MIT MBA留学日記 ~ その後

2009年6月の卒業後、西海岸で社会人生活を再開。新しいタイトルを思いつくまでこのままのタイトルで続行する日記。

Fall termを振り返る (5) - Finance Theory I

2008年01月20日 | 授業でがんばる

Finance Theory I のクラスを振り返る。

15.401: Finance Theory I

(1) 学んだ内容


ファイナンス理論の導入編として下記を学んだ。 

  = Present Value
  = Fixed Income Securities
  = Common Stocks
  = Capital Budgeting
  = Introduction to Return and Risk
  = Portfolio Theory
  = CAPM
  = Efficient Market Hypothesis
  = Forward and Futures
  = Options

(2) 授業の進め方

クラスはほとんどがレクチャー。ケーススタディはほとんどなかった。
Sloanのクラスとしては珍しい。
毎回クラスでガリガリと理論を勉強し、宿題でコツコツと復習した。


先生はWang教授。ていねいに教える先生で、好感度は高かった。
ただクラスの内容よりも、事前に配られていたレクチャーノートがすばらしかった。
どんな参考書よりも要点がつかみやすく、ハンディーであった。

今学期、本クラスを教えた先生はWang教授を含めて二人。
もう一人は超有名教授のマイヤーズ先生だった。
彼が書いた『コーポレートファイナンス』 も参考図書として役に立った。

コーポレート ファイナンス(第8版) 上
リチャード・ブリーリー,スチュワート・マイヤーズ,フランクリン・アレン,藤井 眞理子,国枝 繁樹
日経BP社

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コーポレート ファイナンス(第8版) 下
リチャード・ブリーリー,スチュワート・マイヤーズ,フランクリン・アレン,藤井 眞理子,国枝 繁樹
日経BP社

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(3) 感じたこと

ファイナンス理論はこの二年間でできるだけ深めたいと思っている分野のひとつだ。
もともと興味はあったのだが、最近会ったあるベテランビジネスマンの言葉が決定打になっている。

『若いうちに勉強しておけばよかったと思うのは、まちがいなくファイナンスだね。どんなビジネスにも関わる知識だし、何より、歳取ってからはあんなの勉強できないね。退屈で、続かないよ。学校でたくさん宿題出されて、ヒーヒーいいながらやるものだねあれは。』

立場やタイトルから判断するに、『日本を代表するビジネス頭脳』と呼んでもいい人の話だ。
真摯に受け止め、二年間ヒーヒー言おうと思った。


実際 本クラスで学んだことは、
自分にとって目新しいものが多かった。
債券価格がどう動くかとか、ポートフォリオ理論は何を言っているのかとか。
特に統計上の分散が株価の”リスク”を示すというコンセプトには、目からウロコが落ちた気分だった。
他のクラスに比べて、理論がパワフルなのがある種心地よかった。

もちろん理論と実践が異なる点は、他の科目と同様 注意しておく必要がある。
今こんな本を読んでいる。いつか読もうと思って本棚に眠らせていた一冊だ。

リスク〈上〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)
ピーター バーンスタイン,Peter L. Bernstein,青山 護
日本経済新聞社

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リスク〈下〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)
ピーター バーンスタイン,Peter L. Bernstein,青山 護
日本経済新聞社

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この本によると、ブラック・ショールズ理論で有名なフィッシャー・ブラック教授は、こういったという。

『チャールズ川の向こうに見える景色の方が、ハドソン川の向こうに見える景色よりも、整然として見える』

ブラック教授はMIT Sloanで教鞭をとった後、自らウォール街に進出した人だ。
チャールズ川はMITの横を流れる川で、すなわち学問・理論のこと。
ハドソン川はマンハッタンを本土と隔てる川で、実践のことを言っている。

理論を極めた人が言った言葉だけに、説得力がある。

(4) Take awayをひとことでいうと

 ファイナンスはもっとも理論で攻めやすい分野。深めるべし。

 それでもリアリティはハドソン川の向こう。現実に即した学び方をすべし。


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