を市民や次世代を担う子供たちにもきちんと説明しないといけません。

島根県では、少子高齢化が進むばかりで、人口減少は続いています。若者の地元定着のための有効な施策を立案し、どう具体化していくかは、松江市にとって最優先の重要な課題です。若者の地元定着を促進するために、原子力発電所の果たすべき役割はどこにあるのでしょうか?若者のための雇用創出、地元産業のための安定的なエネルギー供給など、地元へのメリットが多数あるのであれば、原子力発電所にかかわる松江市のまちづくりの将来像として、市民に具体的に示すべきです。

広く市民の意思と意向を確認する方法として、私たちは、松江市に対し、2号機再稼働について、市民の意見を反映させる住民投票条例の制定を請求しています。昨年の年末のあわただしい中、しかもコロナ禍の困難な時期ではありましたが、私たちは決められた1か月の間に、法定署名数の約3倍を超える1万1千人の方から、住民投票を求める署名を集めることができました。署名をされた一人一人思いを担って、私はここに立っています。

私たちが接した市民からは、再稼働に関して、賛成、反対、わからない、迷っている等の意見があり、また、結論だけではなく、その理由も様々です。具体的な市民の声を紹介すると、原発再稼働に反対の立場の方からは、「電気の安定供給は大切だけど、避難のことは心配」とか「介護のことを考えると、バスでの長距離の避難はできない」など、避難のことを心配する声が多くありました。また、再稼働に賛成の立場の人からは、住民投票の意義は理解できるとして、署名してもらっています。

同じように、島根県や松江市が開催した4回の住民説明会における市民からの意見、また、安全対策協議会における意見や質問には、安全対策、避難対策、国のエネルギー政策、中国電力の資質など多岐にわたって、不安や心配が述べられています。

住民こそが、地方自治体の、また地方政治の主人公です。市長も議員も選挙で選ばれたとはいえ、昨年4月の選挙において島根原発の再稼働に対して、態度を明確にし、有権者に問うた議員はほとんどいませんでした。原子力発電の再稼働のような、松江市にとって重要な問題については、より的確に市民の意見を把握し、市政に、これを反映すべきではないでしょうか。

私たちが取り組んできた住民投票条例制定は、市民が、原子力発電所2号機の再稼働の是非という、松江市にとって極めて重要な問題について、自分たちのこととして、関心を持ち、原子力発電所の稼働の影響、リスク、メリット、デメリットを知り、よく考え、意見を表明するための方法として、提起したものです。

この条例制定の直接請求の制度は、「住民自治」実現のひとつのツール(手段)として、地方自治法により、住民に認められたものであり、直接民主主義を具体化した重要な制度です。

議会が、この直接請求制度の趣旨と市民の意思を尊重し、本住民投票条例を可決されることを、切に求める次第です。




島根原発2号機の適合性審査終了に強く抗議します

2021-06-23 21:56:44 | 原発

 2013年12月に設置許可変更申請書が出され、およそ7年半にわたって行われてきた島根原発2号機の新規制基準適合性審査は、本日原子力規制委員会による「審査書」案が示され、終了することとなりました。これまでの審査の中では、主要な論点として、活断層評価と基準地震動の評価、そして津波や火山の噴火、竜巻、重大事故対策、技術的能力などが規制委員会によって審査されてきましたが、深層防護第5層に位置付けられ、住民の安全を守る最後の砦である「避難計画」については、審査の対象から外されたままの状態で進められてきました。このような審査のあり方自体に大きな異議があります。
 また、適合性審査の合格に関して、田中前規制委員長は「基準の適合性は見ているが、安全だということは私は申し上げません」。更田現規制委員長は「政府が新規制基準を『世界で最も厳しい水準』等と説明することについては『違和感がある』。『あの厳しい基準に合格しているのだからこの炉は安全です』という脈絡で語り出すと、それはある種の新安全神話だ」と述べています。では、島根原発2号機の新規制基準の合格は、この施設の安全性に関して規制委員会として何を保証するのか、どこまで保証するのか、明確に具体的に責任を持って説明すべきです。
 審査における主要な内容については、私達は、差し止め訴訟の中で、中国電力による評価が過小評価であることを度々主張してきました。中でも、「宍道断層」の評価については、私達は1998年から1,2号機の運転差し止めを求める裁判の中で、あまりにも過小評価であることを主張し続けてきました。その間、活断層長さは延伸し続け、今回の適合性審査の結果、「不確かさの考慮」で39kmまで伸びました。中国電力は、安全側に立って評価したと言うのでしょうが、活断層の東端から更に東には鳥取沖西部断層が連なっています。その鳥取沖西部断層の西端側を途中から短くし、両断層の離隔距離を6kmとしています。さらに、同じ地殻構造の中に位置することを示す両断層を連なる重力異常を無視した結果、両断層の連続も連動も否定してしまっています。原子力規制員会が、この中国電力の説明をうやむやなままにし、了解したのは断じて容認することができません。
 それでも、審査の過程では中国電力の安全性軽視の姿勢が次々に露呈し、規制委から相当な不信感を持たれていたことも事実です。例えば、津波の影響を審査する中で、中国電力は防波壁に漁船がぶつかることを全く想定していませんでした。このことについて原子力規制委員会は、「漁船がぶつかった場合は重大な影響がある。だから漁船は無いことにする。と言う考え方を出してくるというのはどういうお考えなんですかね。」と厳しく指摘しています。(第894回審査会合:2020.9.3)
 しかし、中国電力の姿勢に不信感を抱きながら、原子力規制員会が原発再稼働を粛々と進めるために、島根原発2号機の「審査書」案を出したことに対しては、私達は強く抗議したいと思います。彼らが目を瞑ろうとする代償は、いったい、誰が払うのでしょうか?
 島根原発の再稼働を進めることに対して、私達住民の答えはNO!です。今後も、私達は勝訴のために全力で裁判に取り組んでいくとともに、各自治体が再稼働にNO!の答えを出すよう求め続けたいと思います。
2021年6月23日
島根原発1,2号機差し止め訴訟原告団長

芦 原 康 江


広島からのメッセージとチャンネルあしはら

2021-04-09 21:33:31 | 原発
今日も広島の皆さんからのメッセージです!


そして、今日のチャンネルあしはらは「自然エネルギーの活用で安全な暮らしを!」
 自然エネルギーって本当に使えるの?と思っている方も多いのではないでしょうか?ヨーロッパ諸国で進む再生可能エネルギーの活用など、きっと、脱原発社会って、やればできる!と思っていただけると思います。

https://youtu.be/apviqk-7UPw